セミナー「ヨーロッパ大工の技」

先週末、竹中大工道具館で催された特別セミナー「ヨーロッパ大工の技」を聴きに行きました。講師はドイツの木工職人ヘンリヒセンさんという方で、日本での修復工事を行った経験もあるだけあって、流暢な日本語で冗談を交えた講義はとても楽しいものでした。講義はほとんどヨーロッパ大工の技の実演で、ドイツの土台の継手模型を製作しながら進みました。実演の合間に大工道具箱の伝統、墨付け方法、鑿や鋸を使った加工についての解説を、日本の道具との違いを加えながら説明していただけ、材料の違いなどもあって道具の発達の違いになっていった過程が少し実感できた気がします。

日本は桧・杉・松など針葉樹が材木の中心ですが、ドイツでは樫・楢など広葉樹が構造材・造作材の中心として使われてきたそうです。そして日本の桧のように扱われるのがこの樫だそうです。樫と言えば水や虫に強い材料ですが、反ったり、縮んだり、木がまっすぐ育たないので長ものの材料が取れないなど扱いにくく、また字のごとく硬い木の代表でもあります。これら硬い材料に立ち向かうには、日本のような繊細な道具では歯が立たないという訳です。ですから道具としては日本よりも単純で堅牢さが求められました。ヘンリヒセンさんは先進国なのに大工道具はとても原始的。と言われていましたが、それが理にかなった結果なのです。その逆に扱いやすい材料があったからこそ、日本は大工技術は高度に熟して行ったと思われます。

また、日本の様に身体を使って木を押えながら作業をすることも少ないそうです。向きを変える度にもしっかり作業台に固定しつつ,作業を進めます。当たり前に思っていた足で押えつつ作業をする姿は、実は日本独特なものだそうです。差し金のような物差しも同じ様にありますが穴がいくつか開いてあり、そこに鉛筆を差込みケビキ(線引き)をしたりもできます。ひとつひとつは合理的な感じがします。しかし日本のような削ぎ落されて進化した道具と違っており装飾も多いので、怒られそうですがどことなくプロっぽく無かったり感じてしまいました。

それぞれ良し悪しはあるでしょうが、やはり日本の道具は優秀な気がします。三木や小野の刃物メーカーさんはドイツでもとてもポピュラーだそうです。ヘンリヒセンさんがドイツの道具を本国から送ってもらうと、日本のノコギリが入っていましたよと笑って紹介されました。

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