アシナガバチの巣づくり観察はじめ

6月はじめころ

 事務所の軒先に、アシナガバチが巣を作り始めているのに気がついて、ひと月以上が過ぎた。毎年夏のはじめ、良く事務所に迷い混んでくることがあって、そうした時は必ず軒先のどこかに巣を作り始めていることは分っていました。
 縁側を気ままに飛び交っているのは蜂の自由ですが、部屋に入ってくるとさすがに落ち着きません。迷い混んだ蜂をアレコレしながら捕まえて、何度も外に逃がしています。ちょっとした夏の風物詩?になっています。

 いつもは、軒裏でもよく見えないところに巣を作ることが多かったのですが、今年は、ちょうど観察しやすい場所に作り始めました。
 巣作りに精出す様子を観察始めると、なかなか面白い。巣は六角形のハニカム構造でなんとも建築的だし、とてもシステマチック、細い支柱はアクロバチック。巣づくり作業を休憩の度に伺い見るのが楽しみになりました。調べてみると、アシナガバチの巣の材料は「和紙」にも例えられるそうです。

 巣作りの始め、1匹の蜂がせっせと作っているのが分ります。アシナガバチの生態を良く知らずにいたので、コイツはオス蜂だとはじめ思っていました。しばらくして1匹増えたのを見つけて、メス蜂が来て「つがい」になったぞ。ヨシヨシと好き勝手思いこみそうになった矢先、更に1匹増えています。
 ん、アレなんか違うな〜。言う間にまた1匹増えている。どういう夫婦構成なんだ?そんなことさえ、良く分らず見ていました。

 いつの間にか蜂の数が増えてきて、巣作りの様子も慌ただしい。近づいて見ていると、口元でクルクル白いものを廻して巣の材料づくり?、順繰り巣に頭を突っ込んで清掃作業?、なにやら分担作業をしているように見えます。ひとつひとつの巣の奥には卵か幼虫のような影もあったり。

 巣のサイズも、始めに比べひと回り大きくなってきました。当初の巣穴も清掃され再利用されていることも、見ているうちに分りました。
 中心付近の巣穴は深くなりながら徐々に前に押し出され、穴の奥は適度に埋められているのでしょう。併せて周辺の巣穴も深さが増していき全体が大きくなっていきます。
 ちいさなカプセルホテルが建設されていきます。

 しばらく眺めているうちに、孵化した蜂が順繰りに働きバチになり、共同作業に加わりながら巣作りを進めて行くことに気付きました。という事は、自分の巣立った巣穴も自らリニューアルして次世代の巣穴にするわけです。この調子で作業員が増やし、加速度的に巣は大きくなっていく。
 よくできたシステムだと感心しました。

 アシナガバチは、毎年1匹の女王蜂がイチから巣作りを始めますが、冬までの一年限りだそうです。再利用もない。まるで「万博パビリオン」みたい?です。( 最近は再利用されているパビリオン建築もありますが・・・。 )
 ひと月経って巣はシャワーヘッド並になってきました。どこまでこの紙の建築工事が続くのか、目が離せなくなってきました。


 話が逸れますが、夕暮れになって軒下をうまく飛べない蜂がいました。ブンブン飛び立つ度に軒裏に頭をぶつけて、巣に近づけないでいるように見えます。
 もしかして。ネットで検索してみると、夜になると視力がかなり落ち、ほとんど何も見えなくなります。とある。夕方5時すぎになると、巣の廻りに数匹がへばりついてあまり動かない、今日の仕事は終わりという様子が気になっていた理由が分りました。
 そう言えば、昼の暑い最中にも巣に集まって休んでいる時もあります。昼休みかいな。まるで現場の職人さんと同じです。

 アシナガバチも時期や状況によっては、人を襲うこともあるそうです。
 観察される時は、充分注意しながら行ってください。

自宅に取付けた木製ポストカバー

取付けた木のポストカバー
木板製ポストカバー。

自宅の玄関戸横には年季の入ったポスト口(ぐち)が添えられているのだが、その廻りの薄塗り左官材にヒビが入って、今にもハガレ落ちそうになっていた。下地もチラホラ見えている。指で押えればペコペコする。ヨメさんから再三直して欲しいと言われていたのだが、左官の壁を修復するとなるとちょっと大層。どうしたものかと、悩む振りだけしながら放ったらかしにしていたが、さすがにそろそろ限界か・・・。

なにかしらカバーしてごまかそうと考えあぐねた揚げ句、木の板でカバーを作ることにした。
とは言え、口を空けた木板を貼り付けるだけでは芸がない。薄い板だと安っぽくなりそう。少しばかりの工夫をすることに。

厚みは2センチぐらい。それ以上だと、立派過ぎてやりすぎ感が出そう。パっと見には分らないが、ポストの口に合わせた穴は、雨水が切れやすいように少しばかり斜めに空けるのがよい。ただ、そんな芸当は日曜大工の道具だけではちょっと無理なので、図面を描いて懇意の製作家具屋さんに制作をお願いすることにした。

家具屋さんから届いた木のカバー板が立派だったので、その時点でヨメさんの不満はクリア。予めネットで買った撥水塗料を施し、ホームセンターで購入したそれっぽいボルトビスで取付けてなんとか完成。予定よりも立派になってしまった。

取付けた当初は、なにやら和風旅館の部屋名板みたいだったけど、直に、前からそうだったかのように馴染んできた。その他イロイロ言われておりますが、わが家事情ひとまず一件だけ落着。

年季の入ったポスト口
元のポスト口はこんなんでした。
届いたポストカバーとセラミック塗装
ポストカバーの材料は広葉樹の指定で、家具屋さんに選んでいただいたところ、メープル材で届きました。奥は撥水セラミック塗料。
ポストカバーの図面

おの桜づつみ回廊

絵に描いたような染井吉野の並木風景は、春の散歩にぴったり。
逆さ桜。水面に映る桜の木々。大勢の人が撮影を楽しんでいました。
夕日に照らされた桜並木。
夕方6時から始まるライトアップ。
こっそりお月さまも見えてます。
ライトアップされた夕暮れの桜並木はなかなか壮観です。

小野市「おの桜つづみ回廊」お花見に行ってきました。
テレビで紹介されているのを見つけ、仕事先の現場に近いこともあり、一人こっそり行ってみようかと目論みましたが、そうはうまくタイミングも合いません。ヨメさん誘って行くことに。平日だし半日で帰ってくるだろうつもりが、結局、ほぼ一日のお出掛けになりました。

車で近づきはじめれば、河川敷の桜並木が想像をはるかに超えて延々と続いているのが圧巻。廻りはほぼ田園風景です。土手上の小道を歩きはじめれば、桜以外ほとんど視界に入らずに済み。樹の背も低く揃っていることで、やわらかく桜の天蓋に包まれる気分に浸れます。これはなかなかに幻想的です。
平日で混み合ってもおらずお天気にも恵まれ、爽やかな散歩を楽しめました。往復して戻ってくるころ、ライトアップが始まるのでしばらくして待つことに。暗くなって帰ろうとすれば、行き違いで夜桜を楽しみに人が増えてきました。

桜は満開手前の様子なので、まだ1週間ぐらいは充分楽しめそうです。メイン回廊は染井吉野ですが、延長には大島桜、江戸彼岸など、長い時期楽しめるように植えられています。
まだしばらくは、一人こっそり行っても充分楽しめそう。

謹賀新年2024

明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします

穏やかな始まりを迎えることができました。
そして巳年の私は、5回目の年男となってしまいました。
更なるステージに立つ今年は、ステップアップあるのみです。
みなさまも、心豊な一年をお過ごしくださいますように。

西宮・廣田神社の「巳っ子守」

「兵庫県立総合射撃場」見学してきました。

兵庫県立総合射撃場
 播磨の山間、三木市に完成した「兵庫県立総合射撃場」見学会に参加してきました。

 各地でクマやらイノシシやら野生動物が街中に出没するニュースが増えたと思っていました。北海道を震撼させたヒグマOSO18のいつのまにやら捕獲も、まだまだ記憶に新しいニュースです。
 北海道だけの話で無く、野生鳥獣の生息域拡大のひとつの原因が狩猟者の高齢化・減少。こうした現状を踏まえ、野生鳥獣の捕獲「狩猟」の知識や技術を習得する機会を提供し、担い手育成の施設が必要です。
 兵庫県立総合射撃場はこうした目的と併せ、射撃競技者の拠点を目指す施設だそう。

 車で到着すると、なにやらデッカイため池でも作るのか?とも思えそうな、すり鉢状の射撃場が目の前に拡がりました。大きいものを見ると、意味もなく興奮気味。ホォ〜〜〜。
 見学会の本来目的は併設の木造管理棟なのですが、そちらはソコソコ。どうしても、初めて観る射撃場というものに、ただただテンションが上がります。

管理棟
管理棟。木造平屋建て。事務室・会議室・ロッカールームの他、狩猟後の処理加工室が備わっています。イノシシやらシカやら、ジビエ料理を楽しむための調理室も。
管理棟ホール
中央ホール。競技の際は受付けスペースになるのだそうです。
展示されていた「わな」いろいろ。

 会議室で1時間ほどの講義を受けた後、管理棟内の見学。
ここからが本番? 楽しみにしていた射撃場の各施設見学に出陣。

ライフル射撃場
ライフル射撃場。遠くの的で100M。近くの的で50M。吊られて動く標的も出てきます。
壁や天井の板張りのように見えるところは、実はすべて105ミリ角の柱材。誤射などの際、コンクリート壁のままだと跳ね返りで被弾の恐れがあるため、100ミリ以上の木材を張るのが規定にあるのだそう。
ライフル弾とスラッグ弾
ライフル弾とスラッグ弾。的中心は5センチの円。
エアライフル射撃場
エアライフル(空気銃)射撃場。こちらは競技中心です。高校生の部活利用も想定されているとか。そんな部活もあるところにはあるのね。とちょっと驚き。
ビームライフル射撃場
ビームライフル射撃場。参加者全員に体験射撃をさせていただきました。
 私も3回撃たせてもらいました。80点、70点、最後は真ん中100点。まぐれ当たりでも、指導の方に上手いですね〜、と褒められ少しばかり有頂天。明日からアスリート目指そうかな。
クレー射撃場
クレー射撃場。左に射撃スペースがあり、右の山壁まで約230M。クレー射撃はショットガン(散弾銃)を使いますが、散った弾のうち最大飛距離がそのくらいだそう。
射撃スペース
射撃スペース。コチラに立って、下から飛んでくるクレー(円盤)を撃ち落とします。
クレー発射装置
クレーの発射装置。競技者は側に設置されるマイクに向かって「ハイ」と声掛ければ、どれかから自動で発射されます。クレー自体が飛ぶのは3分の1ぐらいの距離までとのこと。
クレー発射装置裏
クレー発射器を裏から見るとこんな感じです。
クレー射撃場お掃除車
散らかったクレーやら散弾のための、やたら可愛らしいお掃除車。ルンバではなさそう。ここを掃除するには、ちょっと小さすぎないかと心配します。
射撃の弾は鉛製のため、鉛処理施設も揃っています。
兵庫県立総合射撃場
こんな広いところに立つことは、なかなかありません。
(オマケ)上の画像をクリックすると、パノラマ画像が見られるかも。

 はじめてづくしの見学会に、興奮さめやらぬ一日となりました。
 それにしても広い施設でした。相当な事業費も掛かっているでしょう。しっかり鳥獣被害対策に繋げて欲しいものです。
 この施設は、世界的な大会も対応可能な設備も揃えているとのこと。そうした大会が行われるなら、また一度訪れたいものです。
 もしや出場している時には応援にお越しください。

事務所前の市営住宅解体と日照問題

今、事務所前には白い壁。
今、事務所前には白い壁。

 私の事務所前には、道を挟んで古めの市営住宅が2棟横並びに建っていました。

 しばらく前からその市営住宅の解体撤去工事が始まった。ウォンウォン、ドドドド、ガガガガ、微震動が続いているかと思えば、ドォォォ〜ン、木造平屋の事務所が揺れます。その瞬間に地震が来ても間違いなく気付きません。
 それにしても、アッと言う間に壊されるものです。仮にもコンクリート造の4階建て集合住宅。つい先日、防音壁の囲いに覆われたところなのに、上階から壊される順に外されて行く。防音壁が見えなくなったところで、仮囲い壁にあるアクリル板から中を覗いてみるとコンクリートと鉄筋のガラが山積みになっていました。ヒェ〜。
 とは言え、まだ2棟の内の1棟が跡形なくなったところ。合わせて基礎撤去も始れば、しばらく揺れる日々は続きそうです。

 去年内から近隣住民へ、市営住宅建替え工事の近隣説明会がありました。

 当事者側になる事は今まで無かったので、ご近所さんに紛れて説明会に参加。同業に特段ナニを文句つける訳でも無く、どんな手順でされるのだろうか? どちらか言えば興味本位。ご近所さんには申し訳ないばかりですが。。。
 それでも皆さんの要望から、6階建てだった計画が5階建てになった経緯に、ひとり感心していた訳です。

 ただ残念な事に、建替え後には事務所への日照が間違いなく悪くなりそう。
 これまで南正面に2棟が間を開けて壁の様に立ちはだかっていたのですが、冬でもその合間から陽が射す時間がありました。ご近所皆さんのお陰で5階建てになったものの、これまでより高くなります。さらに2棟合わせた横にビッグサイズの1棟建て、事務所南正面に大きく立ちはだかる事になります。
 しかも運悪く、事務所はそのビッグサイズのほぼ中央に位置するため、説明会で配られた日影図で見れば、一番最悪な場所にありました。

 ただただ、がっくり。

吹抜けを挟む内窓。
吹抜けを挟む内窓。

 こちらは、一年前に完成した住まい。南側に広い駐車場があり、今は良い環境です。
 ただそこに高層建物が建ってもおかしく無い都市地域。その将来を考慮しながら1階のリビングに陽を届ける窓付きの吹抜けを計画しました。
 吹抜けを挟んだ部屋には、面するところに内窓をさらに設けています。陽の角度によって各部屋に入る明かりを吹抜けへ取り入れる工夫もできます。

 変化の多い都市や街に住まいを建てるなら、今ある環境だけを見ているだけでは足らないかもしれません。ご検討の方は、いろいろ想像してください。

アップルウォッチとApple Watch

1990年アップルウォッチと2023年Apple Watch

嫁さんがAppleWatchに夢中になっています。

 身に付けているだけで睡眠時間やウォ―キング中やら察知してキチンと記録してくれるものだから、それが面白く健康管理に今はまっています。

 睡眠記録が特にお気に入りらしく、自分が感じているリズムと合致すると、ソウソウそうなのよと喜び。意に沿わない記録になっていると、ナンカチガウ、なんでかな?とブツブツ文句を言っています。その後は、ミテミテ今日は「アマリ」眠れてないのよネ〜と同意を求めに解説をはじめます。
 スマホだと置きっぱなしの歩行記録はありませんが、AppleWatchだと家事をしている間も記録されています。今日は「ニマンポ」歩いてヘトヘトやわ。。。と、イチイチ報告と主張をはじめます。

 コチラから見れば、健康的なのやら不健康なのやら。しばらくすればブームは過ぎ去り平穏になるはずですが、もうしばらくは続きそう。

ノベルティーのアップルウォッチ

 併せて去年のこと。押入れ奥の宝箱?からアップルの景品腕時計を嫁さんが救い出し、地元の時計屋さんに持込み電池を入れ替えてくれました。
 おかげで息を吹き返した懐かしいアップルウォッチは今、下駄箱上の置き時計変わり。

 真面目に腕時計をはめた時期は、社会人になる前後だけぐらい。腕時計をはめたままにするのが苦手だったのか、直ぐ外してポケットに入れたり、どこかに置きっぱなし。揚げ句に見失い往生するのが嫌で、スッカリ持ち歩かない派です。
 どこかしら時計はあるもので、たまに焦ることはあっても、普段は特別困ることはない便利な世の中。携帯電話を持ち始めると、ほとんど関心は無くなっていました。

 と書きましたが、仕事やお出かけの始めと終わり、家の下駄箱上のアップルウォッチは心を和ませてくれています。これが一番健康的。

嫁さん持込みの時計屋さん。お仕事中のお二人はモノクロ写真が似合いそうなので。
手元向こうにわが家にあるアップルウォッチが見えています。懐かしいですね〜と作業をしてくれました。ご存知だったのが、何やら嬉しい。
Welcom to Machintosh
はじめて買ったマック( Performa 6200 )に付いていたウィンターキャンペーンに応募してもらいました。まだまだアナログ時計が馴染む時代だったのです。

謹賀新年2024

明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします

初詣の参拝に神社の屋根を見上げると、瓦の上には蒼い空が拡がっていました。
引き込まれる青さに、すっと心が落ち着いた気がします。
この気持ちを持ち続けられるよう日々を大切にしたいです。
みなさまも、心穏やかな一年をお過ごしくださいますように。

西宮・廣田神社の干支神楽・よりそい土鈴
白は「健康」、紅は「幸福」を表すのだそうです。

謹賀新年2023

明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします

 初詣に行くと小雨の虹が架かりました。見付けたヨメさんが、幸先いい!。

 昨年はどこか落ちつきなく過していました。今年は地に足つけて、日々の思いや出来事を綴れたらと思います。

西宮廣田神社の干支
西宮廣田神社の干支

イーノと太郎と建築

BRIAN ENO AMBIENT KYOTO – ブライアン・イーノ展覧会
BRIAN ENO AMBIENT KYOTO – ブライアン・イーノ展覧会
BRIAN ENO AMBIENT KYOTO – ブライアン・イーノ展覧会

 8月終わりはブライアンイーノ展(京都)、9月終わりは岡本太郎展(大阪)へ嫁さん伴い行きました。どちらも作品の熱量がすごく、とても面白かったです。

 ブライアン・イーノは、アンビエントミュージックの祖?と聞くと、どことなく小難しさを感じる方もいるかもしれません。ですが、建築との結構相性は一番いいかも。建築のプロモーションビデオに使われるのは、大抵この手の曲。ボーカル曲はあまりなく、あっても音として扱われることが多く意味不明。。。と書くと怒られそうですが、ポップスやロックを聞きながら建築観賞は厳しいよ。と感じるのは私だけでは無いだろうと思います。ジャズやボサノバなら、相性の良い曲もありそうですね。

 イーノの展覧会は、京都駅北にある京都中央信用金庫・旧厚生センターという少し古くて小さめのビルで行われました。全階を使ったインスタレーションと映像のコラボレーションアートです。たまたま開催を知ったラジオ放送での話。
 会場のひとつには丸太が立ち並んでいる部屋があるんですが、丸太の材料にイーノは(確か)白樺を要望していたのが、展覧会のプロデューサーは京都での開催なのでお願いして北山杉に替えてもらったそうなんですよ〜。
 空間と見るか、建築と見るかは別として、全てがアンビエントな感じ?です。観賞用のソファの中で気持ちよくて眠ってしまいました。。。

 行きは入館前に近くで牛カツ膳を頂き、帰りは京都駅の喫茶店に入りサンドイッチと宇治抹茶オーレでひと息。心身満腹の京都小旅行になりました。

 一方、岡本太郎の展覧会は爆発です。実は、それほどに作品を知っている訳ではありません。頭に浮かぶのは、太陽の塔やら顔のグラス。なにやらエネルギッシュだけど、よく分からない絵画や彫刻が少々。コチラはなにやら主張が覆いかぶさるような迫力です。

 太郎と言えば太陽の塔ですが、太郎は万博プロデューサーを務めることとなり、建築家・丹下健三が設計したお祭り広場の中央に、ドカんっと大屋根を突き破る太陽の塔を提案しました。改めて考えてみても、なんと無謀な現代建築・先端技術への対峙でしょう。
 ですが、太陽の塔に見学に行った小さな私は、生命の樹に心奪われたのを憶えています。とにかく圧倒された記憶だけが残り、実際どんなだったか何を見たのか頭の中で整理されていません。インパクト強過ぎて、夢で観たのか現実の体験なのか記憶さえもゴッチャになっています。

 展覧会では晩年まで製作を続けた太郎の作品も並んでいましたが、どこまでも衰える気配がありません。最後まで爆発し続けるパワーを分けてもらえる気さえして、観るよりも拝んでた人は私だけでなく結構いた筈です。

 昼前の入場でお腹を空かせて会場を後にしましたが、気がつけば既に午後3時。開いてる店もなく、ようやく見付けたパン屋さんに入りましたが、これが当り。近くの公園で美味しいパンを頬張りひと満足。公園横の園児たちが遊んでいる平和な風景が対照的にさえ思えました。

展覧会 岡本太郎
展覧会 岡本太郎
展覧会 岡本太郎
展覧会 岡本太郎

夏越の大祓

今年の茅の輪
今年の茅の輪

 一昨日、西宮神社へ夏越の大祓に行きました。例年より早い梅雨明けに、暑いぐらいの快晴。

 今年になって、わが家は生活リズムを見直しを始めました。これまで事務所で晩食もしていたので、ズルズル遅くまで仕事を続けてしまいがち。それを止め、ちょっと遅い時間ではありつつも自宅でヨメさんと晩ご飯を食べるようにしています。
 言い訳ですが、すっかりブログから離れてしまいました。自宅で出来るような意思の持ち合わせがありません。。。

 その分、本当は少し早めの出勤を日常にしたいところ。が、苦戦中。意志薄弱です。。。

 と言え、有難いことに忙しくさせてもらっているので体調管理はしっかりしておきたい。夏越の大祓にきっちり行けたこの勢い?で、後半の仕事と生活改善をしっかり続けて参ります。

茅の輪くぐりの様子
茅の輪くぐりの様子
お片づけの様子
お片づけの様子

展覧会「聖林寺十一面観音」

撮影可の、なら仏像館「金峯山寺仁王門 金剛力士立像」

 日曜日、奈良国立博物館まで終了間近の聖林寺十一面観音像展を観に行きました。コロナ禍になって初めてのイベントらしいお出かけです。しばらく、せいぜい近場の映画館ぐらいでした。

 薄暗い展示室に入ると、僅かな明かりにぼんやりと浮かび上がる荘厳な菩薩の数々。一堂に観せていただける展覧会は、ひとつひとつのお寺参りとはまた違った贅沢な感じがします。
 ただ欲を言えば、もう少し明るくして欲しかった。いろいろ制約もあるでしょうが、お堂の暗がりの中で拝むのとなんら変わらず、実のところヨ〜見えんかったのです。せっかく博物館へ観に来たのだから、もう少しジックリと観察してみたいところ。ワタクシ的には残念な気がしてなりません。
 結局、嫁さんと共に一番気に入って見入ったのは菩薩像でなく、大国主大神立像という70センチほどの小振りな木像。少々おとぼけたエエ感じな大黒天さんに心が緩む気がしました。

 観音像展の他、東大寺二月堂の「お水取り」の紹介展覧会。収蔵品修復を紹介した展覧会。それぞれ見ごたえ充分な内容があり、一日楽しめる行楽です。

 最後の駄目押しは、隣接のなら仏像館。これでもか!と言うほどに仏像が並んでいます。すでにお疲れモードでしたが、数ある仏像を見て廻ると案外楽しい。

 そうすると、小さな像になるほど親しみやすくデフォルメされた姿をしていることに気がつきました。仏像と言えど、漫画やアニメのキャラクターとまるで変わりません。ストラップにしてぶら下げたい気さえしてきます。さまざまな畏怖を身近なものへ変換する日本人独特な表現力は、万物自然の畏れを現す神さん、人の世の畏れを現す仏さん、とのうまい付き合い方から生まれたのでしょうか? 似たものはあっても他国のそれとは違って見えるのです。
 そう思い始めると、リアルな十一面観音さんもジャンルこそ違え例外でなくなって来ます。怖面の金剛力士立像も、どことなくスットンキョーで愛らしくさえ思えてきます。

 オタク文化は今に始まったことでは無く、長い年月を掛けて培った日本人の感性なのだ。と勝手な夢想に浸った一日となりました。

撮影可の、なら仏像館「金峯山寺仁王門 金剛力士立像」

謹賀新年2022

2022年賀状

明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします

 昨年の東京開催のオリパラでは、大勢の日本人アスリートが活躍しました。イロイロ賛否両論ありつつも、コロナ沈滞ムードを振り払ってくれました。他にも、メジャーのオオタニさ〜ん。将棋のフジイくん。躍進する人の姿を見るのは、心沸き立つものがありました。
 一方、途方もない偉業をなしとげる人の謙虚な姿勢や素直な姿勢が多く見られ、スパースターが身近な存在にも感じる不思議な一年だった気もします。
 今年の自分はどんな活躍ができるか。なにより一歩ずつ、たゆまぬ努力ですね。

 本年もよろしくお付き合いください。

西宮廣田神社の干支

アニメ映画「カラミティ」

同じような話題ばかり続いていますが、先日フランス発のアニメ映画「カラミティ」を観てきました。ちょうど去年の今頃に観た「ロング・ウェイ・ノース」レミ・シャイエ監督の新作です。
前作がとても良かったので、ついつい。期待を裏切らず魅せてくれました。

2作とも絵本がそのまま動くような雰囲気です。キャラクターの目鼻立ち以外ほとんど輪郭線がありません。どことなく「みんなのうた」に出てきそうなアニメーションです。キャラクターと周囲の描き分け、近景や遠景も繊細な色使いだけで表現がなされています。観はじめは見慣れない映像表現に目が行き勝ちですが、話が進むにつれそんなことはスッカリ忘れ、映画世界に引き込まれていました。

「カラミティ」は、アメリカ西部開拓時代の女性ガンマンの幼少時代をモチーフにしたフィクションです。実在したご本人は波乱万丈な生涯だったことが知られていますが、イロイロ訳ありな逸話が多く残る方だったようです。小説、映画、ゲームにまでなっていることを、全く知らずにいました。

そぎ落とされたシンプルな表現でありながら、ちょっとハード目なストーリー展開。量産される日本アニメではあまり観ることが出来ない気がします。アニメというよりも映画を観ている感覚になりました。

キャラクターの表現や存在感に重きが強い日本のアニメと一線を画していますが、それが観賞後の印象を薄くしてしまうようです。観終った直ぐあと一緒に歩き出したヨメさんが、主人公の顔を忘れてもた!。と言いよりました。
でも、いい映画と思います。

アニメ映画「ベルヴィル・ランデブー」

すっかり久しぶりの投稿ですが。。。
先日、18年前のフランスアニメを観に京都まで出かけました。

『ベルヴィル・ランデブー』
2003年に公開されています。が、この素晴らしいアニメーション映画を今まで全く知らずにいました。

ネットで見つけ、なんじゃコレ?と驚いたのは、昔からのお気に入りフランス漫画家ニコラ・ド・クレシーの絵とそっくりなこと。クレシーの絵が動いてるよ~。え?どういうこと?なんで知らんかったんや?とひとり勝手に慌てていました。

映画HPの解説にあるシルヴァン・ショメ監督の経歴を読んで、またひと驚き。
その昔、海外旅行でフランスへ行った折り、本屋でBD(フランス漫画)をアレコレ物色して数冊を買って帰りました。その中で一番お気に入りがクレシーの作品でした。が、そのクレシー漫画のひとつがショメ監督原案だったのです。

フランス旅行で漫画を買って帰ったものの(今もですが)フランス語は全く分かりません!絵柄だけは気に入って何度も見返してはいたのですが、お話はなんとなく想像していただけ。その当時、ドラゴンボールなどフランスで日本のマンガは人気でした。が、日本でフランス漫画や海外コミックを紹介されていることはまだまだ無かったと思います。時を経て10年程前、BDをはじめ海外漫画が良く紹介される時期がありました。その時クレシーも来日し日本の漫画雑誌にも寄稿しています。

買って帰ったクレシー作品の日本語版も出版され、その本もしっかり買って持っているのですが、実は折角日本語訳になっていた作品を読んでいませんでした。今回改めて見返すと、訳者あとがきにちゃ~んと書いてある。もはやファン失格です。

話が逸れましたが、『ベルヴィル・ランデブー』は素晴らしいのひと言です。古びた感が全くありません。18年前の作品とはとても思えない。映画の中の世界はクラシカルですが、表現はむしろ新しささえ感じます。CGも使われていますが、手描きの世界に違和感無く溶け込んでいます。映像にしても、ストーリーにしても、最近のアニメや映画で得られないアニメーションならではの「感性としてのリアリズム」が最後まで心地よい映画でした。


さて、その日の映画の後、嫁さんと鴨川のほとりで映画談話をしていたところ、手にしていたチーズパンをトンビにかっさらわれてしまいました。まさか2度も来るまいと思ったところに、再来襲!お間抜けにも連続で取られてしまいました。150円分ぐらいは持っていかれたでしょうか。パンを握ったトンビは悠々と対岸の木の中へ姿をくらましてしまいました。
漫画そのままのようなアニメ鑑賞日。皆様、鴨川のトンビには気をつけましょう。

アニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」

 「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の劇場公開が終ると聞いて観てきました。実は2回目。一緒に行ったヨメさんは3回目。熱狂的なファンか?と問われると、そうでもない。エヴァンゲリオンを劇場で観たのはコレが初めて。

 TV放送もリアルタイムでは観ていなかった。きっかけが何か忘れたけど、ビデオを借りてひと通り観たのも随分後のことである。その時少し間盛り上がったもののその後はプッツリ。別な映画で流される新作公開宣伝フィルムを観るたび、なんだか前より映像凄そうよね〜なんだか前より面白そうだよね〜と気になりながら結局素通りしてきてしまった。

 庵野監督に注目していたわけでもなかった。むしろ得体のしれないオタク臭さ(失礼!)を避けていたかもしれない。奥様・安野モヨコ氏の漫画「監督不行届」をヨメさんが買って持っていたのだが、手に取らずまま。今ごろになって、そう言えば庵野監督の漫画無かったけ? ん、アンタ興味を示さなかったから古本屋に売ったよ、ヨメさんは結構あっさりしている。

 ゴジラ目当てで行った「シンゴジラ」を観て、作品よりも監督自身を改めて気になり始めたと言ったほうがむしろ正しい。庵野監督が取り上げられた某テレビ局のプロフェッショナル番組を観て、なんかわがままな建築家だなあ、スタッフご苦労様。と監督がさらに気になってしまった。エヴァの話の筋は正直忘れたけど、25年もの間、ずっと人を惹きつけてきた話の完結をどう締めくくるのだろう?何をするのか?しでかすのか?やっぱり観ておきたい。と正直思った。

 ありがたい世の中である。最終版公開前のネット配信でこれまでの劇場版3作を観て、予習を始めた。あ〜こんなお話だった〜気がする。2回ずつ観たぐらいでは「にわかファン」の装いにも充分でないが、真面目に「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に臨んだつもりである。

 劇場版を観た1回目。正直何を書いて良いのか分からなかった。2回目。やっぱりよく分からない。
 ん、なんなんだろう?でも確かに面白い。
 どうなるの?どうなるの?と思わせておいて、さらに終っても、どうなるの?どうなってるの?と思わせる。イヤな監督である。
 でも25年を経て消化不良も便秘とも思わせなかった。凄い監督かもしれない。

朝来市旧生野鉱山職員宿舎

 朝来市に行く機会があれば、行ってみたいと思っていたのが此処。朝来市旧生野鉱山職員宿舎です。以前に生野銀山へ訪れた時は車で横を通り過ぎてしまい、そのままずっと気になっていました。
 ですが今回、昼ご飯を食べ損ねたまま辿り着き、施設近くで食事を先に済ませようと目論んでいたところ、閉館時間まで後一時間ほどと告げられ、そのままお腹を空かせ慌てて見て廻る事になってしまいました。

 朝来市旧生野鉱山職員宿舎は、生野銀山が繁栄した明治から昭和初期にまたがる官舎・社宅5棟が復元保存されている一画になります。行ってみたいと思っていながら、分かっていたのはその程度。
 見学の後からパンフレットを見直すと、一様に復元されている訳ではなく、明治期・大正期・昭和初期を想定した復元になっていると分かりました。しかも形状の近い3棟はそれぞれ違った建て物と思われていましたが、調査によって元々は同じ間取りの住まいであることが判明。時代につれ改修を施されていたのです。その過程を丁寧にくみ取り、それぞれの時代に相応しい修復を行ったとのこと。
 そんな裏話に気がつかず、見学の時は単にそれぞれ違った建物と思っていました。

 始めに分かっていればも少し頭を動かし、時代時代の変遷を感じ取りながら見て回れたと思うのですが、なんとも勿体ないことです。
 なにも分からずとも、もちろん充分に雰囲気を楽しめます。元々は上級技官などの住まい。素朴に見えながらも、とてもゆったりとした贅沢な時間を感じる住まいです。解説には、今見れば特別な建物ではないかもしれないが当時にすれば斬新な建物であっただろう、とありました。ですが、むしろ今の時代だからこそ、此処にはしつらえや空間の豊さがあるように感じます。

 地元ボランティアと思われるおじさんが掃除の合間に時折現れ、口達者にイロイロ説明をしていただきました。が、実は半分も聞き取れなかった。スミマセン!。頭にもう少し知識があれば、楽しめたと思われます。機会があればちゃ〜んと下準備してから、何度でも訪ねたいと思える施設でした。

 棟の一つは、朝来市出身の名優・志村喬記念館にもなっています。この甲社宅が生家なのだそう。

 見終った後、お腹を空かせて近所のお好み焼き屋さんに駆け込みました。これがまた美味しかったです。
 この地域、冬は寒いだろうと思いましたが、聞くところ零下が続く日もあるのだとか。お好み焼き屋のおばさんは、ここの冬は好きになれない。と断言。冬の訪問には、根性も要りそうです。

あさご芸術の森美術館と多々良木ダム

 石の彫刻家・牛尾啓三先生から個展のお誘い頂き、ヨメさんと朝来市の山のなかにある美術館へ行ってきました。西宮から約2時間。気晴らしにドライブがてらの気持ちだったのが、着いてみるとちょっとばかり驚きの連続でした。

 到着したあさご芸術の森美術館へは初めてです。朝来市出身の日本を代表する彫刻家・淀井敏夫氏(1911~2005)の作品を館内と屋外に多数展示している施設ということも、実は着いてから知りました。その作品のひとつひとつが美しくそして面白く、これまで知らずにいたのがちょっと恥ずかしい感じさえしました。

 また、それ以上に驚いたのは美術館の正面からも見えるド迫力な石積みの丘? ダムのすぐそばにあることを下調べで知らなければ、目を疑うばかりの風景が拡がっています。荒々しく積まれた石積みは、どこか外国の風景にも見えます。雄大な公園でゆるりと過ごせるは、とても贅沢な時間に感じます。

 ダムへも少し行ってきました。ちょうど美術館を見下ろすことができます。これも迫力満点ながら山間の風景がなんとも牧歌的です。お誘いいただいた牛尾先生に感謝です。

夏越の大祓

 昨日、西宮神社で執り行われた「夏越の大祓 – なごしのおおはらえ – 」に行ってきました。ほぼほぼ毎年行きますが、去年はコロナで中止になってしまったので2年ぶりの茅の輪ちのわくぐり。参列に思ったよりも多くの人が集まっていました。お天気も良かったです。

 大祓は6月末12月末の半年毎にあり、罪穢れを祓ってもらう儀式になります。夏越の大祓では茅の輪をくぐって廻るのが特徴的。

 いつもの年なら本殿前に集まった参列者全員が、長蛇の列になって大きな茅の輪を廻ります。3回廻るので境内を右に左に皆で尻尾を振るようにぞろぞろ移動するのですが、今年は様子が違っていました。広場に密にならぬよう列になって集められ、神主さんの祝詞奏上のあと数列ずつ小分けにされて廻るようにされていました。

 毎回、長い長い行列で黙々と廻る様子がどことなく神事っぽくて良かったのですが、グループ分けされて小規模で廻っている様子を眺めていると、ちょっと旅行者っぽくも見えてきます。

 要らぬことを考えつつも3回無事にくぐってきました。これで半年分の罪穢れをリセット、このままコロナも退散してくれることを祈るばかりです。

アニメ映画「トゥルーノース」

 この映画を「アニメえいがのひとつ」と思って通りすぎてしまうのは、なんとも惜しい気がします。1週間前に観てきましたが、未だ衝撃的な印象が残っています。北朝鮮の収容所で生き抜く家族の物語。そうひと言で片づけるのは心許ないですが、実情をさして知らない自分がツラツラと語ることは憚られる。そんな映画でした。

 清水ハン栄治監督は、在日コリアン4世。現地取材をはじめ脱北者や元看守の方々へのインタビューを重ね、10年を費やして完成させたそうです。人々の心に留めてもらう為にもエンターテイメントとして観られるものに仕上げた、と言う監督自身の言葉ですが、正直とてもそんな気分だけで観終えることはできません。
 ストーリーそのものもありますが、ひとつひとつのシーンが非常に洗練されていることが分かり、表現として慎重にバランスの取れた抽象化がされています。それでもなお、重層な現実をオブラートに包んでいることがつぶさに感じられるのです。
 アニメーションとしてもとても素晴らしい作品だと思いましたが、この映画はドキュメンタリーなのか?しかも現在進行形なのか? そう思いにかられながらエンドロールを眺めていました。

 近くて遠い国。そこには同じ時間を生きているとは思えない衝撃とともに、自分となんら変わらない人々が生きている事を確信することも出来た気がします。

松花堂庭園の茶室とライトアップ

 ひと月ほど前のことですが、京都府八幡市「松花堂庭園」で催されるライトアップイベントに行ってきました。少し明るい内に、庭に建ち並ぶいくつかのお茶室を併せて見学もしてきました。

 お茶室を拝見していると、気持ちが落ち着くような不思議な感覚があります。現代建築などを見学したときに、そうした感じを受けることはなかなかありません。立派な和室に入ると、背筋を伸ばしたくなるような凛とした空気を感じる人は多いのではないでしょうか。
 それを、日本人の遺伝子?みたいに括ってしまうのは、どこか違う気がします。外国の方はどんな風に感じるのでしょう。お国によって感じ方も異なるかもしれません。なにの予備知識なしに、もし同じように感じるのだとしたら?
 これは様式と呼ぶことのできない、日本建築の持つ何かに違いない気がします。

 残念ながら海外旅行の経験も少ないので比較ができませんが、そうした感覚を他国で受けたことはありません。大学の授業で受けた海外の建築史などを思い返しても、類似したものを思い出すことはできません。近くのお国ならありそうですが、韓流ドラマや中国ドラマを観ていてもなかなかそうしたシチュエーションにまだ出会えていません。

 お見せできませんが、わが家のささやかな和室でさえも、その感覚はほのかに感じます。なぜ? 最近ヨメさんが香を楽しんでいたりするのでなおさらです。
 「日本建築の持つ何か」をどなたかにご講義お願いします。

 八幡市は「松花堂弁当」の発祥の地だそうです。なので、庭園横には日本料理「吉兆」もありお食事も楽しめるのですが、そちらはまたいずれ。

野口哲哉展〜いちにち高松市めぐり

野口哲哉展(高松市美術館 )
野口哲哉展(高松市美術館 )

 しばらく前、日曜の美術番組で紹介された彫刻作品の展覧会が目に留まり、こりゃオモロいな〜と思ったら、すぐ横にいたヨメさんが、コレイキタイ!と叫んだ。
 え!?どこでやってんの?と探したら、香川県の高松市美術館。巡回でコッチに来ないの?調べてみると、残念ながら関西を飛び越えて愛知県。。。どっちもどっち。とうとう、勢いで香川県まで行ってしまった。

 車で休憩はさみ約3時間と少し、高松市に来たのはずいぶん昔に一度きり。大した下調べもしないまま昼前に着いて、まず向かったのは香川県立ミュージアム。「うどん県」に行くのだからとグルメサイトで見つけておいた近くのうどん屋に行く時間つぶしのつもりが、このミュージアムの企画の展示も、常設の展示もイチイチ面白いから困った。

 カガワケン面白いかも。。。なにも分かってない二人が同じことを呟きはじめだす。

 時間も無いのでミュージアムの観賞は小走りに、うどん屋に向かいました。
 うどん屋に着いてみると暖簾が掛かっていない。やってるのかな〜?と戸を開けてみると、お客さんはそこそこいらっしゃる。早速肉うどんを注文して食してみれば、うどんもお肉も満足感大。

 タカマツシ楽しいかも。。。満腹になって、いざ目的の高松市美術館「野口哲哉展」へ。

 番組で観ていたので作品がどんなだか分かっていましたが、実際に観ても期待を裏切らず面白い。展示室に足を踏み入れて直ぐ、自分の顔が緩みはじめてきました。
 甲冑姿の人形?は、写真の通り一人一人なんとも言えない表情。どこか冴えない様でいて、どこか夢心地な不思議な眼差し。表情も立ち振る舞いもどこまでもリアルで、どこにでもいそう。なのに、どこにもいないだろうと思えるギャップが心地よい感じです。
 作品はなかなか凄い数がありましたが、最後まで飽きずに観れるというのにも驚きです。補助車を押しながら、ひとつひとつ丁寧に観ているお婆さんの姿がありました。どうされました?なにやら話し掛けていそうで、聞き耳を立ててしまいそうになります。きっといろんな想像をされているのでしょう。

 作者の野口哲哉さんは、1980年香川県高松市生まれ。作品に掲げられたキャプションには、どこかしらユーモアありつつ鋭い視点。作品にも感じられる聡明な不思議感。

 美術館を退散した後は、すぐ側にある喫茶店「城の眼」へ。
 開業50年のレトロなお店です。設計・山本忠司。インテリアは石彫作家・空充秋。これまた趣のあるお店でした。今は人も少なめ、お客さんも入れ替わり2組ぐらいで、ゆっくりさせて頂きました。
 その後、海辺沿いの倉庫を改装したおしゃれな本屋さんやらカフェに立寄り、美味しいピザを頂いて、満足感満杯で帰路に着きました。

 カガワケンタカマツシのファンになりそう。懲りずにまた来そうです。

堤防の解体工事

堤防解体の様子
堤防解体の様子

 通勤途中で通り過ぎる堤防解体現場の移り変る様子を、年末年始のころから楽しみに見ていました。ごっついコンクリートの固まりが、日に日にゴソッと無くなってしまうのです。建築現場では見たことのないダイナミックさに圧倒されます。

 ですが、ガンガンガンガン響き渡る掘削音はなく、ヴュイ〜ィ〜〜ンてな感じで、なんとも静かに事が進んでいます。しかし通行できる道路側から作業の様子が全く見えず、作業箇所はブルーシートに包み隠されながら進むので、気がつけばチーズのように孔が開けられ、羊羹のようにスパッと刻まれ。巨大遺跡のように変貌する姿に一体どうなっているのかナゾナゾでした。

 運び出しの作業が始まり、はじめてその切り口を見たとき、でっかい円盤カッターで切ったかのような切断跡。いやいやしかし、堤防根元の厚みは1メートルも越えます。そんなもん円盤カッターで切るとなると、めちゃめちゃでかいやん??? そんな巨大ロボットマシンを隠し通せるはずもない。作業員さんは隠すつもりはないと思いますが、こっちは気になる気になる。

 何度も見ているうちに、これはきっとワイヤーみたいなカッターじゃないか?と気がついたのですが、その切断作業を見ることが出来ません。ずっとナゾが続いていました。が、作業も終盤、ようやくその作業現場に遭遇できました。
 おぉ〜素晴らしいタマゴ切り器なことか。小さい頃オヤジが、ゆで卵を糸で切っているのを思い出しました。

堤防解体の様子
見事な切り口!しかもこの厚さ! 奥に見えるのが新設の堤防。
堤防解体の様子
初めて見つけた切断作業の様子。 めっちゃコンパクト!

 うひょひょ、正解。ネットで探れば、分かりやすい動画ありの工法紹介サイトを見つけました。なるほど〜。運び出し作業の段取り良さにも、ただただ感心するばかりです。

堤防解体の様子
それにしても、この大量のコンクリートの固まりは一体どこに行くのだろうか?

映画「モンテッソーリ 子どもの家」

 機会があれば、こども園・保育所や幼稚園などの児童施設の設計に関わりたいと思っているものの、実のところ幼児教育についてほとんど無知に近い。どことなく聞き及んだことがあったのは、シュタイナー教育と言った単語ぐらいだろうか。それさえも、教育内容についてなんとなく勝手な想像をしているだけ。
 保育所計画に実際関わって知ることになった単語には、モンテッソーリ教育、レッジョエミリアなどがある。それぞれの違いを答えるにはまだかじり読みだけで理解が乏しく、もう少しぐらい答えられるようにしておきたい。

 そんなところで、先日公開された「モンテッソーリ 子どもの家」を観てきました。
 大口を叩けば、保育・幼児教育に限らず、小・中・高・大、教育に関わる方はもれなく観ておいて損は無いに違いない。が、観終わった直後の感想です。
 というのも、大学の非常勤講師をさせていただいた経験もあるのですが、その時分に学生とどう接していたか、映画の中の先生と比べてしまうのです。もちろん、6歳に満たないコドモと接するのと、20歳前後のオトナ?に接するのでは違って当たり前と言えますが、根本は同じはず。もう少し、こんなふうにしていた方が良かったんじゃなかったかな〜、思わず回想してしまうのです。

 映画の中で現れるキーワードに、自発性や集中があります。ある事物に興味を持つことで遊び「仕事」に集中力が高まる瞬間があります。自分自身の成長のためであり、且つ無意識なものです。簡単に言ってしまえば、夢中になっている訳です。達成できたり、興味が薄れるまでそれは続けられるものです。
 夢中になることは、幾つであっても大事なことです。今、自身の仕事においても同じ。学生時分に何かに打込む時も同じ。講師時分なら、教えている学生が夢中になれば、放っておいても良い仕事をしてくるものです。
 どうやって、夢中になれるか、夢中にさせるか。もちろん自発的に。

 映画に映し出される小さな子どもの教育現場を、ええ歳になってしまった自分の成長を促すネタにするのは、いささか恥ずかしささえもありますが、知識のために観にきたつもりが、観終わると、自分のために観ておいて良かった。とさえ思える素晴らしいドキュメンタリー映画です。見始めは子どもたちのかわいさに惹かれますが、観終わるころには自分自身を振り返ることでしょう。羨ましささえ感じます。
 監督さんは、自分の娘の成長を考え始めたなかでモンテッソーリ教育を知り、2年半の取材を重ねた上にモンテッソーリの教師資格も取られたそうです。子どもに寄り添った膨大な撮影時間を、短時間で垣間観られる贅沢な映画です。

 この映画、題材も題材なのでメジャー館ではやはり伸びなやみでしょうか。嫁さん二人の貸し切りで観させていただきました。お陰で映画途中に気兼ねせず会話も多少できて良かったですが、もっと多くの人に観てもらいたいと思います。
 観賞後に買ったパンフレットには、保育師の先生のインタビュー、監督のインタビュー、など解説がとても良く、映画そのものだけでなくモンテッソーリ教育の入門ガイドとしても読む価値ありでした。

リモコン生活が当たり前

 わが家の自宅リビングにある常駐リモコンは4つ。テレビに、エアコンに、照明。さらにAxxzonのスティックリモコン。

 去年の暮れ頃から、テレビリモコンは音量を小さくできても大きくできない。照明リモコンは電源が入ったり入らなかったり。徐々に過激になるお仕置きに反して、段々と言うことを聞かなくなっていった。
 テレビは買って6年は過ぎているので、まあ仕方なしかと思える。ネットで調べれば、同じタイプのリモコンがまだ売っていた。諦めて買い替えたので今は快適に使えている。

 問題は照明リモコン。2年ほど前にネットで買い揃えたシーリングライトだけど、リモコン単体がネット販売で見つからない。メーカーサイトの案内も不親切。仕方なし直接問い合わせてみたら、え、そんなにするの!?。値段がエライする。高機能なテレビリモコンならまだしも、送料含めるとガッカリする値段である。しかも、まだ2年ほどしか使っていない。。。
 比べてもどうしようも無いことは分かっていても腑に落ちない。ON/OFF だけなら壁付けのスイッチがまだ使える。ちょっと悔しいので、本当にどうしようも無くなるまで粘ることにした。便利なはずのリモコン生活なのに、なにをしてるやら。

 改めて考えてみると、いまやほとんどの生活機器はリモコンで動いている。クルマのドアしかり、玄関ドアでさえキーレスで開けたり閉めたりできてしまう。(わが家は違いますが。。。)トイレで噴水も出せる。
 今や音声認識で、テレビを付けたりエアコンの温度を調整したり。ニュースも聞けるし、ことわざも早口言葉も言ってくれる。身体を動かさずとも、いろんな事が魔法のようにできてしまうのである。
 ついつい便利に思っているが、リモコン生活が当たり前の毎日になると、何事にも無精になりそうだし、ややもすると人をアゴで使ってしまう事になりそうだ。

 今はコロナで無いだろうけど、夜中に酔っぱらって帰ってきたオヤジが、アXXサ、玄関のカギ開けて! 嫁さんのスイッチ切って! なんて、大声を張り上げる光景も近いことだろう。

コロナ禍えべっさん

 毎年えべっさんに通って30年近くになりますが、これほど閑散としたえべっさんは初めてです。

 コロナ禍で密なところに行くことは控えめに。。。と思うものの、商売繁盛を願うのも大事。本宮のお昼にお参りに行きました。事務所の行き帰り、通りに屋台が並ばない様子は予め分かってはいましたが、当たり前に思っていた賑わいを見ることが出来ずやはり残念。一年後の復活を祈るばかりです。

 さてさて今年も「鯛みくじ」。なんと、大吉ならぬ「大福」!? を引き当てました。なんだこれは? と思いきや、今年からの鯛みくじの最上位に加えられたのだとか。
 幸先よい。めでたや。めでたや。
 今年一年はこの「大福」を財布に忍ばせ、お守りにすることにします。

謹賀新年2021

明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします

 納まらないコロナ禍のまま、こころ落ちつかない一年の始まりとなりましたが、明るい未来のためには、いま自分の出来ることをしっかり見据え、ひとつひとつ丁寧に過すことだと思います。
 仕事始めの前に、施主さま、友人知人、仕事仲間から届いた年賀状をめくりつつ、懐かしい顔を思い浮かべたりしていました。こうして便りを頂けるのは本当に有難いことですね。

 本年もよろしくお付き合いください。

西宮廣田神社の干支

眼鏡レンズの交換

 2年前、大阪で定評ある眼鏡屋さん「谷町眼鏡店」で眼鏡レンズの交換をしてもらいました。すでに遠近両用を使っていましたが、どことなく合わないよな〜と思っているところ、義理姉からの紹介がはじめで、今は家族みながお世話になっております。

 そもそも予約制の眼鏡屋さんってなんだ?と思って訪れましたが、眼科医でも見たことない測定器械に、ん、なんだこれは?と驚いたり、視力で姿勢も崩れるんです。ん、なるへそ、と言った話を聴きながら一時間ほど対応してもらえます。

 2年前は、遠近両用を止めて、遠い用と近い用に分けて使いたい。と伝えたところ、むしろこのまま遠近両用を使って行くほうが良いですよ、視力こそはそれなり悪いですが、眼の状態・使い方はそうでもないです。

 遠近両用レンズを歳を取りすぎてから使おうとすると、脳味噌がレンズの度の変化に着いて行けなくなるそうです。なので、適当に若い内から慣らしておくのがベターなのだとか。
 左右の視力が悪いと、良いほうの眼ばかり使おうとする癖が知らぬ間について、肩が凝ったり、姿勢をくずしたりするそうです。そのところ、私は均等に使えているとか。

 今掛けてるレンズがキツいんです。少し度を緩めましょう。
 その言葉を信じてお願いした遠近両用レンズを掛けると、ん、なんか違う、しかも今回のレンズは遠近の境目が気にならず以上に分からず、眼を上下に遠くを見ても近くを見てもなんだか自然に見える。ほ〜こりゃスゴイ。と感動してしまったのです。

 で、そうこう2年が経つと、今も掛けごこちは悪くはないが近くが見えづらく感じていました。近くのものを見ると焦点が合わず、眼鏡を頭に引掛けてオヤジな姿勢になってしまうのです。で、また診てもらお。と谷町眼鏡店を再び訪れました。
 再び測定器械に向かった後、あはは、老眼が進んでますね〜の一言。なんとまあ!。
 でも、眼の状態は悪くはないですよ。遠近の「近」が合ってないんです。と教えてくれました。あ、この眼鏡、遠近両用だったんだ。そうなのです、2年経って自分が掛けていた眼鏡が、遠近両用レンズであることを忘れていた!?。ことに驚きました。

 そんなことで、少しばかし矯正してもらって、眼鏡レンズを新調。本日は、視界ヨロシク過せて快調です。
 しかしこの調子だと、2年ごとに相談に行きそうな気がしてきました。そこはガックリです。

映画「ホモ・サピエンスの涙」

 ロイ・アンダーソン監督(スウェーデン)の新作。分かってはいたけど、なんや不思議な映画でした。

 少し前、この監督の前作「さよなら、人類」と言うのを、Amazonの無料配信にみつけ見入っててしまった。セリフは少なく、カメラもほぼ固定。計算されつくした画面の中で、人々の悲喜劇を切り取って映し出します。ショートストーリーの繋ぎ合わせで知的なコントとも思えるような可笑しさがあり、なにがあるわけでもないのに笑いがこぼれてしまう。
 新作公開を見付け、これは大きな画面で観てみたいね。とヨメさんと行ってきました。

 パンフレットの製作記事を読むと、ロケはほぼ無くほとんどがスタジオ撮影。遠景に見えるのは製作された模型であったり、巨大な背景画のようだ。3Dはほとんど使わずアナログな製作にこだわってるとのことだが、映像で見ると虚像とも実像とも判断のつかない不思議な遠近感に惑わされる。目を凝らしてもつくり物に見えない。リアルとシュールの境界のような絵画のなかで、人物が演じている風に見えるのです。

 ネットに「神の目」と評したコメントがありました。監督の目から見た人々の可笑しな行動を、愛おしくもどこか覚めた目で丁寧に観察し、ひとつひとつ拾い上げて箱庭の物語にしてみた。そんな感じがします。

 ここまでの説明でお察しの通り、好き嫌いありそうな映画。しくじらなくても?気持ちよく寝てしまえそうな映画です。観客は20人いたかどうか。三席向こうに座っていた男性は映画が終わっても気付かず、そのまま気持ちよく寝つづけていました。映画館の方に起こされる様子が、まるで映画の続きを観ているかのようでした。

しまりすエコバッグ

 キャラクターデザインをお手伝いさせて頂いたケーキ屋さんから、10周年記念のノベルティグッズが届きました。突然のなんだか嬉しいお知らせです。

 しまりす「ピカソ」は一年遅れの生まれで9歳かしら。とても大事にされて、生みの親?としては感慨無量。お客様にも愛されているとのお話伺い、涙が出そうです。

 10周年記念の「しまりすごろく」は、ケーキ屋さん人生ゲーム?のよう。ご主人さまとピカソの歩みを勝手に想像しながら、コマに書かれた一言一言を楽しく読ませていただきました。しかも、すごろくのイラストを描かれた谷口りりこさんは、私と同じ精華大学出身なのだとか。ゆるやか〜なご縁を感じてしまいます。