地味な下地生活

仕上がりに近づく建物外観
外壁の波板が全周廻って、建物の全景がどことなく見えてきました。

外観が出来上がってくると、周りから見れば工事が進んでいるように見えてしまいます。ですが現場は今こそ要の本番?。

「地味な下地生活」と冗談めかしたタイトルを書きましたが、仕上工事に入る前、下地工事や配管・配線の設備工事がシッカリと出来ていないと、後々に大変な事につながります。後から、こうしておきたかったのに〜〜〜と、ダダを捏ねても下地が無ければどうしようも無く、代替案を画策することシバシバ。

各業者さんは現場と図面を何度も見返し、抜けが無いかチェックします。現場で一番気を使うのは、仕上工事の段階でなく今この時かもしれません。コチラも出来上がって行くに従い、仕上りの事に気がいってしまいます。同時に下地のことがついつい頭から離れていきます。
どうしたことか、施主様に散々言われていた要望がスッカリ抜け落ちていた!と後に気がついた時。。。もう〜冷や汗もの、時空を遡ります。

さらに現代の断熱住宅は気密や防湿が大事、後からむやみに壁に穴も空けづらくなります。住み手から見れば自宅なのに賃貸マンションに移ってきたようなもの。DIY好きな人は要注意です。

コチラもそんなハプニングはコリゴリ。血眼になって現場を見ているつもりが、出来上がっていく現場を目の前にすると、やっぱり仕上りの事ばかりに目がくらむのでした。

1階内装下地の様子
1階の天井下地も終っており、部屋のサイズ感も出てきました。天井高さはサッシ合わせでちょっと低めの 2.2 メートル。
2階内装下地の様子
2階の下地の様子。奥に見えるのは洗面スペースと浴室になります。
浴室配管
2階浴室下の配管の様子です。
出来上がれば分からないことですが、間仕切りの少ない住まいなので配管計画の整理は結構悩みどころでした。
電気配線と換気ダクト
上の並びはリモコン
下の並びは照明スイッチ
ニョロニョロしているのは24時間換気扇のダクトです。
図面を見つめる大工さん
大工さんが図面を確認しています。気になるところがあれば都度確認してくれるので、とても安心。
棚下地
下地のひとつが台形になっています。斜め壁に取りつく棚板の下地ですが、丁寧な仕事の様子が良く分かります。
シール打ちをする社長
工務店社長の後ろ姿。シール業者に頼めば綺麗で早いのだけど、細かな気遣いが説明しきれないからと、納得できるよう自ら施工中。
シール前のマスキング
波板とサッシのシール取合部分。波型のマスキングは社長渾身の一作。見栄えもありますが、樹脂サッシは水切り形状になっていないので、こうした工夫はとてもありがたいです。
はめ殺し窓周りの様子
はめ殺しの窓枠の下地が出来ていました。仕上がると、まるでガラスだけのように見える筈?。
床下エアコン通気口
掃き出し窓際の床通気口。床下エアコンを採用しているので、床下を通って暖気が抜けていきます。
材料運び込み
新たな材料が搬入されてきました。徐々に徐々に仕上がりに向かっています。

断熱気密で大事なこと

外壁材が貼られてきましたが、それは次回以降でご紹介。

計画場所は関西でも山間になり、【 住宅の省エネルギー基準 】の地域区分で見れば5地域に当ります。関西では大阪湾・瀬戸内に面する平野部は概ね6地域となり、それに比べると冬は寒い場所と思って差し支えありません。なので、普段よりも断熱はシッカリ目。

今は温暖化・低炭素などのキーワードから時勢だけでなく、建築法規上でも省エネ・断熱への比重が大きくなっています。建築現場に出始めた30年前からすれば、考えられないほど断熱材を沢山使うようになりました。その頃は正直に無頓着でしたが、今は断熱にまつわる気密・結露と言った情報が嫌と言うほど世間を飛び交っています。
振り回されているのは、建築主さえだけでなく設計者もです。残念ながらしばらくは、ひたすら断熱に立ち向かう日々となりそう。

それはそれとして、今回の建物は法令上の基準値を充分に超え、【 HERT20 】提唱基準のG2グレードにやや届かず概ね適合、と言った断熱性能になりました。現時点ひとつの目安とすれば、設計上は結構いい線。と思っています。

気密断熱で大事なこと、工務店さん大工さんが断熱気密を理解・意識して、この後どこまで丁寧に工事していただけるかです。設計上の数値がいくら良くても工事が雑になれば、実際が目標数値に決して届きません。

あえて言えば、設計上の断熱性能が特別に高くなくても、丁寧な断熱気密工事が出来れば、設計以上の断熱効果に結びつくのだろうと正直思うようにもなりました。現場に来られた大工さん達は、他の工事現場でハウスメーカーを含めた高気密高断熱住宅にも携われた様子でした。イロイロな現場の話を伺うと、そこからメーカーや設計者が試行錯誤している様も感じられます。

*【 住宅の省エネルギー基準 】一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター
*【 HERT20 】一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会

外壁は間柱間に高性能グラスウール120ミリを充填しています。外側には前の記事で紹介のフェノールフォーム30ミリが付加断熱材としてプラスアルファされた2層断熱となっています。
上に見える屋根下の梁間が断熱材で埋まります。
天井と斜め壁のところは、吹込みのグラスウールです。天井は300ミリ、斜め壁は210ミリの吹込みを行っています。
緑のビニールシートは防湿気密シート。気密は構造パネルのところで基本は終えていますので、防湿が主な目的になります。結果的には2重気密と言った具合に近いかもしれませんが。。。
断熱材を入れる前。欠損埋めの様子です。
サッシ廻りも隙間無く。
基礎廻りは防蟻タイプのポリスチレンフォーム60ミリ、隙間隙間も奇麗に閉じて頂いています。
気密検査の装置。開口のひとつを使いラッパから室内空気を外に送り室内を負圧にします。そうすると、サッシの隙間などからスキ間風を感じます。

気密工事が終ったところで、施主様立会の気密検査を行いました。通常 1.0 以下であれば合格ライン。
結果はC値 0.2 。1平方mあたり 0.2 平方cm の隙間と言う数値です。今回の家全体に換算すると おおよそ 19平方cm 相当になるそうです。
検査係の方から、ほぼ引違いサッシの隙間ぐらいでしょう。年に数件の気密の良い家ですよ。と言われ、驚きと安心のひと幕となりました。丁寧な工事のお陰です。

なにより静かですね〜、防音室みたい。と施主様は驚かれていました。