domadoma

中庭に面する吹抜け

建物南面

中庭と吹抜け横の2階渡り廊下は、スノコ敷きです。

光と風、旅の記憶と暮らす家

「朝、目覚めたとき、スリランカの旅先で感じたような光がサ〜っと差し込んできて、心地よい風がス〜っと抜けていく。そんな空間が理想なんです」

3軒のカフェを営み、年に一度は紅茶の買い付けでスリランカを訪れる。そんな旅好きな施主様との家づくりは、いつもこんなふうに、世界中で感じ取った光や風の記憶を辿るような会話から始まりました。この注文住宅の設計において目指したのは、施主様が持つその身体感覚を、忠実に空間へと翻訳することでした。

内と外を繋ぐ、暮らしの余白としての「土間」

敷地は神戸市の郊外、幹線道路から一筋入り落ち着いた場所でした。そこに建つ木造2階建ての住まい計画です。

この家の核となるコンセプトを形にするため、私たちは1階のほとんどを土間とする大胆なプランを提案しました。
この土間空間は、内と外を曖昧につなぐ中間領域です。壁や床で空間を仕切るのではなく、光と風、そして人の気配が自然に行き交う設計を意図しています。

友人を招いて語らうカフェのようなパブリックな賑わいと、住まいとしてのプライベートなくつろぎが心地よく共存する。時には趣味の自転車を整備したり、旅先から連れ帰った雑貨を無造作に飾ったりと、暮らしの余白を豊かに受け止める自由なスペースです。

暮らしながら育てる未完成の住まい

また、施主様は当初から「完璧に完成された家」を求めてはいませんでした。「自分たちの住まいは、自分たちでつくりたい」。その清々しい言葉に深く共感し、暮らしを楽しむ「きっかけ」をつくることに徹しました。

構造や断熱、光の取り込み方や風の抜け道といった、住まいの骨格となる部分は設計者として緻密に計画します。その上で、内装や設えには余地を残し、ご夫婦自身が手を加えながら空間を育てていけるように計画しています。

お引き渡しから始まる「わが家」づくりの物語

お引き渡し後、間もなく訪れた時の光景が忘れられません。
そこには、新築のはずなのに、まるで何年も暮らしてきたかのような、深く「なじんだ空気」が流れていました。すでにご自身で棚を飾り付け、たくさんの雑貨が呼吸を始め、空間は生き生きと輝いていたのです。

この家は、これからも施主様の旅の記憶と共に、少しずつその表情を変えながら、世界でたった一つの「わが家」へと育っていくことでしょう。
その過程に設計者として伴走できることは、喜びであり楽しみです。

接続する正面道路からの外観

ガレージスペース
はね出した2階を鉄骨の柱で受け、開放的に。

玄関を入ると、土間続きに中庭に出ます。
お昼ごろだと、渡り廊下のスノコから漏れる陽が壁面に素敵な模様を作ります。

土間の奥から見返した様子。
奥が玄関、右手はユーティリティースペースと浴室です。

中庭並びの吹抜けに洗面スペース。気持ちの良い朝が迎えられそうです。

洗面スペースから中庭を見た様子。

土間を抜けて、1階奥にベッドルーム。

階段を上がって2階へ

2階リビング南向き。
完成段階では、南隣地に建物がないので、四月には幹線道路の桜が楽しめます。

2階リビング北向き。
手摺りの向こうは、吹抜けと中庭。渡り廊下を進めば、こども室です。

こども室の様子。

建物夜景。

中庭夜景は、なかなか幻想的です。

撮影:絹巻豊

建築概要

【 敷地概要 】・場所/兵庫県神戸市 ・敷地面積/113.69 ㎡ ・用途地域/市街化区域 第1種低層住居専用地域 第1種中高層住居専用地域 第3種高度地区  宅地造成工事規制区域 準防火地域 建蔽率/58.73%・容積率/176.00% ・前面道路幅員(西)4.4 m
【 工事概要 】・工事種別/新築 ・建築面積/63.89 ㎡ ・延べ床面積/103.61 ㎡(住宅の部分:101.31) ・構造規模/木造一部 地上2階 ・高さ/最高6.35 m 軒/5.42 m ・構造仕様/木造軸組工法 ・基礎仕様/鉄筋コンクリート造ベタ基礎
【 主な仕上 】・屋根/ガルバリウム鋼板芯木なし瓦棒葺 ・外壁/塗装ガルバリウム鋼芯木なし瓦棒葺  色粉入り砂モルタル掻き落し
・内装:床/スレート調タイル・バーチ合板OSワックス・マガシロ(2階スノコ廊下) ・壁/無機質系薄付仕上材 ・天井/無機質系薄付仕上材
【 設計施工 】 ・設計/庄司洋建築設計事務所(担当:庄司洋) ・施工/ヤマネ工務店(担当:宮田一彦)

完成:2003(h15)年3月


掲載誌等

「LiVES」 vol.16・2004年夏秋号


「すまいの感想」

施主さんから、趣向を凝らした感想を頂きました。

遅くなりました。
1年と半年が過ぎて・・・。ということでインタビュー形式にしました、勝手に。
チョット長いかもしれませんが使ってください。

【1年と半年が過ぎて・・・。】 

Question&Answer 共に施主さま ( 2004/11/23/施主様より )

Question:1年半を振り返ってみてどうでしたか?

Answer :そうですね~、まず思ってたより暑さ寒さの差が少ない(笑) 当初、屋根裏が無いので夏は暑く、マドがでかいので冬は寒いと思っていたのですが、全然気にならないですね。 むしろ冬は暖かく夏は涼しい家かもしれません。 2階の広いリビングにはガスファンヒーターを1つしか置いていないのですが冬でもそれ1つで十分ですし、夏は朝夕以外は風が気持ち良く通り抜けるのでエアコンもそれほど稼働させなくていいです。

Q:1階部分が土間なわけですが、使い勝手とかはどうですか?

A :良いです。 犬を飼っているんですが、まず掃除がしやすい! 多少汚れてもデッキブラシでゴシゴシ洗えばピカピカですからね。 気候の良い時なんかはここでバーベキューをしたりします。 ただ、こいつのおかげで扉とかに噛み傷がいっぱい出来てしまって・・・。 落ち着いたら修理したいのですが・・・。まぁ、もう少し先の話です。

Q:この犬ですか?大きいですね~。 やはり犬を飼われているところはやはり皆さん噛み傷に悩まされていますね。 友人の話ですが大切にしていた和ダンスをボロボロにされたと嘆いていました。

A :そうでしょう~。 だから僕のところも4~5年住んでいるヤレ具合があるでしょ? まだ1年半しか住んでないのにね~(笑)

Q:イヤイヤ、最初からそれを目指していたんだから良いじゃないですか。 最初から程よい生活感が出てて妙に安心感があって僕は好きでしたよ。

A :生活感出すの好きです(笑)

Q:去年にお邪魔した時より少しモノが増えましたね。

A :そうですね。今年は良い梅が手に入ったので梅酒を漬けまして。 それの瓶を窓枠一杯に並べちゃいました。

Q:それも生活感の一種ですか?(笑)

A :一応ヨーロッパ風の・・・生活感を出したいなと(笑)

Q:以前よりカーテンが減っている様な気がしますが?

A :そうなんですよ。 出来た当初は家にはカーテンが付き物という考え方だったのですが、ここにきてなんか邪魔に思えるようになってきましたね。 さすがに外に面しているマドはカーテンを付けていますけれども、それ以外は外しましたねぇ。 おかげですっきりして造りの細部がよく見えるのでますます家のことが好きになりました。

Q:そうですか。 では最後にMさんにとって家を造るということは楽しかった事ですか。

A :そりゃぁもう~。 ああだこうだと言いながら時間をかけて家をつくると愛着もわきますしね~。 まだ1年半しか住んでいないのですが、10年、20年後にも愛着がある家に育てていきたいですね。

Q:そうですか~、育てるんですね。 そういう意味ではまだまだ完成途中といえるかもしれませんね。

A :そうですね~。 半年後にはまた変わっているところがあるかもしれませんよ。