アニメ映画「カラミティ」

同じような話題ばかり続いていますが、先日フランス発のアニメ映画「カラミティ」を観てきました。ちょうど去年の今頃に観た「ロング・ウェイ・ノース」レミ・シャイエ監督の新作です。
前作がとても良かったので、ついつい。期待を裏切らず魅せてくれました。

2作とも絵本がそのまま動くような雰囲気です。キャラクターの目鼻立ち以外ほとんど輪郭線がありません。どことなく「みんなのうた」に出てきそうなアニメーションです。キャラクターと周囲の描き分け、近景や遠景も繊細な色使いだけで表現がなされています。観はじめは見慣れない映像表現に目が行き勝ちですが、話が進むにつれそんなことはスッカリ忘れ、映画世界に引き込まれていました。

「カラミティ」は、アメリカ西部開拓時代の女性ガンマンの幼少時代をモチーフにしたフィクションです。実在したご本人は波乱万丈な生涯だったことが知られていますが、イロイロ訳ありな逸話が多く残る方だったようです。小説、映画、ゲームにまでなっていることを、全く知らずにいました。

そぎ落とされたシンプルな表現でありながら、ちょっとハード目なストーリー展開。量産される日本アニメではあまり観ることが出来ない気がします。アニメというよりも映画を観ている感覚になりました。

キャラクターの表現や存在感に重きが強い日本のアニメと一線を画していますが、それが観賞後の印象を薄くしてしまうようです。観終った直ぐあと一緒に歩き出したヨメさんが、主人公の顔を忘れてもた!。と言いよりました。
でも、いい映画と思います。

アニメ映画「ベルヴィル・ランデブー」

すっかり久しぶりの投稿ですが。。。
先日、18年前のフランスアニメを観に京都まで出かけました。

『ベルヴィル・ランデブー』
2003年に公開されています。が、この素晴らしいアニメーション映画を今まで全く知らずにいました。

ネットで見つけ、なんじゃコレ?と驚いたのは、昔からのお気に入りフランス漫画家ニコラ・ド・クレシーの絵とそっくりなこと。クレシーの絵が動いてるよ~。え?どういうこと?なんで知らんかったんや?とひとり勝手に慌てていました。

映画HPの解説にあるシルヴァン・ショメ監督の経歴を読んで、またひと驚き。
その昔、海外旅行でフランスへ行った折り、本屋でBD(フランス漫画)をアレコレ物色して数冊を買って帰りました。その中で一番お気に入りがクレシーの作品でした。が、そのクレシー漫画のひとつがショメ監督原案だったのです。

フランス旅行で漫画を買って帰ったものの(今もですが)フランス語は全く分かりません!絵柄だけは気に入って何度も見返してはいたのですが、お話はなんとなく想像していただけ。その当時、ドラゴンボールなどフランスで日本のマンガは人気でした。が、日本でフランス漫画や海外コミックを紹介されていることはまだまだ無かったと思います。時を経て10年程前、BDをはじめ海外漫画が良く紹介される時期がありました。その時クレシーも来日し日本の漫画雑誌にも寄稿しています。

買って帰ったクレシー作品の日本語版も出版され、その本もしっかり買って持っているのですが、実は折角日本語訳になっていた作品を読んでいませんでした。今回改めて見返すと、訳者あとがきにちゃ~んと書いてある。もはやファン失格です。

話が逸れましたが、『ベルヴィル・ランデブー』は素晴らしいのひと言です。古びた感が全くありません。18年前の作品とはとても思えない。映画の中の世界はクラシカルですが、表現はむしろ新しささえ感じます。CGも使われていますが、手描きの世界に違和感無く溶け込んでいます。映像にしても、ストーリーにしても、最近のアニメや映画で得られないアニメーションならではの「感性としてのリアリズム」が最後まで心地よい映画でした。


さて、その日の映画の後、嫁さんと鴨川のほとりで映画談話をしていたところ、手にしていたチーズパンをトンビにかっさらわれてしまいました。まさか2度も来るまいと思ったところに、再来襲!お間抜けにも連続で取られてしまいました。150円分ぐらいは持っていかれたでしょうか。パンを握ったトンビは悠々と対岸の木の中へ姿をくらましてしまいました。
漫画そのままのようなアニメ鑑賞日。皆様、鴨川のトンビには気をつけましょう。

アニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」

 「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の劇場公開が終ると聞いて観てきました。実は2回目。一緒に行ったヨメさんは3回目。熱狂的なファンか?と問われると、そうでもない。エヴァンゲリオンを劇場で観たのはコレが初めて。

 TV放送もリアルタイムでは観ていなかった。きっかけが何か忘れたけど、ビデオを借りてひと通り観たのも随分後のことである。その時少し間盛り上がったもののその後はプッツリ。別な映画で流される新作公開宣伝フィルムを観るたび、なんだか前より映像凄そうよね〜なんだか前より面白そうだよね〜と気になりながら結局素通りしてきてしまった。

 庵野監督に注目していたわけでもなかった。むしろ得体のしれないオタク臭さ(失礼!)を避けていたかもしれない。奥様・安野モヨコ氏の漫画「監督不行届」をヨメさんが買って持っていたのだが、手に取らずまま。今ごろになって、そう言えば庵野監督の漫画無かったけ? ん、アンタ興味を示さなかったから古本屋に売ったよ、ヨメさんは結構あっさりしている。

 ゴジラ目当てで行った「シンゴジラ」を観て、作品よりも監督自身を改めて気になり始めたと言ったほうがむしろ正しい。庵野監督が取り上げられた某テレビ局のプロフェッショナル番組を観て、なんかわがままな建築家だなあ、スタッフご苦労様。と監督がさらに気になってしまった。エヴァの話の筋は正直忘れたけど、25年もの間、ずっと人を惹きつけてきた話の完結をどう締めくくるのだろう?何をするのか?しでかすのか?やっぱり観ておきたい。と正直思った。

 ありがたい世の中である。最終版公開前のネット配信でこれまでの劇場版3作を観て、予習を始めた。あ〜こんなお話だった〜気がする。2回ずつ観たぐらいでは「にわかファン」の装いにも充分でないが、真面目に「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に臨んだつもりである。

 劇場版を観た1回目。正直何を書いて良いのか分からなかった。2回目。やっぱりよく分からない。
 ん、なんなんだろう?でも確かに面白い。
 どうなるの?どうなるの?と思わせておいて、さらに終っても、どうなるの?どうなってるの?と思わせる。イヤな監督である。
 でも25年を経て消化不良も便秘とも思わせなかった。凄い監督かもしれない。

アニメ映画「トゥルーノース」

 この映画を「アニメえいがのひとつ」と思って通りすぎてしまうのは、なんとも惜しい気がします。1週間前に観てきましたが、未だ衝撃的な印象が残っています。北朝鮮の収容所で生き抜く家族の物語。そうひと言で片づけるのは心許ないですが、実情をさして知らない自分がツラツラと語ることは憚られる。そんな映画でした。

 清水ハン栄治監督は、在日コリアン4世。現地取材をはじめ脱北者や元看守の方々へのインタビューを重ね、10年を費やして完成させたそうです。人々の心に留めてもらう為にもエンターテイメントとして観られるものに仕上げた、と言う監督自身の言葉ですが、正直とてもそんな気分だけで観終えることはできません。
 ストーリーそのものもありますが、ひとつひとつのシーンが非常に洗練されていることが分かり、表現として慎重にバランスの取れた抽象化がされています。それでもなお、重層な現実をオブラートに包んでいることがつぶさに感じられるのです。
 アニメーションとしてもとても素晴らしい作品だと思いましたが、この映画はドキュメンタリーなのか?しかも現在進行形なのか? そう思いにかられながらエンドロールを眺めていました。

 近くて遠い国。そこには同じ時間を生きているとは思えない衝撃とともに、自分となんら変わらない人々が生きている事を確信することも出来た気がします。

アニメ映画「ロング・ウェイ・ノース」

 久しぶりにどこまでも清々しいアニメーション映画を観ました。絵本がそのまま動いているような映像はどこまでも奥行き深く、素直に観入れるストーリーはどこまでも潔い感じがします。

 最近の手の込んだアニメや映画を観ると、その瞬間はワクワクどきどきオモシロ〜い!スゴイな〜と感心するのですが、なぜだか後に残りません。しばらくすると、アレ?どんなだったっけ?・・・スッカリ忘れている。だからと言って、改めて映画館で観たいと思うことはほとんどありません。ですが、今回のロング・ウェイ・ノースは見終わった瞬間にもう一度観たい気持ちに駆られました。エンドロールが流れた時には、あ〜もう終わってしもた。。。緻密なシンプルさ加減、アニメならではのリアリティが本当に心地良く、魅了され、すっかり時間を忘れていました。

 金太郎飴のようにどこを切っても素朴な美味しさが味わえる。そんな映画です。数々の賞を獲りながら完成から3年越しでの日本公開だそう。
 決して同じでありませんが、時代をさかのぼり幼いころに観た良質な東映動画を思い出します。映像の裏側で制作スタッフ全員がイメージを共有し、一丸になり作品づくりに打ち込んでいたのだろう。そんな様子をどこか感じさせる快作です。
 是非一度ご賞味のほど。

映画「センコロール」

センコロール

久しぶりにアニメネタ。

 たまたま先日公開のアニメ映画をネットで見つけた。まったく知らなかったけど、その筋では有名な2007年自主制作の第1作が、10年を経て第2作を連ね劇場公開になったと記事にあり、紹介の予告編動画もなんだか面白そう。早速にヨメさんと映画館に脚を運んだ。
 いろんなイメージが交じりつつも作者の画力でオリジナル感も充分、躍動感のある画面構成とスピーディーな話の流れで飽きることなく楽しめた。今風な表現だけど、アニメーションならではの静や動や変化の楽しさが詰まった作品でした。

 「君の名は」で一躍有名になった新海誠監督の出現で、自主制作な活動をしているアニメ作家にもスポットが当たるようになったとは思うのだけど、まだまだコアなファンでないとこうしたアニメ映画をわざわざ映画館まで観には行かないのだろうか? 公開2日目の日曜日最終回とはいえ、少々観客が少なかった。観て損な気がしない充分な映画だと思うのだけど、勿体ない気がしてならない。

 それにしても、映画館で見ごたえのあるアニメ映画をほぼ一人で制作したという作者・宇木敦哉氏の才能と努力に、ただただ驚嘆する。映画の内容もさることながら「やればできるかも」的勇気がもらえる作品だ。

「君の名は。」と「傷物語 Ⅱ 熱血篇」

こないだ特撮映画を観たばかりと言うのに、いい大人がふたりして昨日はアニメ漬け。

新海誠監督「君の名は。」に、いい大人がふたりして若者に紛れながら感動してきました。このアニメ監督さんは15〜6年前に商業アニメさながらのクオリティで自主制作アニメを発表し、そのスジで度肝を抜いた監督さん。と書くとなんだか聞こえが悪いですが、繊細な映像と物語を淡々と発表されてきたイメージがあります。いつも気にはなりつつ間の作品はほとんど観ておらず、たまたま「めざましテレビ」で放送された制作風景を見つけてムクムクと触発され、ヨメさん誘って行ってきたところです。
イメージ通りに美しい映像、切なくて素敵な物語、心地よささえ感じる話の流れにぐいぐいと引き込まれ、圧倒されたとしか言えません。ツッコミどころは探せばあれど、そんな些細な事はどうでもよくなるような完成度。見終わった後、方々から聞こえる感嘆の声に納得する自分がいます。

はじめの予定ではこの後「後妻業の妻」を観るつもりでいました。
ところが「君の名は。」にあまりに感涙したヨメさんから、タイム!の声がかかり、一息ついて、第二ラウンドをアニメに切り替えての鑑賞会とあいなりました。

傷物語Ⅱ熱血篇

「傷物語 第二部 熱血篇」コチラはコチラで(僕は)面白かったです。鑑賞後、ヨメさんからはイロイロとツッコミが噴出。そこのところは、観ていただかないとココでは書きづらいトコロですが、7ヶ月前に観た第一部の背景舞台に使われていた丹下建築が、今回二部ではどう扱われるかが僕には気になっていたばかりでした。
そこのところは今回も十二分に楽しませていただけました。今回のメイン会場は国立代々木競技場。その他の出演建物も実在したものばかりですが、ストーリーの展開に合わせて自在に組み合わされ使われている様は建築コラージュにも見られ、監督さんがどのように建物を読み取ったかを垣間見るような気がします。
なんて偉そうに書いてますが、代々木競技場に行ったことがないんです!!!

「君の名は。」にしても、「傷物語」にしても、なんともすばらしい空間表現を感じます。どちらの監督さんも「もし建築家になってたら」素晴らしい建物を作っていそうな。そんなアニメーション映画二本立てでした。

渋すぎなアニメの聖地?

アニメーション「傷物語」公式hp-制作陣

年末に飛び込んできたプレゼン仕事をようやく終わらせ、結果は天任せにするとしてホッと一息しているところです。今回プレゼンを手伝ってもらったH氏とお昼ご飯を食べて雑談中、正月息抜きに観たアニメ映画「傷物語」を思い出しました。すっかり書くタイミングを逸しましたが、ある事にインパクトがあったので、改めて。

何に驚いたかと言うのは、メイン舞台の一つとなった建物でした。映像全体に渡り、非常に丁寧に背景が描かれた作品ですが、どこかで見たような既視感に襲われます。心象的に描かれた演出に相まって、どのシーンの風景も舞台装置のように象徴的な扱いになっています。その一つが、丹下健三「山梨文化会館」でした。映画を見ている最中にアレっ?なんか似てない?。。。いやいやソックリソノママ。と言っても実物を見たことが無く、昔むかし雑誌でチラッと見た記憶なので自信も無く。ヨメさんに小声で、たぶん丹下健三。。。って呟いていたのですが、後でネットで確かめてみると、やっぱりソックリソノママ。(もちろん、後で自慢)
ネットで誰かそこについて書いてないかと探しましたが、観たアニメも結構オタクな分野?なので、思うほどに見つかりません。ようやく見つけたのは建築とアニメを研究されている明治大学の森川喜一郎氏のツイートでした。
氏のツイートによると「傷物語」に出てくる丹下建築は「山梨文化会館」だけでなく「丹下自邸」も使われている。。。と。なんと!? 残念、そこに気づかないただの建築音痴でした。

最近のアニメでは敢えてロケ地がわかるよう丁寧に描かれることが多くなりました。西宮にも超有名な”聖地”があります。そんな流れの中でも丹下健三は渋すぎです。
確認すると映画はまだやっているようです。日に一本程度ですが、まだやっている人気アニメなのですね。。。も一回、行ってしまいそうです。

何より、こうして描かれ”残され”る丹下建築はやはり偉大です。

宮崎駿の引退宣言

風立ちぬ

風立ちぬ 公式サイト

今日は2020年のオリンピックが東京に決まったことでニュースが持ち切りでしたが、その前は宮崎駿の引退会見でした。しばらく前に「風立ちぬ」を観たところなので、その感想を残しておこうかどうしようか迷っていたところ、40年来の宮崎アニメファンには思いも掛けぬ大ニュースに他なりません。

「風立ちぬ」の前に、大友克洋「SHORT PEACE」も観ていました。正直なところどちらもモヤモヤ悶々としたところが、僕自身には残ってしまいました。尊敬もする巨匠達に何をたわけた事を。って感じですが、やっぱりう〜ん・・・微妙。。。というのが抜けきれないのです。
「SHORT PEACE」は、フランスなどでも盛んなクオリティの高い短編アニメーション群に端を発して企画されたと制作記にありましたが、これが中途に思えてなりません。もっと引き離せる程に頑張って欲しかった。4作のオムニバス作品のどれもとは思いませんが、大友克洋の名を冠してならどれもがそうでないと納得できない方も多いのではないでしょうか。
その後「風立ちぬ」には、「SHORT PEACE」のモヤモヤを払拭して欲しいと勝手な思いで観に行ったのですが、お話は悪くは無いのだけどナンカう〜ん。初期ジブリ作品にあった爽快感まで期待していたわけではありませんが、名シーンをつなぎ合わせた宮崎アニメ回想録のような、一体どこに向かっているのか分からない気がしたのです。

そんなモヤモヤで感想を書くか書くまいかでしたが、そこに宮崎駿監督引退の大ニュースだった訳で、え、アレっ?て感じになってしまっていたところでした。
身勝手極まりなく、このモヤモヤをどうしてくれるのだ。。。
そんなことを思っていながらも宮崎駿の引退記者会見全文を見つけて、読み終えたところ、ようやくモヤモヤが解消されました。

ニュースでも和やかな会見と紹介されていましたが、この全文を読んで、宮崎駿ってやっぱりこういう人なんだと納得出来た気がします。往年のファンと偉そうに書いてますが、特別追っかけでもなく上映された作品に毎度クダ巻いているだけです。この会見のやり取りは、宮崎駿という人が飾り無くとても良く現れていて、これまでの軌跡を分かった気にさせてくれます。
モヤモヤの大きな原因は、なによりもアニメーターとしてのすばらしい表現をアニメ職人宮崎駿に期待しているのだけど、映画という作品の形になるとつい監督宮崎駿を評価してしまって、自分が何に期待していたのかが混乱する。勝手に想像すると、作る度に完璧を求められているのだから、アニメ職人としては重圧よりも不自由を感じていたのではないだろうかとも思えてます。知名度が無かったころから宮崎駿の映像(アニメ)表現に心躍らせていましたから、こちらとしては映画監督としての葛藤は知る由もなかったという感じでしょう。もっともっと好きな事すれば良いのになんだか残念、さらに勝手な事を思っていたのかもしれません。

ただそれでもやっぱりスゴイ人です。「風立ちぬ」の製作中、現役アニメーターとして毎日7時間机に向かうのが限度(若い頃は12時間)だと会見で話されていますが、なんといっても72歳です。自分が72歳まで、おおよそ25年まだあります。その日が来るまで毎日7時間机に向かうことを想像するのは容易くありません。ちゅ〜か、できません!

ものづくりの姿勢を含めて、こうじゃないと出来ないよな・・・と思えます。
ただ、「お疲れさま」は、まだもう少し先のよう・・・だよな、です。

SHPRT REACE

映画『SHORT PEACE』オフィシャルサイト