錦光園【奈良墨】

錦光園さんの暖簾

錦光園さんの暖簾


JR奈良駅からほど近くに墨作りの工房「錦光園」があります。
奈良が墨の名産地とはつゆ知らず、全国で98%のシェアを占めていると知り驚きました。とは言うものの墨の需要は年々減るばかり、伝統技術の継承がやはり問題になっている様です。

墨の質は、基本的に油で決まります。一番良質はゴマ油なのだそう。中華料理ではありません。ごま油に火をともし、茶わんを逆さにした様な道具で立ち上る炎の先からススを拾います。炎と茶わんの高さが離れればより微細なススを拾う事になり、さらに良質なものと成ります。こうしたススによる墨の製造はおよそ600年前室町時代中期頃から行われているもので、南都油煙墨と呼びます。
それ以前には、木(赤松)を燃やしてススを集め製造されていました。これは松煙墨と呼びます。

そうして拾ったススを暖めてゆるめた膠(ニカワ)と混ぜて固めます。工房には炊飯器があり、粘土のように練り合わされた墨を保温しながら使います。冷えると固まるので、昔の職人さんは股の間にいれて保温していたそうですが、墨の粘土をちぎって丸めて木型にいれて、見慣れた形の墨に成型していきます。木型は梨(ナシ)の木が一番良いそうです。

柔らかい墨を木型に入れる工房

柔らかい墨を木型に入れる工房

湿り気の違うとても細かな灰が入った箱

湿り気の違うとても細かな灰が入った箱

じっくりここで乾燥

じっくりここで乾燥

乾燥中の墨

乾燥中の墨

型からはずした墨はまだ柔らかく、なんとなく羊羹のようなもっちりした感じで、さわると微妙な弾力が気持ち良い感じです。そうして、その墨羊羹を灰の入った箱に移し徐々に乾燥させます。一気に乾燥すると墨は簡単に割れたり、歪んだりしますので、湿った灰から乾いた灰に段階を踏んで乾燥させます。気温や湿度、灰の湿り気具合を感じ取りながら、具合のよい灰の箱へ墨の移し換えをするのも職人さんの勘所が決め手なのだそうで、経験を積まなければ簡単に出来る事では無い様です。
更に乾燥棚に移し、時間を掛けてゆ~くりと乾燥させて、ようやく製品になっていきます。意外に掛る墨の製造工程の長さにビックリです。また、墨作りは膠の腐らない寒い冬の2月頃が一番最適だそう。夏には墨作りは行われません。と言うことは墨職人さんは季節労働者なのですね。

適量の墨をちぎって木型に入れるのは職人技

適量の墨をちぎって木型に入れるのは職人技

乾燥箱への詰め込み

乾燥箱への詰め込み


ところで、墨の匂いと思い込んでいたのは、実は膠の動物性匂いを消すために入れた樟脳の匂いなのだそうです。
また、良い墨の見極めは「薄墨」にして使った時にこそ分かります。良い墨はより染料に近く、美しくにじみ、 薄くても深みのある色をたたえます。小学校の頃に使っていた墨汁は工業的に作られており、墨の粒子が荒く均一なので味わいは出ないのです。

墨の削りかす

墨の削りかす


【案内】
錦光園 http://www.eonet.ne.jp/~nigirizumi/
奈良市三条横町547 電話(0742)22-3319
HPには墨の歴史や製造過程を詳しく解説されています。

「にぎり墨体験」出来ます。世界にひとつだけの墨作りにGO! これは結構楽しめます。家宝になるかも。


追記

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