播州そろばん【そろばん】

宮本一廣氏

宮本一廣氏

兵庫県小野市。刃物の有名な地域ですが、特筆すべきはそろばんの産地である事です。神戸電鉄小野市駅からタクシーで5分程。播州そろばんづくりの伝統工芸士でもある宮本一廣さんの工房を訪ねました。全国でも唯一と言ってしまっても良い、手作りのそろばんを制作されています。
そろばん作りのいろいろや、工芸としてのそろばんが絶えてしまいかねない現状のことなど、 気さくに教えていただく事ができました。

そろばん作りは大きく2つの分業になっています。ひとつは「玉屋」と呼ばれるそろばんの玉 だけを作る工程、もうひとつはその他の部材作りを含め組立をする「枠作り」と呼ばれる工程です。
もともとは農作業の合間の内職であった訳ですが、小野が一大産地となり、全盛期の昭和35年頃には700軒におよぶそろばん工房があったそう。ですが、電卓の登場、ましてや低価格で手に入り太陽電池をつけた電卓が当たり前になった平成4年頃には、時代の波に押され太刀打ちのできない状態になってしまいました。なかでも消費税の導入がそろばんの需要を一気に減らしました。
宮本さんのような枠作りをされる伝統工芸士の方は、今や4人程。その中でも現役で続けられているのは宮本さんしかおられない状態なのだそうです。大量 生産でようやくまかなう工房はあっても、永く使ってもらうために丁寧な手作りそろばんを作る職人さんは他にいません。後継の育成も敢えてされていないようです。

豆ではありません。そろばん玉。組み立て中のそろばん。

豆ではありません。そろばん玉。組み立て中のそろばん。

手作りの道具

手作りの道具

アフリカ黒檀

アフリカ黒檀それでもそろばん作りの話をされる時の宮本さんはいきいきとしています。

そろばんの玉の材料にはツゲが良いそうですが、なかでも心材を使い、玉の表面 に渦のような年輪の見えるものが最高級とされます。そんな玉だけを揃えたそろばんを手にしながら、「美しいでしょう」とニコニコされました。

玉を通す芯材はスス竹。スス竹というのは囲炉裏の煙りに100年ほど燻されて炭化した竹で、人工的なものもありますが貴重な材料です。
枠は主にアフリカ黒檀を使います。堅くて重い水に沈む木です。あまりに堅いので、黒檀を削るカンナは刃が真直ぐ立っおり、削る(ケズル)というよりは削ぐ(ソグ)ような感じだそうです。
それらの材料を組むための材料はほとんど手作り。玉と芯のすべり具合も職人の勘で全てが決まります。

また、宮本さんは伝統工芸士として、各地や海外にも呼ばれ伝統工芸のイベントにも多く参加されているそうです。 デパートのイベント会場ででたまたま宮本さんのそろばんを手にした女の子が、そのそろばんをずっと使いつづけ、有段者となり珠算大会のイベント会場で再会された話など、そろばんを通 したお話も幾つもされ、そろばんに向ける愛情がとてもよく伝わってきました。
としても、そろばんの玉の数さえ分かっていない人も多くいるのですよ、と話された時は寂しさも隠せないようです。

そろばんの苦手だった私が書くことではありませんが、 外国の方に比べ日本人に暗算の得意な人が多い(多かった)のはそろばんのお陰だったのでは?
今もそろばんを愛用されている方は、是非、宮本さんのそろばんを手にして下さい。


【案内】
播州そろばん
伝統工芸士 宮本一廣
本店:兵庫県小野市天神町1113 TEL:0794-62-6419

【参考サイト】
播州そろばん」小野市商工会議所

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