アシナガバチの巣づくり観察はじめ

6月はじめころ

 事務所の軒先に、アシナガバチが巣を作り始めているのに気がついて、ひと月以上が過ぎた。毎年夏のはじめ、良く事務所に迷い混んでくることがあって、そうした時は必ず軒先のどこかに巣を作り始めていることは分っていました。
 縁側を気ままに飛び交っているのは蜂の自由ですが、部屋に入ってくるとさすがに落ち着きません。迷い混んだ蜂をアレコレしながら捕まえて、何度も外に逃がしています。ちょっとした夏の風物詩?になっています。

 いつもは、軒裏でもよく見えないところに巣を作ることが多かったのですが、今年は、ちょうど観察しやすい場所に作り始めました。
 巣作りに精出す様子を観察始めると、なかなか面白い。巣は六角形のハニカム構造でなんとも建築的だし、とてもシステマチック、細い支柱はアクロバチック。巣づくり作業を休憩の度に伺い見るのが楽しみになりました。調べてみると、アシナガバチの巣の材料は「和紙」にも例えられるそうです。

 巣作りの始め、1匹の蜂がせっせと作っているのが分ります。アシナガバチの生態を良く知らずにいたので、コイツはオス蜂だとはじめ思っていました。しばらくして1匹増えたのを見つけて、メス蜂が来て「つがい」になったぞ。ヨシヨシと好き勝手思いこみそうになった矢先、更に1匹増えています。
 ん、アレなんか違うな〜。言う間にまた1匹増えている。どういう夫婦構成なんだ?そんなことさえ、良く分らず見ていました。

 いつの間にか蜂の数が増えてきて、巣作りの様子も慌ただしい。近づいて見ていると、口元でクルクル白いものを廻して巣の材料づくり?、順繰り巣に頭を突っ込んで清掃作業?、なにやら分担作業をしているように見えます。ひとつひとつの巣の奥には卵か幼虫のような影もあったり。

 巣のサイズも、始めに比べひと回り大きくなってきました。当初の巣穴も清掃され再利用されていることも、見ているうちに分りました。
 中心付近の巣穴は深くなりながら徐々に前に押し出され、穴の奥は適度に埋められているのでしょう。併せて周辺の巣穴も深さが増していき全体が大きくなっていきます。
 ちいさなカプセルホテルが建設されていきます。

 しばらく眺めているうちに、孵化した蜂が順繰りに働きバチになり、共同作業に加わりながら巣作りを進めて行くことに気付きました。という事は、自分の巣立った巣穴も自らリニューアルして次世代の巣穴にするわけです。この調子で作業員が増やし、加速度的に巣は大きくなっていく。
 よくできたシステムだと感心しました。

 アシナガバチは、毎年1匹の女王蜂がイチから巣作りを始めますが、冬までの一年限りだそうです。再利用もない。まるで「万博パビリオン」みたい?です。( 最近は再利用されているパビリオン建築もありますが・・・。 )
 ひと月経って巣はシャワーヘッド並になってきました。どこまでこの紙の建築工事が続くのか、目が離せなくなってきました。


 話が逸れますが、夕暮れになって軒下をうまく飛べない蜂がいました。ブンブン飛び立つ度に軒裏に頭をぶつけて、巣に近づけないでいるように見えます。
 もしかして。ネットで検索してみると、夜になると視力がかなり落ち、ほとんど何も見えなくなります。とある。夕方5時すぎになると、巣の廻りに数匹がへばりついてあまり動かない、今日の仕事は終わりという様子が気になっていた理由が分りました。
 そう言えば、昼の暑い最中にも巣に集まって休んでいる時もあります。昼休みかいな。まるで現場の職人さんと同じです。

 アシナガバチも時期や状況によっては、人を襲うこともあるそうです。
 観察される時は、充分注意しながら行ってください。

セミナー|松本工房の本づくり〜演劇編〜

自宅にあった松本工房出版の書籍。表紙には、仮フランス装(*)という装丁方法が使われています。

先日、ヨメさんが見つけてくれた本のデザイン・出版に関するセミナーに参加し、大阪の出版社「松本工房」代表、松本久木氏の稀有な活動に触れることができました。尼崎のピッコロシアター閲覧室というこぢんまりとした空間で、20名ほどの参加者を前に繰り広げられた1時間半は、まさに目から鱗の連続。


「一人出版社」として追求する本の可能性

松本氏はご実家が演劇に関わっていたことから、芸術分野の書籍制作・出版をされています。驚くべきは、企画から編集、校正、ブックデザイン、製本手配、宣伝販売、さらには関連アイテムの制作や販路開拓まで、出版に関わるほぼ全ての工程をお一人でこなされている点です。

しかし、心を奪われたのは、その制作工程以上に「本の装丁」そのものでした。単に表紙が美しい、デザインが変わっているというレベルではなく、松本氏が手掛ける本は、「本」の作り方そのものから徹底的に練り上げられています。使う紙の種類、綴じ方、装丁方法、カバーの素材など、あらゆる製本技術の中から、内容や作家に最もふさわしいカタチを熟考し、緻密かつ大胆なブックデザインへと昇華されているのです。その並々ならぬこだわりは、造本装幀コンクールでの受賞実績にも表れています。


作品への深い敬意が息づくブックデザイン

セミナーでは、4名の演劇演出家の戯曲や記録、日記を書籍化した事例が紹介されました。松本氏は、それらの原稿のほぼ全てを読み込み、その内容に合った本のイメージを具現化することに心血を注がれています。

例えば、粗野なイメージの作品にはあえて背表紙のない製本を施したり、捉えどころのない作品では淡いグラデーションの中に目を凝らさないと読めないような題字を配したり。ペンネームに「銃」の字を持つ作家の本では表紙に穴を開け、フランス思想を感じさせる作家にはフランス装という伝統的な装丁方法を用いるなど、その発想は多岐にわたります。シリーズものでは、全体を見通して初めて一つのデザインが完成するような仕掛けや、言われなければ気づかないような細やかな工夫が随所に凝らされています。

実際に現物を見ると、素人目には採算が取れるのかと疑うほど凝った作りばかりで、製本工場から「これは無理」と断られることも少なくないとか。アートやデザイン系の書籍、絵本などでは珍しい装丁を見る機会はありますが、独りよがりで無く、商業ベースに乗せることを前提にしているのが驚きです。


クライアントの期待を超える「本」の創造

松本工房の書籍は、それぞれに書籍化を望むクライアントが存在することで成り立っているとのことです。しかし、出来上がった本はクライアントの期待をはるかに超えるものばかり。自費出版とは異なり、ビジネスとしての成立も目指されています。

「楽ではないが、一人だからこそできる」という松本氏の言葉の裏には、計り知れない労力があることでしょう。今回紹介の書籍は劇作家の作品といった特殊な分野ですが、作家や作品への深い敬意を持って唯一無二の形を創り出すその姿勢は、もはや「出版社」というよりも「本づくり作家」と呼ぶのがふさわしいと感じました。

松本氏がされている本の装丁は、まるで、クライアントから終の棲家(ついのすみか)を頼まれた建築家が、その思いを定着させるための最適な器のように、「本のカタチ」を探る作業にも感じられます。
目の前で「べらぼう」を見たかのような気がします。もの作りに向かう姿勢を正された機会になりました。


*仮フランス装 : 元々書籍の装丁を家人の好みで揃えるため、ブックカバーを手作りしていたフランスの文化から始まったスタイルだそうです。本来、手折りでするものを「フランス装」と呼び、機械で疑似的なスタイルにしたものを「仮フランス装」と呼ぶそうです。

自宅に取付けた木製ポストカバー

取付けた木のポストカバー
木板製ポストカバー。

自宅の玄関戸横には年季の入ったポスト口(ぐち)が添えられているのだが、その廻りの薄塗り左官材にヒビが入って、今にもハガレ落ちそうになっていた。下地もチラホラ見えている。指で押えればペコペコする。ヨメさんから再三直して欲しいと言われていたのだが、左官の壁を修復するとなるとちょっと大層。どうしたものかと、悩む振りだけしながら放ったらかしにしていたが、さすがにそろそろ限界か・・・。

なにかしらカバーしてごまかそうと考えあぐねた揚げ句、木の板でカバーを作ることにした。
とは言え、口を空けた木板を貼り付けるだけでは芸がない。薄い板だと安っぽくなりそう。少しばかりの工夫をすることに。

厚みは2センチぐらい。それ以上だと、立派過ぎてやりすぎ感が出そう。パっと見には分らないが、ポストの口に合わせた穴は、雨水が切れやすいように少しばかり斜めに空けるのがよい。ただ、そんな芸当は日曜大工の道具だけではちょっと無理なので、図面を描いて懇意の製作家具屋さんに制作をお願いすることにした。

家具屋さんから届いた木のカバー板が立派だったので、その時点でヨメさんの不満はクリア。予めネットで買った撥水塗料を施し、ホームセンターで購入したそれっぽいボルトビスで取付けてなんとか完成。予定よりも立派になってしまった。

取付けた当初は、なにやら和風旅館の部屋名板みたいだったけど、直に、前からそうだったかのように馴染んできた。その他イロイロ言われておりますが、わが家事情ひとまず一件だけ落着。

年季の入ったポスト口
元のポスト口はこんなんでした。
届いたポストカバーとセラミック塗装
ポストカバーの材料は広葉樹の指定で、家具屋さんに選んでいただいたところ、メープル材で届きました。奥は撥水セラミック塗料。
ポストカバーの図面

着色板張り外壁18年目の塗り直し

AZUMA-FOTO|奈良の写真館18年目|庄司洋建築設計事務所
塗り直し前。西面の様子

去年のことですが、完成して18年を過ぎた写真館「AZUMA-FOTO」の外壁塗装の塗替を行いました。杉板張りの上に黒塗装を施した建物の特徴となる面です。東西南北ありますが、写真は主となる西面。

ご相談を受け赴くと、特に南面は板の反りもあり一番傷みがありました。それと比べると、北面は塗装面にまだ多少の艶も残り、やり直しが必要ないぐらいにも見えました。雨の掛からない西の軒下面も塗装の傷みはまだ少ない様子です。広い前面道路の角地にあるので、四季を通じて陽はサンサンと当り、風雨に晒される経年変化が非常に分りやすく現れています。
こうして拝見すると、南面が一番厳しい環境なのだとよく分ります。

色変更のご希望もあったのですが、当初が黒なので濃い目の色を選んだとしてもムラがでないか心配で、費用を抑えるためにも間違いのない黒の塗り直しとさせていただきました。
当初塗装はステイン系木材保護塗料の中ではシッカリ色の付くタイプを選んでいました。今回も同じものを使う手もありましたが、傷み具合で吸込みも変わり塗りむらが強くでるのでは?と考え、塗りつぶしタイプで且つ、天然素材の顔料で色褪せの少ない木材保護塗料を提案させていただきました。塗りつぶしタイプの塗料ではツヤありがほとんどですが、ツヤ消し剤を使わずにベースがマット調の塗料です。(実際には半ツヤよりもやや押えた感じぐらい)

お願いした工務店さんには痛んだ外壁を一部貼り直しなど手を入れていただき、板張り全体にも押えクギの打ち直しを出来るだけ目立たないよう丁寧にしていただけました。
塗り直しが終わると、建築当時の勇壮さに戻りひと安心です。

AZUMA-FOTO|塗替した外壁板張りの様子|庄司洋建築設計事務所
節のところは多少塗装のノリが違うので、見上げると当初塗装よりも少しだけ目立つ感じになった気がします。
AZUMA-FOTO|奈良の写真館塗替後の様子|庄司洋建築設計事務所
庇にしているポリカー屋根を貼り替えていただいています。2階の大きな窓上にも庇を取付けてもらいました。

おの桜づつみ回廊

絵に描いたような染井吉野の並木風景は、春の散歩にぴったり。
逆さ桜。水面に映る桜の木々。大勢の人が撮影を楽しんでいました。
夕日に照らされた桜並木。
夕方6時から始まるライトアップ。
こっそりお月さまも見えてます。
ライトアップされた夕暮れの桜並木はなかなか壮観です。

小野市「おの桜つづみ回廊」お花見に行ってきました。
テレビで紹介されているのを見つけ、仕事先の現場に近いこともあり、一人こっそり行ってみようかと目論みましたが、そうはうまくタイミングも合いません。ヨメさん誘って行くことに。平日だし半日で帰ってくるだろうつもりが、結局、ほぼ一日のお出掛けになりました。

車で近づきはじめれば、河川敷の桜並木が想像をはるかに超えて延々と続いているのが圧巻。廻りはほぼ田園風景です。土手上の小道を歩きはじめれば、桜以外ほとんど視界に入らずに済み。樹の背も低く揃っていることで、やわらかく桜の天蓋に包まれる気分に浸れます。これはなかなかに幻想的です。
平日で混み合ってもおらずお天気にも恵まれ、爽やかな散歩を楽しめました。往復して戻ってくるころ、ライトアップが始まるのでしばらくして待つことに。暗くなって帰ろうとすれば、行き違いで夜桜を楽しみに人が増えてきました。

桜は満開手前の様子なので、まだ1週間ぐらいは充分楽しめそうです。メイン回廊は染井吉野ですが、延長には大島桜、江戸彼岸など、長い時期楽しめるように植えられています。
まだしばらくは、一人こっそり行っても充分楽しめそう。

こども園設計を通して

去年の11月中頃。
去年の12月中頃。
今年の2月中頃

写真は現在こども園でさせていただいている増築工事の模様。もう少しで完成です。
幼児トイレと給湯室を備えた子育て支援室と倉庫だけの別棟になります。

こども園(保育所)の仕事を初めてさせて頂くようになったのが、およそ14〜5年前から。その後次々と仕事が続いた訳ではありませんが、細く長く繋がっている感じです。
こども園の運営形態も様々なので一概に言えませんが、お付き合いさせて頂いている園は園長先生がそのまま経営者であるような施設がたまたま多く、意思疎通がしやすかったのは幸いでした。
それだけ先生が持たれる希望や方針が、ストレートに分りやすく反映されます。

  • 子供らにとって楽しい場所。居心地の良い場所。
  • 色とりどりな空間。木の香りのする空間。刺激を受ける空間。
  • 一方、先生が動きやすい施設。掃除がしやすい施設。などなど。

初めて仕事で訪れた園は、園内に一歩入ると、ダレ?誰のお父さん?何しに来たの? はだしの子供がすぐさま集まって来るようなワンパク系?。思わず、ひぇ!と驚いた事を思い出します。
次の園ではまるで逆。子供たちはみな制服をきっちり着ており質問の前にまず、コンニチハ!と言ってくれます。で、こちらもコンニチハ!と返す余裕を持たせてくれるオリコウサン系?。
子供たちの様子は、園の方針がどちらも端的に現れています。どちらが良い悪いではありません。度々に訪れるとそれぞれに感心することがあるのです。

そうした園の様子は設計の際にも、打合せのなかで方針や希望として現れます。
それは、住宅の設計で施主さんの希望や方針となんら変わりません。我がままもむちゃ振りも同じです。
事務的なところはそれぞれに違いはありますが、こども園設計も住宅設計も建物を具現化するところでは「人の住まい」。同一線上です。

お陰で住宅の設計と変わりない楽しさを感じさせて頂いています。住宅設計での経験をこども園の設計により反映させたいところです。いろいろな園、先生と出会いも楽しみです。
とは言え、自分が幼稚園通いだった頃にどんなだったのか? 全くもって思い出せません。

謹賀新年2024

明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします

穏やかな始まりを迎えることができました。
そして巳年の私は、5回目の年男となってしまいました。
更なるステージに立つ今年は、ステップアップあるのみです。
みなさまも、心豊な一年をお過ごしくださいますように。

西宮・廣田神社の「巳っ子守」

「兵庫県立総合射撃場」見学してきました。

兵庫県立総合射撃場
 播磨の山間、三木市に完成した「兵庫県立総合射撃場」見学会に参加してきました。

 各地でクマやらイノシシやら野生動物が街中に出没するニュースが増えたと思っていました。北海道を震撼させたヒグマOSO18のいつのまにやら捕獲も、まだまだ記憶に新しいニュースです。
 北海道だけの話で無く、野生鳥獣の生息域拡大のひとつの原因が狩猟者の高齢化・減少。こうした現状を踏まえ、野生鳥獣の捕獲「狩猟」の知識や技術を習得する機会を提供し、担い手育成の施設が必要です。
 兵庫県立総合射撃場はこうした目的と併せ、射撃競技者の拠点を目指す施設だそう。

 車で到着すると、なにやらデッカイため池でも作るのか?とも思えそうな、すり鉢状の射撃場が目の前に拡がりました。大きいものを見ると、意味もなく興奮気味。ホォ〜〜〜。
 見学会の本来目的は併設の木造管理棟なのですが、そちらはソコソコ。どうしても、初めて観る射撃場というものに、ただただテンションが上がります。

管理棟
管理棟。木造平屋建て。事務室・会議室・ロッカールームの他、狩猟後の処理加工室が備わっています。イノシシやらシカやら、ジビエ料理を楽しむための調理室も。
管理棟ホール
中央ホール。競技の際は受付けスペースになるのだそうです。
展示されていた「わな」いろいろ。

 会議室で1時間ほどの講義を受けた後、管理棟内の見学。
ここからが本番? 楽しみにしていた射撃場の各施設見学に出陣。

ライフル射撃場
ライフル射撃場。遠くの的で100M。近くの的で50M。吊られて動く標的も出てきます。
壁や天井の板張りのように見えるところは、実はすべて105ミリ角の柱材。誤射などの際、コンクリート壁のままだと跳ね返りで被弾の恐れがあるため、100ミリ以上の木材を張るのが規定にあるのだそう。
ライフル弾とスラッグ弾
ライフル弾とスラッグ弾。的中心は5センチの円。
エアライフル射撃場
エアライフル(空気銃)射撃場。こちらは競技中心です。高校生の部活利用も想定されているとか。そんな部活もあるところにはあるのね。とちょっと驚き。
ビームライフル射撃場
ビームライフル射撃場。参加者全員に体験射撃をさせていただきました。
 私も3回撃たせてもらいました。80点、70点、最後は真ん中100点。まぐれ当たりでも、指導の方に上手いですね〜、と褒められ少しばかり有頂天。明日からアスリート目指そうかな。
クレー射撃場
クレー射撃場。左に射撃スペースがあり、右の山壁まで約230M。クレー射撃はショットガン(散弾銃)を使いますが、散った弾のうち最大飛距離がそのくらいだそう。
射撃スペース
射撃スペース。コチラに立って、下から飛んでくるクレー(円盤)を撃ち落とします。
クレー発射装置
クレーの発射装置。競技者は側に設置されるマイクに向かって「ハイ」と声掛ければ、どれかから自動で発射されます。クレー自体が飛ぶのは3分の1ぐらいの距離までとのこと。
クレー発射装置裏
クレー発射器を裏から見るとこんな感じです。
クレー射撃場お掃除車
散らかったクレーやら散弾のための、やたら可愛らしいお掃除車。ルンバではなさそう。ここを掃除するには、ちょっと小さすぎないかと心配します。
射撃の弾は鉛製のため、鉛処理施設も揃っています。
兵庫県立総合射撃場
こんな広いところに立つことは、なかなかありません。
(オマケ)上の画像をクリックすると、パノラマ画像が見られるかも。

 はじめてづくしの見学会に、興奮さめやらぬ一日となりました。
 それにしても広い施設でした。相当な事業費も掛かっているでしょう。しっかり鳥獣被害対策に繋げて欲しいものです。
 この施設は、世界的な大会も対応可能な設備も揃えているとのこと。そうした大会が行われるなら、また一度訪れたいものです。
 もしや出場している時には応援にお越しください。

事務所前の市営住宅解体と日照問題

今、事務所前には白い壁。
今、事務所前には白い壁。

 私の事務所前には、道を挟んで古めの市営住宅が2棟横並びに建っていました。

 しばらく前からその市営住宅の解体撤去工事が始まった。ウォンウォン、ドドドド、ガガガガ、微震動が続いているかと思えば、ドォォォ〜ン、木造平屋の事務所が揺れます。その瞬間に地震が来ても間違いなく気付きません。
 それにしても、アッと言う間に壊されるものです。仮にもコンクリート造の4階建て集合住宅。つい先日、防音壁の囲いに覆われたところなのに、上階から壊される順に外されて行く。防音壁が見えなくなったところで、仮囲い壁にあるアクリル板から中を覗いてみるとコンクリートと鉄筋のガラが山積みになっていました。ヒェ〜。
 とは言え、まだ2棟の内の1棟が跡形なくなったところ。合わせて基礎撤去も始れば、しばらく揺れる日々は続きそうです。

 去年内から近隣住民へ、市営住宅建替え工事の近隣説明会がありました。

 当事者側になる事は今まで無かったので、ご近所さんに紛れて説明会に参加。同業に特段ナニを文句つける訳でも無く、どんな手順でされるのだろうか? どちらか言えば興味本位。ご近所さんには申し訳ないばかりですが。。。
 それでも皆さんの要望から、6階建てだった計画が5階建てになった経緯に、ひとり感心していた訳です。

 ただ残念な事に、建替え後には事務所への日照が間違いなく悪くなりそう。
 これまで南正面に2棟が間を開けて壁の様に立ちはだかっていたのですが、冬でもその合間から陽が射す時間がありました。ご近所皆さんのお陰で5階建てになったものの、これまでより高くなります。さらに2棟合わせた横にビッグサイズの1棟建て、事務所南正面に大きく立ちはだかる事になります。
 しかも運悪く、事務所はそのビッグサイズのほぼ中央に位置するため、説明会で配られた日影図で見れば、一番最悪な場所にありました。

 ただただ、がっくり。

吹抜けを挟む内窓。
吹抜けを挟む内窓。

 こちらは、一年前に完成した住まい。南側に広い駐車場があり、今は良い環境です。
 ただそこに高層建物が建ってもおかしく無い都市地域。その将来を考慮しながら1階のリビングに陽を届ける窓付きの吹抜けを計画しました。
 吹抜けを挟んだ部屋には、面するところに内窓をさらに設けています。陽の角度によって各部屋に入る明かりを吹抜けへ取り入れる工夫もできます。

 変化の多い都市や街に住まいを建てるなら、今ある環境だけを見ているだけでは足らないかもしれません。ご検討の方は、いろいろ想像してください。

アップルウォッチとApple Watch

1990年アップルウォッチと2023年Apple Watch

嫁さんがAppleWatchに夢中になっています。

 身に付けているだけで睡眠時間やウォ―キング中やら察知してキチンと記録してくれるものだから、それが面白く健康管理に今はまっています。

 睡眠記録が特にお気に入りらしく、自分が感じているリズムと合致すると、ソウソウそうなのよと喜び。意に沿わない記録になっていると、ナンカチガウ、なんでかな?とブツブツ文句を言っています。その後は、ミテミテ今日は「アマリ」眠れてないのよネ〜と同意を求めに解説をはじめます。
 スマホだと置きっぱなしの歩行記録はありませんが、AppleWatchだと家事をしている間も記録されています。今日は「ニマンポ」歩いてヘトヘトやわ。。。と、イチイチ報告と主張をはじめます。

 コチラから見れば、健康的なのやら不健康なのやら。しばらくすればブームは過ぎ去り平穏になるはずですが、もうしばらくは続きそう。

ノベルティーのアップルウォッチ

 併せて去年のこと。押入れ奥の宝箱?からアップルの景品腕時計を嫁さんが救い出し、地元の時計屋さんに持込み電池を入れ替えてくれました。
 おかげで息を吹き返した懐かしいアップルウォッチは今、下駄箱上の置き時計変わり。

 真面目に腕時計をはめた時期は、社会人になる前後だけぐらい。腕時計をはめたままにするのが苦手だったのか、直ぐ外してポケットに入れたり、どこかに置きっぱなし。揚げ句に見失い往生するのが嫌で、スッカリ持ち歩かない派です。
 どこかしら時計はあるもので、たまに焦ることはあっても、普段は特別困ることはない便利な世の中。携帯電話を持ち始めると、ほとんど関心は無くなっていました。

 と書きましたが、仕事やお出かけの始めと終わり、家の下駄箱上のアップルウォッチは心を和ませてくれています。これが一番健康的。

嫁さん持込みの時計屋さん。お仕事中のお二人はモノクロ写真が似合いそうなので。
手元向こうにわが家にあるアップルウォッチが見えています。懐かしいですね〜と作業をしてくれました。ご存知だったのが、何やら嬉しい。
Welcom to Machintosh
はじめて買ったマック( Performa 6200 )に付いていたウィンターキャンペーンに応募してもらいました。まだまだアナログ時計が馴染む時代だったのです。

命名「 NOYA 」

完成写真撮影の様子
昨年12月の終わりごろ、完成写真撮影の様子です。

ご報告が遅くなりましたが、昨年末に引渡しが無事終わりました。

年始から次の物件準備に慌ただしくなり、写真家さんから届いた完成写真をなかなか整理出来ずにいましたが、重い腰を上げてお披露目いたします。

住まいは「 NOYA 」と命名されました。

自然に恵まれたロケーションにある住まい「野と屋」
離れに納屋を持つ計画「納と家」
大阪のてっぺんの町での暮らしの拠点「能の家」
3点セットで、少々かわいらしく。

この場を借りて、NOYA の工事に携われた施工者の皆様に深くお礼申し上げます。
設計者として、楽しみながら関われる物件に巡り会えました。施主様に感謝です。
これからは、施主様の暮らしが NOYA と共に末長く続くことをただ願うばかり。

完成写真・住まいのご紹介はこちらから。

謹賀新年2024

明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします

初詣の参拝に神社の屋根を見上げると、瓦の上には蒼い空が拡がっていました。
引き込まれる青さに、すっと心が落ち着いた気がします。
この気持ちを持ち続けられるよう日々を大切にしたいです。
みなさまも、心穏やかな一年をお過ごしくださいますように。

西宮・廣田神社の干支神楽・よりそい土鈴
白は「健康」、紅は「幸福」を表すのだそうです。

工事完了。

工事前、今年1月頃の敷地
工事前、今年1月頃の敷地です。計画図・見積もりが終らぬ段階から工務店さんと現地確認をはじめていました。

今年5月終盤に地鎮祭を行ってから約7ヶ月。先日、施主様へ引渡となりました。
施主様と始めてお会いしてからだと、2年を過ぎたところです。

計画・設計では、期限付の申請や浄化槽の設置など始めて経験する事も多くありました。
工事では、少し風変わりな物件を、工務店社長を始め、棟梁・大工さん、職人の皆さんは楽しんで頂けたように見えました。人に恵まれたと、コチラが勝手に思い込んでいるだけかもしれませんが。。。

偶然も重なり、色々なところで巡り合わせを多く感じる物件でした。
無事完成に辿り着きホッとしているところ。皆様に感謝いたします。

基礎工事の様子。
6月は基礎工事。
7月のはじめ上棟後の建物外観。
7月のはじめごろ、棟が上がりました。
屋根工事の様子。手伝い大工の皆さん。
棟上げでは、沢山の大工さんが応援に来ていただきました。
この後、7月の間はほぼほぼ躯体工事。8月前半は断熱気密工事が中心になっていました。
棟梁。
8月中頃から棟梁が中に入り、内装工事に取り掛かり始めています。
夏の間、羽曳野が拠点の棟梁は現場横の倉庫棟にテントを張って寝泊まりしてました。
付帯工事。
10月。大工工事がひと通り済んだ頃から周辺の付帯工事も少しずつ同時並行。
下見に来た左官屋さんが、なぜか手伝いをさせられるハメに?
電気屋さん。
遠いのに、こまめに来られる電気屋さん。
クロス屋さん。
クロス屋さん。塗装や左官のための下地クロスを貼っていただきました。
階段取付けの様子。
階段スチール部材の鉄工屋さんとはお会いしていませんが、気になっています。
工事終盤、棟梁と別の大工さんが手伝いに来てくださいました。
防水屋さん。
丁寧な仕事ぶりの防水屋さん。
社長と大工さん
社長と大工さん。やり取りをこっそり聞いていると、ちょっと面白い。
カーペット屋さん
11月。カーペット屋さん。
ひと息つく大工さん
12月。外構工事も終ってやれやれの大工さん。お疲れさまでした。
社長と電気屋さん。
12月。すっかり寒くなってしまいました。

タイミングが合わず撮れずのままになった職人さんが他にもいます。小さな物件でも、大勢の人が関わりながら出来上がって行くのが、後から見返すと良く分かります。

完成写真の撮影を後日に控えています。今は撮影当日が晴れることを祈るばかり。

仕上工事も終盤です。

1階壁の左官仕上
1階壁の左官工事が終了。ワラスサの入った材料に引きづられてモダンなイメージを壊さんよう、コテコテせんようにしてください。と曖昧な指示をしていましたが、シャープさも残って想像以上にいい感じです。それでいて、近くで見ると質感もシッカリ感じられる味のある壁になりました。

先日ようやく、完了検査を無事終了し肩の荷が下りたところです。
もちろん仕上工事はほぼ終了し、現場はとてもスッキリしてきました。ここまで来ると後は成るように成る、と言ってしまいそうなところですが、気を抜かずもうひと息。
内装の仕上の様子を、前回引き続きご紹介。

浴室扉も左官材仕上
写真は浴室ドア。マイクロセメント系左官材で超薄々コテ仕上げをしてあります。シャワー室などの内装でも使える防水仕上にもなります。
浴室扉のレバーハンドル
コチラは浴室ドアのハンドル錠。防音室に使うような製品ですが、錠自体は浴室外になり水も掛からず、切欠孔も少ないことで選びました。
キッチンは施主様支給です。
計画以前。施主様はすでに、ご友人から不要になった写真のキッチンを譲り受けられていました。という事で、このキッチンありきで間取りは決定しています。
奥でしている社長の作業は、これもまた施主様から預かった古建具をトイレ扉に吊下げるところ。
キッチンの足元目隠し板
キッチンの足元隠しに、杉の足場板を貼ってもらいました。綺麗に納まり過ぎたな〜と感じていたところ、工務店の社長さんがナニヤラカンパニーの製品みたいになってしまいましたね。見透かされてしまいました。ですが自然材。年期が入って渋くなっていくのが楽しみです。
カーペットのフェルト敷き
2階床はほぼ一面カーペット敷き。絨毯(じゅうたん)敷きの床は、独立後に当らなかったので実に20年以上振りです。
壁際など周囲はグリッパーと呼ばれるトゲ付きの縁材に引掛けながら納めます。
カーペット作業の様子
ジョイント部分は裏面で溶着して繋ぎあわせます。仕上がった後、繋ぎ目がほとんど分からないぐらいになっていました。
職人さんがキッカーという道具で絨毯のシワを蹴飛ばしながら張り伸ばす様子は重労働。
張り上がったカーペットの様子
仕上がった床を歩かせてもらいました。う〜んコレは、と〜っても気持ちいい。
夕暮れに浮かぶ1階リビング
夜になると照明でやわらかく中の様子が浮かび上がってきます。ショールームのようになってきました。工務店の社長と共に自画自賛。
ギャラリーのようなリビング壁
床は最終仕上前ですが、間接照明の左官壁がどこかのギャラリーのように見えます。

残すは外構工事があと少し。外は本当に寒くなって来たので早く終らせたいところ。
植栽・ガーデニングは施主様ご自身で徐々にされます。内外共に変化が楽しみな住まいになってきました。

仕上工事の真っ最中です。

外観の様子。

私事インフルエンザに掛かってしまったおかげで仕事が立て込み、しばらく記事も書けずにいましたが、現場は設計者に構わずどんどん進んでいきます。
そんな訳で今回は、似た向きの2〜3週間前の写真と直近の写真を並べてみました。経過の様子も合わせて感じていただけると幸いです。

1階ボード貼りの様子
まず1階の様子。
天井のボードが貼られはじめ、空間サイズが感じられるようになってきました。
1階居間の様子
3週間後。
塗装工事も終り、天井は仕上がっていました。エッグペイントという卵殻が混入された塗料を使用しています。
外周壁は下地壁紙の状態、まだ仕上がっていません。天井と違う仕上げになります。この後の変化が実は楽しみ。
天井高さを掃き出し窓の高さに合わせてあるので、抜け感もなかなか良い具合です。
床にナニヤラ転がっているのは階段の部材です。
2階羽目板の様子
次は2階の様子。
天井と斜め壁に吉野杉の羽目板が貼り終わったところです。
2階寝室の様子
2週間後。
下地壁紙が貼り終って、スッキリしてきました。
この後、1階天井と同じ塗装仕上になります。
凹凸の少ないフラットな塗装仕上は、下地の状態が仕上りに直結します。
ビス跡埋めやボードの継ぎ目などパテ処理が平滑でなければ、塗装下地の壁紙を貼っても案外現れてしまいます。凸凹した仕上は一見豪華に見えますが、塗装にしてもクロスにしても、こっそりごまかしが効く訳です。
往々にしてフラットな仕上がりほど、職人さんとしては避けたいものです。
吹抜け見上げの様子
3週間後。
吹抜けの仕上がった壁を見上げた様子が、なかなか恰好良いです。
階段取付の様子
吹抜けに階段の取付け作業が始まりました。塗装の仕上がった壁に取付けるので、ひときわ慎重です。
吹抜けの中に斜めに配置しているので、位置決めにひと苦労。
段板取付の様子
船底形状になったちょっと変わった形の段板が取りつきます。テーブル天板の材料と加工を利用しています。
階段見下げの様子
残念ながら本日作業はここまで。完成を見るのは次回に持ち越しです。
浴室下地の様子
お風呂場2週間前。
浴室防水の様子
お風呂場の防水施工の様子。ユニットバスでは無くFRP防水による造作浴室です。職人さんは凸凹が少なくなるようグラインダーで長い時間削っていました。
浴室仕上がりの様子
とても平滑な仕上がりになっていました。職人さんの丁寧な仕事が伺われます。
この後、置型浴槽が窓際に座ります。
外部パーゴラ
外部では建物取りつきのパーゴラ設置が行われています。
建物完成までもうひと息!

建物が完成に向かうにつれ、仕上がっていく様子を見る事がついつい楽しみになります。本来の監理業務を怠らないよう、気の引き締めが今は肝心肝心。

地味な下地生活

仕上がりに近づく建物外観
外壁の波板が全周廻って、建物の全景がどことなく見えてきました。

外観が出来上がってくると、周りから見れば工事が進んでいるように見えてしまいます。ですが現場は今こそ要の本番?。

「地味な下地生活」と冗談めかしたタイトルを書きましたが、仕上工事に入る前、下地工事や配管・配線の設備工事がシッカリと出来ていないと、後々に大変な事につながります。後から、こうしておきたかったのに〜〜〜と、ダダを捏ねても下地が無ければどうしようも無く、代替案を画策することシバシバ。

各業者さんは現場と図面を何度も見返し、抜けが無いかチェックします。現場で一番気を使うのは、仕上工事の段階でなく今この時かもしれません。コチラも出来上がって行くに従い、仕上りの事に気がいってしまいます。同時に下地のことがついつい頭から離れていきます。
どうしたことか、施主様に散々言われていた要望がスッカリ抜け落ちていた!と後に気がついた時。。。もう〜冷や汗もの、時空を遡ります。

さらに現代の断熱住宅は気密や防湿が大事、後からむやみに壁に穴も空けづらくなります。住み手から見れば自宅なのに賃貸マンションに移ってきたようなもの。DIY好きな人は要注意です。

コチラもそんなハプニングはコリゴリ。血眼になって現場を見ているつもりが、出来上がっていく現場を目の前にすると、やっぱり仕上りの事ばかりに目がくらむのでした。

1階内装下地の様子
1階の天井下地も終っており、部屋のサイズ感も出てきました。天井高さはサッシ合わせでちょっと低めの 2.2 メートル。
2階内装下地の様子
2階の下地の様子。奥に見えるのは洗面スペースと浴室になります。
浴室配管
2階浴室下の配管の様子です。
出来上がれば分からないことですが、間仕切りの少ない住まいなので配管計画の整理は結構悩みどころでした。
電気配線と換気ダクト
上の並びはリモコン
下の並びは照明スイッチ
ニョロニョロしているのは24時間換気扇のダクトです。
図面を見つめる大工さん
大工さんが図面を確認しています。気になるところがあれば都度確認してくれるので、とても安心。
棚下地
下地のひとつが台形になっています。斜め壁に取りつく棚板の下地ですが、丁寧な仕事の様子が良く分かります。
シール打ちをする社長
工務店社長の後ろ姿。シール業者に頼めば綺麗で早いのだけど、細かな気遣いが説明しきれないからと、納得できるよう自ら施工中。
シール前のマスキング
波板とサッシのシール取合部分。波型のマスキングは社長渾身の一作。見栄えもありますが、樹脂サッシは水切り形状になっていないので、こうした工夫はとてもありがたいです。
はめ殺し窓周りの様子
はめ殺しの窓枠の下地が出来ていました。仕上がると、まるでガラスだけのように見える筈?。
床下エアコン通気口
掃き出し窓際の床通気口。床下エアコンを採用しているので、床下を通って暖気が抜けていきます。
材料運び込み
新たな材料が搬入されてきました。徐々に徐々に仕上がりに向かっています。

断熱気密で大事なこと

外壁材が貼られてきましたが、それは次回以降でご紹介。

計画場所は関西でも山間になり、【 住宅の省エネルギー基準 】の地域区分で見れば5地域に当ります。関西では大阪湾・瀬戸内に面する平野部は概ね6地域となり、それに比べると冬は寒い場所と思って差し支えありません。なので、普段よりも断熱はシッカリ目。

今は温暖化・低炭素などのキーワードから時勢だけでなく、建築法規上でも省エネ・断熱への比重が大きくなっています。建築現場に出始めた30年前からすれば、考えられないほど断熱材を沢山使うようになりました。その頃は正直に無頓着でしたが、今は断熱にまつわる気密・結露と言った情報が嫌と言うほど世間を飛び交っています。
振り回されているのは、建築主さえだけでなく設計者もです。残念ながらしばらくは、ひたすら断熱に立ち向かう日々となりそう。

それはそれとして、今回の建物は法令上の基準値を充分に超え、【 HERT20 】提唱基準のG2グレードにやや届かず概ね適合、と言った断熱性能になりました。現時点ひとつの目安とすれば、設計上は結構いい線。と思っています。

気密断熱で大事なこと、工務店さん大工さんが断熱気密を理解・意識して、この後どこまで丁寧に工事していただけるかです。設計上の数値がいくら良くても工事が雑になれば、実際が目標数値に決して届きません。

あえて言えば、設計上の断熱性能が特別に高くなくても、丁寧な断熱気密工事が出来れば、設計以上の断熱効果に結びつくのだろうと正直思うようにもなりました。現場に来られた大工さん達は、他の工事現場でハウスメーカーを含めた高気密高断熱住宅にも携われた様子でした。イロイロな現場の話を伺うと、そこからメーカーや設計者が試行錯誤している様も感じられます。

*【 住宅の省エネルギー基準 】一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター
*【 HERT20 】一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会

外壁は間柱間に高性能グラスウール120ミリを充填しています。外側には前の記事で紹介のフェノールフォーム30ミリが付加断熱材としてプラスアルファされた2層断熱となっています。
上に見える屋根下の梁間が断熱材で埋まります。
天井と斜め壁のところは、吹込みのグラスウールです。天井は300ミリ、斜め壁は210ミリの吹込みを行っています。
緑のビニールシートは防湿気密シート。気密は構造パネルのところで基本は終えていますので、防湿が主な目的になります。結果的には2重気密と言った具合に近いかもしれませんが。。。
断熱材を入れる前。欠損埋めの様子です。
サッシ廻りも隙間無く。
基礎廻りは防蟻タイプのポリスチレンフォーム60ミリ、隙間隙間も奇麗に閉じて頂いています。
気密検査の装置。開口のひとつを使いラッパから室内空気を外に送り室内を負圧にします。そうすると、サッシの隙間などからスキ間風を感じます。

気密工事が終ったところで、施主様立会の気密検査を行いました。通常 1.0 以下であれば合格ライン。
結果はC値 0.2 。1平方mあたり 0.2 平方cm の隙間と言う数値です。今回の家全体に換算すると おおよそ 19平方cm 相当になるそうです。
検査係の方から、ほぼ引違いサッシの隙間ぐらいでしょう。年に数件の気密の良い家ですよ。と言われ、驚きと安心のひと幕となりました。丁寧な工事のお陰です。

なにより静かですね〜、防音室みたい。と施主様は驚かれていました。

外壁の下地工事

外壁下地の終った全景
近畿縦断の台風7号が通り過ぎました。現場は無事でひと安心。
大きめの窓にガラスや障子がまだ入っていなかったので、中からベニヤで押え、外にはブルーシートがしっかり掛けられていました。

外壁の下地とひとくちに言ってもイロイロなものがあり、実は、家の寿命や基本性能を左右するところがイロイロあります。
外壁にしても屋根にしても、まずは雨風から暮らしを守る必要があります。断熱性能やらとかく言われる昨今ですが、なにより家が長持ちしてほしい。単純な話です。
仕上材はピンキリありますが、高価な仕上をしても下地の材料や施工が悪ければ家は長持ちしません。

前回記事と同じ事を書いてしまいます。見えないところにお金を掛けるのは、良い事といくら分かっていても実践するのはなかなか難しいものです。
毎回設計をさせて頂く度、そんなことをアレコレ悩みはじめると、本を開いてネットをうろついて一向に仕事が進みません。

構造パネルと断熱材用の桟木
時間を遡って外壁耐力壁の様子です。
外壁の構造面はMDFと言う木質パネルです。川べりなのでシロアリを心配する工務店さんの話を受け、予め防蟻処理れているシロアリ対策タイプを全面に採用しています。また、このパネルは一般的な構造合板等に比べると透湿性能が高く、内部結露の抑制に働きます。
白いテープはパネル同士の継ぎ目を塞いで気密性を高める工法のひとつ。桟木に隠れていますが、タテ方向にも同じようにテープが貼られています。
外張り付加断熱材
タテ桟木の間にはめ込まれているのは、フェノール系の断熱ボード。
外壁の断熱方法は軸組間グラスウール充填+外張り付加断熱となっています。
断熱材の上から、透湿防水シートが貼られた様子です。
住宅寿命の長いドイツ製。ふだん見慣れたシートより厚みも感じシッカリした印象です。黒いシートが昔のアスファルト防水紙のように見えますが、全く別物。
シート上に井桁に組まれた桟木は外壁仕上材の下地になります。

廻りが緑に囲まれているので、海外で仕事をしているような錯覚がしてきます。意味もなくテンションが上がってきます。海外製品を使うのは違った意味で悪くないですね。
窓廻り。防水シートメーカーの商品を使っています。
なにかとよく考えられている気がします。テープ類もメッチャ伸びてシッカリ着いて、施工された工務店さんも安心感が髙いと話をされていました。
余談ですが、同メーカーのウレタンフォームを使っている様子です。
断熱や気密の補完、隙間埋めとして使用されます。吹き出し量の調整ができる専用ガンを使っているので、今まで現場で見ていたスプレー缶のウレタンフォームよりも無駄も少なく、使い勝手が良さそうに見えました。
アイスクリームではありません。上棟時の写真。
軸組金物の外部側露出部分に熱橋対策として施されたウレタンフォームです。固まったら真っ直ぐ切り落とします。今回は外張り断熱材が囲いますが、無い場合は特に、こうした箇所に気を使っておくのが断熱性能上に大事なところです。

高価な製品や材料を使う事が必ずしも良い訳ではありませんが、適材適所に良く考えられた製品を吟味して使うと、現場も良い仕事に繋がって行くような気がします。
意識せず何気なく使っていたものを振り返ることは、時間が掛かりますが大事です。

屋根工事が終りました。

野地板
2枚目野地板。前回現場の様子です。見るからに暑そうですね。

屋根の野地板が形になれば、いよいよ防水仕舞と仕上です。

写真の通り勾配が緩いので、慎重に2層の防水仕舞としました。
1枚目。緩勾配用のゴムアスファルトルーフィング。
2枚目。温度差激しい板金屋根環境でも経年劣化しにくいと言われる防水シート。
実のところ、屋根防水シートのセレクトは悩みます。外壁の防水シートも同じく悩みます。一体どの製品が良いのか。ひとつメーカーでもランクがあり、一体どの辺りが妥当なのか? 良さそうなものを選んで行けば見えないところにドンドン予算が膨らみます。施主様にお伺いして決めることも難しく、ひとり考え始めたらどこまでもキリがありません。。。
工務店の社長は勉強熱心で、見積もり中から一緒にアレコレ悩んでいただきました。

仕上はガルバリウム鋼板タテハゼ葺き。緩勾配に向き、最近の住宅建築には一般的によく見られる工法です。

ルーフィング
1枚目ゴムアスファルトルーフィングがすでに貼り終わり、2枚目シートに掛かるところ。ルーフィングは粘着タイプでピッタリ張り付いています。奇麗に見えますが、施工時は暑さでエラいことになっていたようです。。。
屋根防水シート
2枚目の防水シートを貼り終え、チェックに廻っている工務店社長。青いポッチは専用留具です。
海外製品なので一面の英語表記。どことなく良さそうにも思えてしまうミーハーな私です。社長は社長で、なんだかテンション上がりますね〜。これまたミーハーなお言葉。
外壁面の屋根防水シート
斜め壁も仕上は屋根と同じなので、2枚目と同じシートを貼っています。コチラは勾配が充分なので通常通り1枚貼り。
通気金物
棟に取付けている通気金物。屋根面の熱気が抜けて行きます。通気口の中に折り返しがあり、何気なく水が入りにくい構造になっています。
一般的に多いのは屋根上側に排気するタイプです。積雪を考えると機能しない可能性もあり、且つ緩い勾配で漏水の心配が増えます。設計最後にコチラの製品を見つけ採用しました。

ここまで来ると、いよいよ板金屋さんの出番です。
ガルバリウムの屋根
と、次の週。屋根がスッカリ出来上がっていました。
板金屋さんの勇姿が撮れずに残念。ずっと好天気なので、サンサン降り注ぐ逃げ場のない屋根作業だった筈です。ご苦労さまでした。
屋根妻側。唐草
屋根板金下の折り返し部分を「唐草」と呼びます。棟側唐草の中に通気金物が納まっているので、ずいぶんスッキリ納まりました。
もし強風に煽られて雨が浸入したとしても、通気層側の防水シートで建物は覆われているので、ほぼほぼ奇麗に外部に排出されていくはず。また、工務店さんがとても丁寧に仕舞をされているのを見ているので、見た目以上に安心しています。
建物全景
この日は強風だったので、足場廻りのシートが畳まれました。お陰で、建物全景をパシャ。

怪しげに見える外壁については次回にも。。。

屋根の垂木組み

建物の骨組み全体
まず改めて、建物の骨組み全体の様子です。

上棟で躯体が立ち上ると、順を追って屋根の仕舞に掛かります。屋根防水まで進めば、急な雨が降っても現場としてはひとまず安心。少しでも早めに終らせたいところ。
この建設地は大阪府内ですが、山の中なので多少は積雪のことも考慮して置く事が必要でした。軒先に出る垂木(たるき)サイズも余裕を持って決めてあります。
としたものの、今世紀は大雪になることがあるのでしょうか? 年々、冬の寒さ対策よりも夏の暑さ対策。と感じるばかりです。

垂木組
構造面となる1枚目の野地板上に垂木組を進めています。
今回は垂木組と言うよりも、野地板上なので垂木載せと言った方がよいのかな。
突き出した垂木が手前でよりも細かなピッチになのは、屋根板金のピッチ合わせから。突き出した垂木は、軒裏ではそのまま化粧で見える形になります。
妻側の垂木組
コチラは妻側の垂木掛けの様子。両側面はこんな具合です。
垂木サイズがそのまま屋根の通気層。なお屋根通気層の適正は30ミリぐらい。今回は納まり上そのまま使いましたが、残念ながら大きくても効果は余り変わらないそうです。
ななめ壁の垂木
斜めになった壁側、コチラも最終的には屋根と同じ板金を貼ります。
破風板
両端の破風板。大工さんが奇麗に納めてくれました。
屋根上からの様子
野地板貼り。先端が違った色のところは木毛セメント板を突き出た垂木と併せて、軒裏ではそのまま化粧で現れます。
今回のような野地板を2枚張り垂木間を通気層とする工法を「2重野地」と呼んだりします。

それにしても、屋根上から見る風景は四方とも素晴らしいです。
が、今年の夏は本当に暑い。大工さん毎日ご苦労様です。
軒裏
そして、仕上がってきた軒裏はこんな感じに見えています。

この後の屋根工事は、防水シート、屋根板金へ進んで行きます。

棟上げが終りました。

6月中ごろ、基礎コンクリート打設前の様子

地鎮祭からひと月、ブログ記事が間に合わないまま6月末に棟上げ。7月始めには上棟式が無事済みました。梅雨が明け、暑い日(暑すぎる日)が毎日続いています。
今回は8月に入る前に、棟上げまでのハイライト。
この後は、現場の工程に追いつくまで駆け足気味で記事をアップしたいと思います。

6月末ごろ棟上げには、棟梁の大工さん仲間が手伝いに来ていただきました。お隣の方にクレーンの据え場所をお借りしました。皆様ありがとうございました。
梅雨明け前でしたが、この日は天気に恵まれました。手際よく進んでいます。
棟上げの様子を見るのは、いつになってもドキドキワクワクします。
2階外壁の一部が斜めになっています。
2重野地通気のスタイル。構造面となる1枚目の野地板に防風シート貼りの様子です。この上に垂木を載せて、屋根面を構成します。
7月はじめ上棟式の日、棟梁が御幣を取付けている様子です。
施主様、おめでとうございました。

地鎮祭「エイ、エイ、エイ!」の意

盛砂
きれいな盛砂は、用意した工務店さんの気持ちを表しているようにも見えます。

先日、地鎮祭を行いました。
心地よい晴れた日に恵まれ、野山に神主さんの祝詞が響きます。
地鎮際の式の進みは概ね決まりがありますが、神主様それぞれで微妙な差異があります。黙々と進める方もいれば、音楽を掛けて盛り上がりを作る方。手際を比べるは面白いものです。今回の神主様はひとつひとつの所作の手順や所以を丁寧にお話し頂くのが印象的でした。

地鎮祭の終盤。盛砂に鎮物(シズメモノ)を納める「地鎮の儀」というクライマックスがあります。

1「 苅始めの儀 」かりぞめのぎ
設計士が鎌(カマ)を持ってエイ、エイ、エイ!と草を刈ります。

2「 穿初めの儀 」うがちぞめのぎ
施主様が鋤(スキ)を持ってエイ、エイ、エイ!穴を掘ります。

3「 鎮物埋納の儀 」しずめものまいのうのぎ
神主様がものものしく穴の中へ鎮物を納めます。

4「 鋤取の儀 」すきとりのぎ
工務店が鍬(クワ)を持ってエイ、エイ、エイ!穴を埋めて終わります。

懐かしく思い出される施主様も多いことでしょう。
地鎮祭に立つはじめの頃、エイ、エイ、エイ!の掛け声が上ずったり、どことなく気恥ずかしいものでした。ですが、今回の神主様から「エイ」は「栄」の意味があるのです。と教えていただきました。
ナント!先に教えてくださいよ、もっと元気にエイ、エイ、エイ!と思いを込めて叫んでいたのに。これまでのエイ、エイ、エイ!をつい想い返します。

また最後に、神主さんに導かれながら施主様は塩・酒・米を四方に蒔きます。この時、左・右・左の順で蒔くのだそうです。今まで適当に蒔いてました。

いつまでも勉強にもなりながら、気持ちよいスタートです。

謹賀新年2023

明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします

 初詣に行くと小雨の虹が架かりました。見付けたヨメさんが、幸先いい!。

 昨年はどこか落ちつきなく過していました。今年は地に足つけて、日々の思いや出来事を綴れたらと思います。

西宮廣田神社の干支
西宮廣田神社の干支

イーノと太郎と建築

BRIAN ENO AMBIENT KYOTO – ブライアン・イーノ展覧会
BRIAN ENO AMBIENT KYOTO – ブライアン・イーノ展覧会
BRIAN ENO AMBIENT KYOTO – ブライアン・イーノ展覧会

 8月終わりはブライアンイーノ展(京都)、9月終わりは岡本太郎展(大阪)へ嫁さん伴い行きました。どちらも作品の熱量がすごく、とても面白かったです。

 ブライアン・イーノは、アンビエントミュージックの祖?と聞くと、どことなく小難しさを感じる方もいるかもしれません。ですが、建築との結構相性は一番いいかも。建築のプロモーションビデオに使われるのは、大抵この手の曲。ボーカル曲はあまりなく、あっても音として扱われることが多く意味不明。。。と書くと怒られそうですが、ポップスやロックを聞きながら建築観賞は厳しいよ。と感じるのは私だけでは無いだろうと思います。ジャズやボサノバなら、相性の良い曲もありそうですね。

 イーノの展覧会は、京都駅北にある京都中央信用金庫・旧厚生センターという少し古くて小さめのビルで行われました。全階を使ったインスタレーションと映像のコラボレーションアートです。たまたま開催を知ったラジオ放送での話。
 会場のひとつには丸太が立ち並んでいる部屋があるんですが、丸太の材料にイーノは(確か)白樺を要望していたのが、展覧会のプロデューサーは京都での開催なのでお願いして北山杉に替えてもらったそうなんですよ〜。
 空間と見るか、建築と見るかは別として、全てがアンビエントな感じ?です。観賞用のソファの中で気持ちよくて眠ってしまいました。。。

 行きは入館前に近くで牛カツ膳を頂き、帰りは京都駅の喫茶店に入りサンドイッチと宇治抹茶オーレでひと息。心身満腹の京都小旅行になりました。

 一方、岡本太郎の展覧会は爆発です。実は、それほどに作品を知っている訳ではありません。頭に浮かぶのは、太陽の塔やら顔のグラス。なにやらエネルギッシュだけど、よく分からない絵画や彫刻が少々。コチラはなにやら主張が覆いかぶさるような迫力です。

 太郎と言えば太陽の塔ですが、太郎は万博プロデューサーを務めることとなり、建築家・丹下健三が設計したお祭り広場の中央に、ドカんっと大屋根を突き破る太陽の塔を提案しました。改めて考えてみても、なんと無謀な現代建築・先端技術への対峙でしょう。
 ですが、太陽の塔に見学に行った小さな私は、生命の樹に心奪われたのを憶えています。とにかく圧倒された記憶だけが残り、実際どんなだったか何を見たのか頭の中で整理されていません。インパクト強過ぎて、夢で観たのか現実の体験なのか記憶さえもゴッチャになっています。

 展覧会では晩年まで製作を続けた太郎の作品も並んでいましたが、どこまでも衰える気配がありません。最後まで爆発し続けるパワーを分けてもらえる気さえして、観るよりも拝んでた人は私だけでなく結構いた筈です。

 昼前の入場でお腹を空かせて会場を後にしましたが、気がつけば既に午後3時。開いてる店もなく、ようやく見付けたパン屋さんに入りましたが、これが当り。近くの公園で美味しいパンを頬張りひと満足。公園横の園児たちが遊んでいる平和な風景が対照的にさえ思えました。

展覧会 岡本太郎
展覧会 岡本太郎
展覧会 岡本太郎
展覧会 岡本太郎

夏越の大祓

今年の茅の輪
今年の茅の輪

 一昨日、西宮神社へ夏越の大祓に行きました。例年より早い梅雨明けに、暑いぐらいの快晴。

 今年になって、わが家は生活リズムを見直しを始めました。これまで事務所で晩食もしていたので、ズルズル遅くまで仕事を続けてしまいがち。それを止め、ちょっと遅い時間ではありつつも自宅でヨメさんと晩ご飯を食べるようにしています。
 言い訳ですが、すっかりブログから離れてしまいました。自宅で出来るような意思の持ち合わせがありません。。。

 その分、本当は少し早めの出勤を日常にしたいところ。が、苦戦中。意志薄弱です。。。

 と言え、有難いことに忙しくさせてもらっているので体調管理はしっかりしておきたい。夏越の大祓にきっちり行けたこの勢い?で、後半の仕事と生活改善をしっかり続けて参ります。

茅の輪くぐりの様子
茅の輪くぐりの様子
お片づけの様子
お片づけの様子

展覧会「聖林寺十一面観音」

撮影可の、なら仏像館「金峯山寺仁王門 金剛力士立像」

 日曜日、奈良国立博物館まで終了間近の聖林寺十一面観音像展を観に行きました。コロナ禍になって初めてのイベントらしいお出かけです。しばらく、せいぜい近場の映画館ぐらいでした。

 薄暗い展示室に入ると、僅かな明かりにぼんやりと浮かび上がる荘厳な菩薩の数々。一堂に観せていただける展覧会は、ひとつひとつのお寺参りとはまた違った贅沢な感じがします。
 ただ欲を言えば、もう少し明るくして欲しかった。いろいろ制約もあるでしょうが、お堂の暗がりの中で拝むのとなんら変わらず、実のところヨ〜見えんかったのです。せっかく博物館へ観に来たのだから、もう少しジックリと観察してみたいところ。ワタクシ的には残念な気がしてなりません。
 結局、嫁さんと共に一番気に入って見入ったのは菩薩像でなく、大国主大神立像という70センチほどの小振りな木像。少々おとぼけたエエ感じな大黒天さんに心が緩む気がしました。

 観音像展の他、東大寺二月堂の「お水取り」の紹介展覧会。収蔵品修復を紹介した展覧会。それぞれ見ごたえ充分な内容があり、一日楽しめる行楽です。

 最後の駄目押しは、隣接のなら仏像館。これでもか!と言うほどに仏像が並んでいます。すでにお疲れモードでしたが、数ある仏像を見て廻ると案外楽しい。

 そうすると、小さな像になるほど親しみやすくデフォルメされた姿をしていることに気がつきました。仏像と言えど、漫画やアニメのキャラクターとまるで変わりません。ストラップにしてぶら下げたい気さえしてきます。さまざまな畏怖を身近なものへ変換する日本人独特な表現力は、万物自然の畏れを現す神さん、人の世の畏れを現す仏さん、とのうまい付き合い方から生まれたのでしょうか? 似たものはあっても他国のそれとは違って見えるのです。
 そう思い始めると、リアルな十一面観音さんもジャンルこそ違え例外でなくなって来ます。怖面の金剛力士立像も、どことなくスットンキョーで愛らしくさえ思えてきます。

 オタク文化は今に始まったことでは無く、長い年月を掛けて培った日本人の感性なのだ。と勝手な夢想に浸った一日となりました。

撮影可の、なら仏像館「金峯山寺仁王門 金剛力士立像」

謹賀新年2022

2022年賀状

明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします

 昨年の東京開催のオリパラでは、大勢の日本人アスリートが活躍しました。イロイロ賛否両論ありつつも、コロナ沈滞ムードを振り払ってくれました。他にも、メジャーのオオタニさ〜ん。将棋のフジイくん。躍進する人の姿を見るのは、心沸き立つものがありました。
 一方、途方もない偉業をなしとげる人の謙虚な姿勢や素直な姿勢が多く見られ、スパースターが身近な存在にも感じる不思議な一年だった気もします。
 今年の自分はどんな活躍ができるか。なにより一歩ずつ、たゆまぬ努力ですね。

 本年もよろしくお付き合いください。

西宮廣田神社の干支

気分だけのDIY断熱工事

 わが家は築ん十年になる住まい。よって造りは今どきの省エネ住宅からほど遠く。断熱材はあって無いようなもの。良く言えば、四季折々の寒暖感じる住まいです。冬ごと嫁さんは、家のアチコチで寒さ対策をアレコレ模索している始末。

 ケンチッカでしょ。アンタもなんか考えなさいよ。
 施主様がツノを立てる前に、気分だけのDIY断熱工事を提案してみました。

 居間にしている和室押入れ内の外壁と床の面がとっても冷たい。締め切った押入れを開けるたびヒンヤリ空気が流れてくるのが分かるほどです。そこで、その床面と外壁面に薄い断熱材をはめ込んでみることにしました。

 日曜日、ホームセンターで厚み3センチほどの板状断熱材を買って来ました。採寸して切り出した断熱材をはめてみると、ピッタンコ。我ながら良い施工。断熱材はピタピタにするのが肝要です。フトンの隙間を想像してください。

 ん、おや、これだけでもなんか違う。冷たい感じがだいぶ無くなってる。断熱材ってスゴいね~。とても設計士と思えぬ素人な感想。施主様もご満悦な様子。

 と、喜んでも断熱の抜けが多すぎる事は分かっている。部屋が暖かくなったかはななだ怪しい次第。それでも明らかに冷たい空気が流れてきていたところが止まっただけで、随分違った印象になりました。

 今回使った断熱材は、押出法ポリスチレンフォーム断熱材1種b(C)というボード状のものです。熱伝導率 0.036W/(mk) で厚みは 30mm。性能で言えば最低必要クラス。これを省エネ住宅レベルにするには、厚み90mmぐらいを家全体に貼る必要があります。
 重ねて3枚貼らないと省エネ住宅には対抗できないのか〜。なんと、ほど遠い。

 コレに慣れてしまえば今の喜びは忘れさられ、施主様の要望は厳しくなるばかり。わが家の断熱工事は、まだまだ続きそうかも。

アニメ映画「カラミティ」

同じような話題ばかり続いていますが、先日フランス発のアニメ映画「カラミティ」を観てきました。ちょうど去年の今頃に観た「ロング・ウェイ・ノース」レミ・シャイエ監督の新作です。
前作がとても良かったので、ついつい。期待を裏切らず魅せてくれました。

2作とも絵本がそのまま動くような雰囲気です。キャラクターの目鼻立ち以外ほとんど輪郭線がありません。どことなく「みんなのうた」に出てきそうなアニメーションです。キャラクターと周囲の描き分け、近景や遠景も繊細な色使いだけで表現がなされています。観はじめは見慣れない映像表現に目が行き勝ちですが、話が進むにつれそんなことはスッカリ忘れ、映画世界に引き込まれていました。

「カラミティ」は、アメリカ西部開拓時代の女性ガンマンの幼少時代をモチーフにしたフィクションです。実在したご本人は波乱万丈な生涯だったことが知られていますが、イロイロ訳ありな逸話が多く残る方だったようです。小説、映画、ゲームにまでなっていることを、全く知らずにいました。

そぎ落とされたシンプルな表現でありながら、ちょっとハード目なストーリー展開。量産される日本アニメではあまり観ることが出来ない気がします。アニメというよりも映画を観ている感覚になりました。

キャラクターの表現や存在感に重きが強い日本のアニメと一線を画していますが、それが観賞後の印象を薄くしてしまうようです。観終った直ぐあと一緒に歩き出したヨメさんが、主人公の顔を忘れてもた!。と言いよりました。
でも、いい映画と思います。

アニメ映画「ベルヴィル・ランデブー」

すっかり久しぶりの投稿ですが。。。
先日、18年前のフランスアニメを観に京都まで出かけました。

『ベルヴィル・ランデブー』
2003年に公開されています。が、この素晴らしいアニメーション映画を今まで全く知らずにいました。

ネットで見つけ、なんじゃコレ?と驚いたのは、昔からのお気に入りフランス漫画家ニコラ・ド・クレシーの絵とそっくりなこと。クレシーの絵が動いてるよ~。え?どういうこと?なんで知らんかったんや?とひとり勝手に慌てていました。

映画HPの解説にあるシルヴァン・ショメ監督の経歴を読んで、またひと驚き。
その昔、海外旅行でフランスへ行った折り、本屋でBD(フランス漫画)をアレコレ物色して数冊を買って帰りました。その中で一番お気に入りがクレシーの作品でした。が、そのクレシー漫画のひとつがショメ監督原案だったのです。

フランス旅行で漫画を買って帰ったものの(今もですが)フランス語は全く分かりません!絵柄だけは気に入って何度も見返してはいたのですが、お話はなんとなく想像していただけ。その当時、ドラゴンボールなどフランスで日本のマンガは人気でした。が、日本でフランス漫画や海外コミックを紹介されていることはまだまだ無かったと思います。時を経て10年程前、BDをはじめ海外漫画が良く紹介される時期がありました。その時クレシーも来日し日本の漫画雑誌にも寄稿しています。

買って帰ったクレシー作品の日本語版も出版され、その本もしっかり買って持っているのですが、実は折角日本語訳になっていた作品を読んでいませんでした。今回改めて見返すと、訳者あとがきにちゃ~んと書いてある。もはやファン失格です。

話が逸れましたが、『ベルヴィル・ランデブー』は素晴らしいのひと言です。古びた感が全くありません。18年前の作品とはとても思えない。映画の中の世界はクラシカルですが、表現はむしろ新しささえ感じます。CGも使われていますが、手描きの世界に違和感無く溶け込んでいます。映像にしても、ストーリーにしても、最近のアニメや映画で得られないアニメーションならではの「感性としてのリアリズム」が最後まで心地よい映画でした。


さて、その日の映画の後、嫁さんと鴨川のほとりで映画談話をしていたところ、手にしていたチーズパンをトンビにかっさらわれてしまいました。まさか2度も来るまいと思ったところに、再来襲!お間抜けにも連続で取られてしまいました。150円分ぐらいは持っていかれたでしょうか。パンを握ったトンビは悠々と対岸の木の中へ姿をくらましてしまいました。
漫画そのままのようなアニメ鑑賞日。皆様、鴨川のトンビには気をつけましょう。