イーノと太郎と建築

BRIAN ENO AMBIENT KYOTO – ブライアン・イーノ展覧会
BRIAN ENO AMBIENT KYOTO – ブライアン・イーノ展覧会
BRIAN ENO AMBIENT KYOTO – ブライアン・イーノ展覧会

 8月終わりはブライアンイーノ展(京都)、9月終わりは岡本太郎展(大阪)へ嫁さん伴い行きました。どちらも作品の熱量がすごく、とても面白かったです。

 ブライアン・イーノは、アンビエントミュージックの祖?と聞くと、どことなく小難しさを感じる方もいるかもしれません。ですが、建築との結構相性は一番いいかも。建築のプロモーションビデオに使われるのは、大抵この手の曲。ボーカル曲はあまりなく、あっても音として扱われることが多く意味不明。。。と書くと怒られそうですが、ポップスやロックを聞きながら建築観賞は厳しいよ。と感じるのは私だけでは無いだろうと思います。ジャズやボサノバなら、相性の良い曲もありそうですね。

 イーノの展覧会は、京都駅北にある京都中央信用金庫・旧厚生センターという少し古くて小さめのビルで行われました。全階を使ったインスタレーションと映像のコラボレーションアートです。たまたま開催を知ったラジオ放送での話。
 会場のひとつには丸太が立ち並んでいる部屋があるんですが、丸太の材料にイーノは(確か)白樺を要望していたのが、展覧会のプロデューサーは京都での開催なのでお願いして北山杉に替えてもらったそうなんですよ〜。
 空間と見るか、建築と見るかは別として、全てがアンビエントな感じ?です。観賞用のソファの中で気持ちよくて眠ってしまいました。。。

 行きは入館前に近くで牛カツ膳を頂き、帰りは京都駅の喫茶店に入りサンドイッチと宇治抹茶オーレでひと息。心身満腹の京都小旅行になりました。

 一方、岡本太郎の展覧会は爆発です。実は、それほどに作品を知っている訳ではありません。頭に浮かぶのは、太陽の塔やら顔のグラス。なにやらエネルギッシュだけど、よく分からない絵画や彫刻が少々。コチラはなにやら主張が覆いかぶさるような迫力です。

 太郎と言えば太陽の塔ですが、太郎は万博プロデューサーを務めることとなり、建築家・丹下健三が設計したお祭り広場の中央に、ドカんっと大屋根を突き破る太陽の塔を提案しました。改めて考えてみても、なんと無謀な現代建築・先端技術への対峙でしょう。
 ですが、太陽の塔に見学に行った小さな私は、生命の樹に心奪われたのを憶えています。とにかく圧倒された記憶だけが残り、実際どんなだったか何を見たのか頭の中で整理されていません。インパクト強過ぎて、夢で観たのか現実の体験なのか記憶さえもゴッチャになっています。

 展覧会では晩年まで製作を続けた太郎の作品も並んでいましたが、どこまでも衰える気配がありません。最後まで爆発し続けるパワーを分けてもらえる気さえして、観るよりも拝んでた人は私だけでなく結構いた筈です。

 昼前の入場でお腹を空かせて会場を後にしましたが、気がつけば既に午後3時。開いてる店もなく、ようやく見付けたパン屋さんに入りましたが、これが当り。近くの公園で美味しいパンを頬張りひと満足。公園横の園児たちが遊んでいる平和な風景が対照的にさえ思えました。

展覧会 岡本太郎
展覧会 岡本太郎
展覧会 岡本太郎
展覧会 岡本太郎

展覧会「聖林寺十一面観音」

撮影可の、なら仏像館「金峯山寺仁王門 金剛力士立像」

 日曜日、奈良国立博物館まで終了間近の聖林寺十一面観音像展を観に行きました。コロナ禍になって初めてのイベントらしいお出かけです。しばらく、せいぜい近場の映画館ぐらいでした。

 薄暗い展示室に入ると、僅かな明かりにぼんやりと浮かび上がる荘厳な菩薩の数々。一堂に観せていただける展覧会は、ひとつひとつのお寺参りとはまた違った贅沢な感じがします。
 ただ欲を言えば、もう少し明るくして欲しかった。いろいろ制約もあるでしょうが、お堂の暗がりの中で拝むのとなんら変わらず、実のところヨ〜見えんかったのです。せっかく博物館へ観に来たのだから、もう少しジックリと観察してみたいところ。ワタクシ的には残念な気がしてなりません。
 結局、嫁さんと共に一番気に入って見入ったのは菩薩像でなく、大国主大神立像という70センチほどの小振りな木像。少々おとぼけたエエ感じな大黒天さんに心が緩む気がしました。

 観音像展の他、東大寺二月堂の「お水取り」の紹介展覧会。収蔵品修復を紹介した展覧会。それぞれ見ごたえ充分な内容があり、一日楽しめる行楽です。

 最後の駄目押しは、隣接のなら仏像館。これでもか!と言うほどに仏像が並んでいます。すでにお疲れモードでしたが、数ある仏像を見て廻ると案外楽しい。

 そうすると、小さな像になるほど親しみやすくデフォルメされた姿をしていることに気がつきました。仏像と言えど、漫画やアニメのキャラクターとまるで変わりません。ストラップにしてぶら下げたい気さえしてきます。さまざまな畏怖を身近なものへ変換する日本人独特な表現力は、万物自然の畏れを現す神さん、人の世の畏れを現す仏さん、とのうまい付き合い方から生まれたのでしょうか? 似たものはあっても他国のそれとは違って見えるのです。
 そう思い始めると、リアルな十一面観音さんもジャンルこそ違え例外でなくなって来ます。怖面の金剛力士立像も、どことなくスットンキョーで愛らしくさえ思えてきます。

 オタク文化は今に始まったことでは無く、長い年月を掛けて培った日本人の感性なのだ。と勝手な夢想に浸った一日となりました。

撮影可の、なら仏像館「金峯山寺仁王門 金剛力士立像」

あさご芸術の森美術館と多々良木ダム

 石の彫刻家・牛尾啓三先生から個展のお誘い頂き、ヨメさんと朝来市の山のなかにある美術館へ行ってきました。西宮から約2時間。気晴らしにドライブがてらの気持ちだったのが、着いてみるとちょっとばかり驚きの連続でした。

 到着したあさご芸術の森美術館へは初めてです。朝来市出身の日本を代表する彫刻家・淀井敏夫氏(1911~2005)の作品を館内と屋外に多数展示している施設ということも、実は着いてから知りました。その作品のひとつひとつが美しくそして面白く、これまで知らずにいたのがちょっと恥ずかしい感じさえしました。

 また、それ以上に驚いたのは美術館の正面からも見えるド迫力な石積みの丘? ダムのすぐそばにあることを下調べで知らなければ、目を疑うばかりの風景が拡がっています。荒々しく積まれた石積みは、どこか外国の風景にも見えます。雄大な公園でゆるりと過ごせるは、とても贅沢な時間に感じます。

 ダムへも少し行ってきました。ちょうど美術館を見下ろすことができます。これも迫力満点ながら山間の風景がなんとも牧歌的です。お誘いいただいた牛尾先生に感謝です。

野口哲哉展〜いちにち高松市めぐり

野口哲哉展(高松市美術館 )
野口哲哉展(高松市美術館 )

 しばらく前、日曜の美術番組で紹介された彫刻作品の展覧会が目に留まり、こりゃオモロいな〜と思ったら、すぐ横にいたヨメさんが、コレイキタイ!と叫んだ。
 え!?どこでやってんの?と探したら、香川県の高松市美術館。巡回でコッチに来ないの?調べてみると、残念ながら関西を飛び越えて愛知県。。。どっちもどっち。とうとう、勢いで香川県まで行ってしまった。

 車で休憩はさみ約3時間と少し、高松市に来たのはずいぶん昔に一度きり。大した下調べもしないまま昼前に着いて、まず向かったのは香川県立ミュージアム。「うどん県」に行くのだからとグルメサイトで見つけておいた近くのうどん屋に行く時間つぶしのつもりが、このミュージアムの企画の展示も、常設の展示もイチイチ面白いから困った。

 カガワケン面白いかも。。。なにも分かってない二人が同じことを呟きはじめだす。

 時間も無いのでミュージアムの観賞は小走りに、うどん屋に向かいました。
 うどん屋に着いてみると暖簾が掛かっていない。やってるのかな〜?と戸を開けてみると、お客さんはそこそこいらっしゃる。早速肉うどんを注文して食してみれば、うどんもお肉も満足感大。

 タカマツシ楽しいかも。。。満腹になって、いざ目的の高松市美術館「野口哲哉展」へ。

 番組で観ていたので作品がどんなだか分かっていましたが、実際に観ても期待を裏切らず面白い。展示室に足を踏み入れて直ぐ、自分の顔が緩みはじめてきました。
 甲冑姿の人形?は、写真の通り一人一人なんとも言えない表情。どこか冴えない様でいて、どこか夢心地な不思議な眼差し。表情も立ち振る舞いもどこまでもリアルで、どこにでもいそう。なのに、どこにもいないだろうと思えるギャップが心地よい感じです。
 作品はなかなか凄い数がありましたが、最後まで飽きずに観れるというのにも驚きです。補助車を押しながら、ひとつひとつ丁寧に観ているお婆さんの姿がありました。どうされました?なにやら話し掛けていそうで、聞き耳を立ててしまいそうになります。きっといろんな想像をされているのでしょう。

 作者の野口哲哉さんは、1980年香川県高松市生まれ。作品に掲げられたキャプションには、どこかしらユーモアありつつ鋭い視点。作品にも感じられる聡明な不思議感。

 美術館を退散した後は、すぐ側にある喫茶店「城の眼」へ。
 開業50年のレトロなお店です。設計・山本忠司。インテリアは石彫作家・空充秋。これまた趣のあるお店でした。今は人も少なめ、お客さんも入れ替わり2組ぐらいで、ゆっくりさせて頂きました。
 その後、海辺沿いの倉庫を改装したおしゃれな本屋さんやらカフェに立寄り、美味しいピザを頂いて、満足感満杯で帰路に着きました。

 カガワケンタカマツシのファンになりそう。懲りずにまた来そうです。

チームラボと姫路城

チームラボ
チームラボ

 以前から気になっていたデジタルアーチスト集団チームラボが、姫路市立美術館で展覧会を開催しています。6月はじめの日曜日、ヨメさんと観に行きました。

 もうじき会期終了、絶対ヒト一杯やでェ〜、と朝10時半頃に到着すれば、およそ30分待ちのプラカード。並び始めれば、瞬く間に行列が続いて行きます。ふわ〜〜〜っ!
 去年の丁度今ごろ、東京お台場に開館した「森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」がテレビで紹介されるたび、ふわ〜〜〜っと見入っていいた。なんとも気持ちよさそう〜〜〜である。
 年代ものと笑われそうだが映画「トロン」のような、デジタル世界に自分の身がスッポリ転がり込むような錯覚を味わえそう、自然現象をモチーフにした作品が多いが、単なる疑似体験とは違う夢空間に身を置きたいと思わせる。そんなイメージで期待を膨らませ、いざ!。

 ア〜違う。きっとコレはゼンゼン違う。と言うのが、今回の感想。
 残念ながら展示室のスケール不足なのか、期待が肥大過ぎたのか。もちろんソレなりに楽しめたが、身を委ねたような気持ちよさは味わえなかった。出張展示は難しかったのか、インスタレーション的な体感空間ではなく、壁面の投射映像だけで終わってしまったので、ココロで感じるにはボクは歳を取りすぎた。かもしれない。
 動作に反応する文字や図形、散らばる花、揺らめく波に、子供らと一緒になって駆けまわるってことも出来ず、テレビで観たそれであっても幽体離脱するには圧倒感が足らず、ただただ自撮りを楽しむ中年カップルであった。
 こりゃ〜お台場に行ってみんと分からん、と思わせられて、終わってしまった。美術館を出れば、行列だけはさらに延びていたのだけど。

 折角姫路まで足を伸ばしたのだから、姫路城。単純な理由でいざ出陣。
 言わずもがな、圧倒感は明らかにこちらの方が上手でした!。どうやって積上げたのやらの石垣の足元を抜け、6階建て登城のはじまり。実質もっと高いだろうお城の急な階段をエッチラコッチラ登って、どでかい柱や梁を見上げ、いかにも厚そうな床板の足裏の触感を堪能し、姫路の街を一望し、饒舌なボランティアガイドのおじさんに耳を傾かせ、ヨロヨロ降りて。最後は、はしゃぐ外国人観光客を横目に、城をふわ〜〜〜っと見上げて終わり。
 うん、ヨカッタ。

 元号変わりの長かった今年のゴールデンウィークの間には、たいした行楽も出来ずにいたので、ようやく羽を伸ばせた感じがしました。やはりリアルな体験に勝るものは無しでしょうか。それとも、ただそんな歳になってしまっただけか。
 その答えを出すには、まだまだ若造のつもり。のはず。そんな幻覚を味わうのが目的の一日となりました。

ushio 工房 と tamaki 工房 のスケール感がとても気持ち良い。

2月の日曜のことですが、加西市と西脇市にあるふたつのアトリエをヨメさんと尋ねました。

* * *

まず以前より親交いただいている石の彫刻家 牛尾啓三 先生の加西市にあるアトリエ。


随分昔に一度訪ねたきり。今回、そのアトリエで3彫刻家の制作風景公開イベントなる案内が届いたので、良い機会と思って訪ねました。
到着すると、石切場跡のアトリエ風景はそれだけで迫力満点、来る甲斐があります。
この場所で大きな塊の石?岩?から、なんとも不思議な知恵の輪のような数学的作品を数多く生み出し、世界中を渡りあるく芸術家のアトリエと聞くだけでなんだかスケール感に圧倒されるのです。この場にいるだけで、ワクワクします。
切り出しの様子を、おかきとお茶をいただきながら拝見して来ました。

* * *

帰り、西脇にある播州織研究家 玉木新雌 さんの工房兼ショップに立ち寄りました。

偶然に知り合いの工務店さんがこのショップの移転改装に関わられていて、連れて行ってもらいそのスケールに驚いたのが少し前。ヨメさん連れて行けばコレは間違いなく喜ぶと思っていたのです。
今では世界的なブランドからも注目をされているそうですが、こんな規模になる以前から少し知ってはいたので、広い駐車場まで備えた新しい工房にずら〜りと並んだ織機が並ぶ様には正直驚きます。そして織機の間を縫って工房見学もできるようにされているのがまた新鮮です。
ここを束ねる玉木新雌さんは、まだまだ若い方。やや廃れつつな地場産業に新風を吹かせています。

* * *

コトを成し遂げるスケール感に、ふたつの工房はどこか共通するものがあるように思えました。いろいろな意味で刺激を受けます。

北斎の浮世絵刷りに初挑戦「みんなの学美場」

去年の北斎展からにわか浮世絵ファンになったところで、今年初めは調子に乗って浮世絵の刷り体験講座を、ヨメさんともども神戸市立博物館で受けてきました。ミュージアムエデュケーション研究会2017「みんなの学美場」という、明石、神戸、阪神間の美術館や博物館等12施設が連携して去年から開催しているワークショップのひとつです。

参加者は年齢幅もありそうな20名ほど。博物館の地下にある一室に案内され、講座が始まりました。長テーブルの上に版木が整然と並べられています。近づくと、その版木は少し小さいけど北斎の見慣れた図案。大っきな浪間の向こうに富士山の見える富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」です。意味なく嬉しくなってきました。

「神奈川沖浪裏」版木

はじめに研究会の趣旨について説明を受け、続いて浮世絵のこども向け基礎レクチャー?。この講座自体は、博物館が教育関係者や、小・中・高生の美術教育の一環として元々取り組んでいたものを、今回は一般向けに開催したのだそうです。
とは言え、目の前にあるのはちゃんとした?彫師さんが掘った本格的な版木。時代を超えても、刷り上がれば浮世絵に違いありません! うまく刷れたら売れるかも? 学芸員さんの手慣れた説明を受けて刷り講座がスタートしました。

まずは、はがきサイズの金魚の親子!主版と呼ばれる線図に2枚の色版3色刷り。おやおや、意外と難しい。学芸員さんのアドバイスを受けつつ、なんとか1枚刷り上がり。まずは練習。練習。さらに、同じくはがきサイズの猫の版木に挑戦。意外といけるやん、と調子を掴んだところで、北斎の版木に向かいます。

「神奈川沖浪裏」は、線図の主版に6枚の色版で7色刷り。図案自体はB5くらいで用紙がA4ほどです。
まず版木に絵の具をちょんちょんと載せ、その3分の1くらいの糊(絵の具の定着を良くする)を添えます。饅頭サイズのモップのような刷毛で、絵の具と糊を混ぜ合わせる様に版木に拡げます。和紙を版木右下角のアタリに紙を合わせつつそっと載せ、馬連でやさしく抑えつつ、はじめはゆっくり徐々に力を入れながら刷り、そっと引き上げる。浪裏の線図が現れました。
ええ感じやん。
さらに1色目を載せ、2色目を重ね。3色。。。と進んで4色目。技ありのグラデーション着色。絵の具と糊を並行に撫でながら、ふんわり富士山を浮き立たせる空色を付けます。恐る恐る引き上げたところで、横にいた若い女性に、お上手ですね〜、と言われ。あ、そうですか〜。頭を掻きながら浮き浮きとなり、5色目、6色目と順調に行くはずがぁ。。。そんなうまくも行きませんわ。絵の具の付けすぎか馬連の乱れ、浪のないところに浪ができてしもた。焦りは禁物。無心でないとええもんできません。とほほ。

小一時間の講座でしたが、なかなか緊張感もある浮世絵刷り体験。次こそは、売りもんを刷ってみせます。ところで、こうした浮世絵は当時500円くらいで売られていたとか。レクチャーで聞いた豆知識でした。

百と100 〜 北斎と安藤忠雄 〜

あべのハルカス美術館で開催中の「北斎展 – 富士を超えて -」と、大阪国際会議場で開催されたアイカ現代建築セミナー「安藤忠雄講演会 – 新たなる挑戦 -」に行って来ました。一日でこなす行事としては、ちょっとばかり濃い感じ。

「北斎展」

平日なのにスゴい人混みでした。昼すぎ会場に着いて当日券を買うのに3〜40分の行列。さらに入場10分。予期せず1時間ちかく行列に並ぶ羽目となりました。北斎人気にびっくり仰天です。

この北斎展に合わせて放送されていたNHKの特番やドラマをほぼ欠かさず見ていました。絵を描く人にとって、挑戦的な姿勢で画業を全うする北斎は憧れの一人でしょう。日本人画家?で一番知名度があるのは、やはり北斎の気がします。小学校の美術の教科書に載っていただろうと記憶を辿っても、いつの頃から北斎の名前を知っていたのかさえ分からない人も多いのではないでしょうか。そのくらい北斎という存在は日本人に浸透している気がします。

展示は北斎が70~80~90歳代に渡る後期のものがメインで、卓越した筆使いにいちいちため息がでてしまいます。ドラマの中で幾つになっても絵の上達を目指す北斎の貪欲な姿が描かれていましたが、展示の最後あたりになると片隅に「百」の印が押された画が並びます。当時なら既にヨボヨボ長寿の筈と想像するのですが、さらに百歳まで絵を描き続けようと88歳から全ての作品に使っている印章だとか。ただただ恐れ入ります。

「安藤忠雄講演会 」

現代において知名度の高さなら北斎に劣らずの建築家・安藤忠雄氏。北斎展に押されて開演ギリギリの到着。会場後ろの席で中心通路際に座っていたら、開演同時に安藤氏が横を颯爽と通り過ぎていきました。癌の手術を受けられていることはご存知の方も多いと思いますが、そんな気配を感じさせない凛とした歩き姿です。

ステージに上がってまず、ちょっと摘出手術したけどしっかり元気やで、いつものガラガラしゃべりでアピール。さらに正面スクリーンに映し出された「100」の文字。何かと思えば、百歳まで仕事しまっせと宣言したのです。なんと、北斎とおんなじことをしてるやん。。。御歳は76の筈。北斎の宣言まで後12年ありますが、十分にのけぞりました。北斎展に合わせた余興だったかどうかは定かでありませんが、ここから4半世紀はまだまだ譲らん!という勢い。講演会でそんな宣言をする建築家っていうだけで、ただただ恐れ入ります。

いつものように住吉の長屋から始まって、最近のプロジェクト紹介。地平水平を超えた仕事っぷりにため息ばかりでてしまいます。適度に笑いを織り交ぜ、聴衆をサービス精神旺盛な飽きさせない話しっぷりにも脱帽です。

百と100

二人の作家に思わぬ共通点。今の自分に満足することなく我武者羅に、いつまでもどこまでもやり続けたい一心こそ、作品以上に人々を惹きつける魅力なのだと知る一日となりました。

KHギャラリー芦屋(旧コシノ邸)|安藤忠雄

この日曜日、台風の接近間近に安藤忠雄設計のKHギャラリー芦屋(旧コシノヒロコ邸)にヨメさんと二人で行って来ました。4〜5年ほど前から、一般公開されています。
ギャラリーのHPで開催中展覧会の最終日と見つけ晴れている午前中のうちなら〜、慌てて到着すれば、エ?扉が閉まっている!
玄関先でオロオロしているところに、中の学芸員さんが気づいて出て来てくれました。実は展覧会は好評で会期延長、さらに台風接近で今日は休館のインフォメーションを告知していたのですが、、、と聞かされ唖然。そこをナントカ折角だからと、食い下がると学芸員さんは親切に開けてくださいました。スミマセ〜ン。

厳かに中に入らせてもらうと、まず和室と大階段。そのまま吹き抜けのリビングが続きます。なんと言えばよいのか、安藤建築に出会えた感触が湧き起こりました。適度に余裕をもって飾られるコシノヒロコ氏の作品。まさしく美術館。住まいであったことを感じさせません。素直に気持ち良い。
二人空間に浸り、促されながら安藤氏のスケッチが飾られた廊下を渡り、円弧の壁に囲われた寝室へ。そしてダイニング。どこに立っても時間の流れがゆったりと感じられます。
増改築を繰り返して今の姿となっていますが、初めから計画されたひとつの建物のようにしか感じられないことにも、ちょっと驚きです。

しばらくすると、我らと同じく休館を知らず来られたひと組がありましたが一巡してすぐに引き上げられので、ほとんど二人で小一時間、広いギャラリーの中を貸切で滞在させていただいた感じでした。
休館にお付き合いいただいた学芸員さんには申し訳ないばかりですが、よい経験をさせていただきました。本当にありがとうございます!

こんなトコ住んだら、感覚も変わるやろうな〜。羨望混じりのヨメさんのつぶやきはきっと誰もが感じるでしょう。建築の強さを久しぶりに感じるひと時でした。

後日、アンタダ講演会に当選したヨメさんは只今嬉々としております。