イーノと太郎と建築

BRIAN ENO AMBIENT KYOTO – ブライアン・イーノ展覧会
BRIAN ENO AMBIENT KYOTO – ブライアン・イーノ展覧会
BRIAN ENO AMBIENT KYOTO – ブライアン・イーノ展覧会

 8月終わりはブライアンイーノ展(京都)、9月終わりは岡本太郎展(大阪)へ嫁さん伴い行きました。どちらも作品の熱量がすごく、とても面白かったです。

 ブライアン・イーノは、アンビエントミュージックの祖?と聞くと、どことなく小難しさを感じる方もいるかもしれません。ですが、建築との結構相性は一番いいかも。建築のプロモーションビデオに使われるのは、大抵この手の曲。ボーカル曲はあまりなく、あっても音として扱われることが多く意味不明。。。と書くと怒られそうですが、ポップスやロックを聞きながら建築観賞は厳しいよ。と感じるのは私だけでは無いだろうと思います。ジャズやボサノバなら、相性の良い曲もありそうですね。

 イーノの展覧会は、京都駅北にある京都中央信用金庫・旧厚生センターという少し古くて小さめのビルで行われました。全階を使ったインスタレーションと映像のコラボレーションアートです。たまたま開催を知ったラジオ放送での話。
 会場のひとつには丸太が立ち並んでいる部屋があるんですが、丸太の材料にイーノは(確か)白樺を要望していたのが、展覧会のプロデューサーは京都での開催なのでお願いして北山杉に替えてもらったそうなんですよ〜。
 空間と見るか、建築と見るかは別として、全てがアンビエントな感じ?です。観賞用のソファの中で気持ちよくて眠ってしまいました。。。

 行きは入館前に近くで牛カツ膳を頂き、帰りは京都駅の喫茶店に入りサンドイッチと宇治抹茶オーレでひと息。心身満腹の京都小旅行になりました。

 一方、岡本太郎の展覧会は爆発です。実は、それほどに作品を知っている訳ではありません。頭に浮かぶのは、太陽の塔やら顔のグラス。なにやらエネルギッシュだけど、よく分からない絵画や彫刻が少々。コチラはなにやら主張が覆いかぶさるような迫力です。

 太郎と言えば太陽の塔ですが、太郎は万博プロデューサーを務めることとなり、建築家・丹下健三が設計したお祭り広場の中央に、ドカんっと大屋根を突き破る太陽の塔を提案しました。改めて考えてみても、なんと無謀な現代建築・先端技術への対峙でしょう。
 ですが、太陽の塔に見学に行った小さな私は、生命の樹に心奪われたのを憶えています。とにかく圧倒された記憶だけが残り、実際どんなだったか何を見たのか頭の中で整理されていません。インパクト強過ぎて、夢で観たのか現実の体験なのか記憶さえもゴッチャになっています。

 展覧会では晩年まで製作を続けた太郎の作品も並んでいましたが、どこまでも衰える気配がありません。最後まで爆発し続けるパワーを分けてもらえる気さえして、観るよりも拝んでた人は私だけでなく結構いた筈です。

 昼前の入場でお腹を空かせて会場を後にしましたが、気がつけば既に午後3時。開いてる店もなく、ようやく見付けたパン屋さんに入りましたが、これが当り。近くの公園で美味しいパンを頬張りひと満足。公園横の園児たちが遊んでいる平和な風景が対照的にさえ思えました。

展覧会 岡本太郎
展覧会 岡本太郎
展覧会 岡本太郎
展覧会 岡本太郎

展覧会「聖林寺十一面観音」

撮影可の、なら仏像館「金峯山寺仁王門 金剛力士立像」

 日曜日、奈良国立博物館まで終了間近の聖林寺十一面観音像展を観に行きました。コロナ禍になって初めてのイベントらしいお出かけです。しばらく、せいぜい近場の映画館ぐらいでした。

 薄暗い展示室に入ると、僅かな明かりにぼんやりと浮かび上がる荘厳な菩薩の数々。一堂に観せていただける展覧会は、ひとつひとつのお寺参りとはまた違った贅沢な感じがします。
 ただ欲を言えば、もう少し明るくして欲しかった。いろいろ制約もあるでしょうが、お堂の暗がりの中で拝むのとなんら変わらず、実のところヨ〜見えんかったのです。せっかく博物館へ観に来たのだから、もう少しジックリと観察してみたいところ。ワタクシ的には残念な気がしてなりません。
 結局、嫁さんと共に一番気に入って見入ったのは菩薩像でなく、大国主大神立像という70センチほどの小振りな木像。少々おとぼけたエエ感じな大黒天さんに心が緩む気がしました。

 観音像展の他、東大寺二月堂の「お水取り」の紹介展覧会。収蔵品修復を紹介した展覧会。それぞれ見ごたえ充分な内容があり、一日楽しめる行楽です。

 最後の駄目押しは、隣接のなら仏像館。これでもか!と言うほどに仏像が並んでいます。すでにお疲れモードでしたが、数ある仏像を見て廻ると案外楽しい。

 そうすると、小さな像になるほど親しみやすくデフォルメされた姿をしていることに気がつきました。仏像と言えど、漫画やアニメのキャラクターとまるで変わりません。ストラップにしてぶら下げたい気さえしてきます。さまざまな畏怖を身近なものへ変換する日本人独特な表現力は、万物自然の畏れを現す神さん、人の世の畏れを現す仏さん、とのうまい付き合い方から生まれたのでしょうか? 似たものはあっても他国のそれとは違って見えるのです。
 そう思い始めると、リアルな十一面観音さんもジャンルこそ違え例外でなくなって来ます。怖面の金剛力士立像も、どことなくスットンキョーで愛らしくさえ思えてきます。

 オタク文化は今に始まったことでは無く、長い年月を掛けて培った日本人の感性なのだ。と勝手な夢想に浸った一日となりました。

撮影可の、なら仏像館「金峯山寺仁王門 金剛力士立像」

あさご芸術の森美術館と多々良木ダム

 石の彫刻家・牛尾啓三先生から個展のお誘い頂き、ヨメさんと朝来市の山のなかにある美術館へ行ってきました。西宮から約2時間。気晴らしにドライブがてらの気持ちだったのが、着いてみるとちょっとばかり驚きの連続でした。

 到着したあさご芸術の森美術館へは初めてです。朝来市出身の日本を代表する彫刻家・淀井敏夫氏(1911~2005)の作品を館内と屋外に多数展示している施設ということも、実は着いてから知りました。その作品のひとつひとつが美しくそして面白く、これまで知らずにいたのがちょっと恥ずかしい感じさえしました。

 また、それ以上に驚いたのは美術館の正面からも見えるド迫力な石積みの丘? ダムのすぐそばにあることを下調べで知らなければ、目を疑うばかりの風景が拡がっています。荒々しく積まれた石積みは、どこか外国の風景にも見えます。雄大な公園でゆるりと過ごせるは、とても贅沢な時間に感じます。

 ダムへも少し行ってきました。ちょうど美術館を見下ろすことができます。これも迫力満点ながら山間の風景がなんとも牧歌的です。お誘いいただいた牛尾先生に感謝です。

野口哲哉展〜いちにち高松市めぐり

野口哲哉展(高松市美術館 )
野口哲哉展(高松市美術館 )

 しばらく前、日曜の美術番組で紹介された彫刻作品の展覧会が目に留まり、こりゃオモロいな〜と思ったら、すぐ横にいたヨメさんが、コレイキタイ!と叫んだ。
 え!?どこでやってんの?と探したら、香川県の高松市美術館。巡回でコッチに来ないの?調べてみると、残念ながら関西を飛び越えて愛知県。。。どっちもどっち。とうとう、勢いで香川県まで行ってしまった。

 車で休憩はさみ約3時間と少し、高松市に来たのはずいぶん昔に一度きり。大した下調べもしないまま昼前に着いて、まず向かったのは香川県立ミュージアム。「うどん県」に行くのだからとグルメサイトで見つけておいた近くのうどん屋に行く時間つぶしのつもりが、このミュージアムの企画の展示も、常設の展示もイチイチ面白いから困った。

 カガワケン面白いかも。。。なにも分かってない二人が同じことを呟きはじめだす。

 時間も無いのでミュージアムの観賞は小走りに、うどん屋に向かいました。
 うどん屋に着いてみると暖簾が掛かっていない。やってるのかな〜?と戸を開けてみると、お客さんはそこそこいらっしゃる。早速肉うどんを注文して食してみれば、うどんもお肉も満足感大。

 タカマツシ楽しいかも。。。満腹になって、いざ目的の高松市美術館「野口哲哉展」へ。

 番組で観ていたので作品がどんなだか分かっていましたが、実際に観ても期待を裏切らず面白い。展示室に足を踏み入れて直ぐ、自分の顔が緩みはじめてきました。
 甲冑姿の人形?は、写真の通り一人一人なんとも言えない表情。どこか冴えない様でいて、どこか夢心地な不思議な眼差し。表情も立ち振る舞いもどこまでもリアルで、どこにでもいそう。なのに、どこにもいないだろうと思えるギャップが心地よい感じです。
 作品はなかなか凄い数がありましたが、最後まで飽きずに観れるというのにも驚きです。補助車を押しながら、ひとつひとつ丁寧に観ているお婆さんの姿がありました。どうされました?なにやら話し掛けていそうで、聞き耳を立ててしまいそうになります。きっといろんな想像をされているのでしょう。

 作者の野口哲哉さんは、1980年香川県高松市生まれ。作品に掲げられたキャプションには、どこかしらユーモアありつつ鋭い視点。作品にも感じられる聡明な不思議感。

 美術館を退散した後は、すぐ側にある喫茶店「城の眼」へ。
 開業50年のレトロなお店です。設計・山本忠司。インテリアは石彫作家・空充秋。これまた趣のあるお店でした。今は人も少なめ、お客さんも入れ替わり2組ぐらいで、ゆっくりさせて頂きました。
 その後、海辺沿いの倉庫を改装したおしゃれな本屋さんやらカフェに立寄り、美味しいピザを頂いて、満足感満杯で帰路に着きました。

 カガワケンタカマツシのファンになりそう。懲りずにまた来そうです。

チームラボと姫路城

チームラボ
チームラボ

 以前から気になっていたデジタルアーチスト集団チームラボが、姫路市立美術館で展覧会を開催しています。6月はじめの日曜日、ヨメさんと観に行きました。

 もうじき会期終了、絶対ヒト一杯やでェ〜、と朝10時半頃に到着すれば、およそ30分待ちのプラカード。並び始めれば、瞬く間に行列が続いて行きます。ふわ〜〜〜っ!
 去年の丁度今ごろ、東京お台場に開館した「森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」がテレビで紹介されるたび、ふわ〜〜〜っと見入っていいた。なんとも気持ちよさそう〜〜〜である。
 年代ものと笑われそうだが映画「トロン」のような、デジタル世界に自分の身がスッポリ転がり込むような錯覚を味わえそう、自然現象をモチーフにした作品が多いが、単なる疑似体験とは違う夢空間に身を置きたいと思わせる。そんなイメージで期待を膨らませ、いざ!。

 ア〜違う。きっとコレはゼンゼン違う。と言うのが、今回の感想。
 残念ながら展示室のスケール不足なのか、期待が肥大過ぎたのか。もちろんソレなりに楽しめたが、身を委ねたような気持ちよさは味わえなかった。出張展示は難しかったのか、インスタレーション的な体感空間ではなく、壁面の投射映像だけで終わってしまったので、ココロで感じるにはボクは歳を取りすぎた。かもしれない。
 動作に反応する文字や図形、散らばる花、揺らめく波に、子供らと一緒になって駆けまわるってことも出来ず、テレビで観たそれであっても幽体離脱するには圧倒感が足らず、ただただ自撮りを楽しむ中年カップルであった。
 こりゃ〜お台場に行ってみんと分からん、と思わせられて、終わってしまった。美術館を出れば、行列だけはさらに延びていたのだけど。

 折角姫路まで足を伸ばしたのだから、姫路城。単純な理由でいざ出陣。
 言わずもがな、圧倒感は明らかにこちらの方が上手でした!。どうやって積上げたのやらの石垣の足元を抜け、6階建て登城のはじまり。実質もっと高いだろうお城の急な階段をエッチラコッチラ登って、どでかい柱や梁を見上げ、いかにも厚そうな床板の足裏の触感を堪能し、姫路の街を一望し、饒舌なボランティアガイドのおじさんに耳を傾かせ、ヨロヨロ降りて。最後は、はしゃぐ外国人観光客を横目に、城をふわ〜〜〜っと見上げて終わり。
 うん、ヨカッタ。

 元号変わりの長かった今年のゴールデンウィークの間には、たいした行楽も出来ずにいたので、ようやく羽を伸ばせた感じがしました。やはりリアルな体験に勝るものは無しでしょうか。それとも、ただそんな歳になってしまっただけか。
 その答えを出すには、まだまだ若造のつもり。のはず。そんな幻覚を味わうのが目的の一日となりました。

ushio 工房 と tamaki 工房 のスケール感がとても気持ち良い。

2月の日曜のことですが、加西市と西脇市にあるふたつのアトリエをヨメさんと尋ねました。

* * *

まず以前より親交いただいている石の彫刻家 牛尾啓三 先生の加西市にあるアトリエ。


随分昔に一度訪ねたきり。今回、そのアトリエで3彫刻家の制作風景公開イベントなる案内が届いたので、良い機会と思って訪ねました。
到着すると、石切場跡のアトリエ風景はそれだけで迫力満点、来る甲斐があります。
この場所で大きな塊の石?岩?から、なんとも不思議な知恵の輪のような数学的作品を数多く生み出し、世界中を渡りあるく芸術家のアトリエと聞くだけでなんだかスケール感に圧倒されるのです。この場にいるだけで、ワクワクします。
切り出しの様子を、おかきとお茶をいただきながら拝見して来ました。

* * *

帰り、西脇にある播州織研究家 玉木新雌 さんの工房兼ショップに立ち寄りました。

偶然に知り合いの工務店さんがこのショップの移転改装に関わられていて、連れて行ってもらいそのスケールに驚いたのが少し前。ヨメさん連れて行けばコレは間違いなく喜ぶと思っていたのです。
今では世界的なブランドからも注目をされているそうですが、こんな規模になる以前から少し知ってはいたので、広い駐車場まで備えた新しい工房にずら〜りと並んだ織機が並ぶ様には正直驚きます。そして織機の間を縫って工房見学もできるようにされているのがまた新鮮です。
ここを束ねる玉木新雌さんは、まだまだ若い方。やや廃れつつな地場産業に新風を吹かせています。

* * *

コトを成し遂げるスケール感に、ふたつの工房はどこか共通するものがあるように思えました。いろいろな意味で刺激を受けます。

北斎の浮世絵刷りに初挑戦「みんなの学美場」

去年の北斎展からにわか浮世絵ファンになったところで、今年初めは調子に乗って浮世絵の刷り体験講座を、ヨメさんともども神戸市立博物館で受けてきました。ミュージアムエデュケーション研究会2017「みんなの学美場」という、明石、神戸、阪神間の美術館や博物館等12施設が連携して去年から開催しているワークショップのひとつです。

参加者は年齢幅もありそうな20名ほど。博物館の地下にある一室に案内され、講座が始まりました。長テーブルの上に版木が整然と並べられています。近づくと、その版木は少し小さいけど北斎の見慣れた図案。大っきな浪間の向こうに富士山の見える富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」です。意味なく嬉しくなってきました。

「神奈川沖浪裏」版木

はじめに研究会の趣旨について説明を受け、続いて浮世絵のこども向け基礎レクチャー?。この講座自体は、博物館が教育関係者や、小・中・高生の美術教育の一環として元々取り組んでいたものを、今回は一般向けに開催したのだそうです。
とは言え、目の前にあるのはちゃんとした?彫師さんが掘った本格的な版木。時代を超えても、刷り上がれば浮世絵に違いありません! うまく刷れたら売れるかも? 学芸員さんの手慣れた説明を受けて刷り講座がスタートしました。

まずは、はがきサイズの金魚の親子!主版と呼ばれる線図に2枚の色版3色刷り。おやおや、意外と難しい。学芸員さんのアドバイスを受けつつ、なんとか1枚刷り上がり。まずは練習。練習。さらに、同じくはがきサイズの猫の版木に挑戦。意外といけるやん、と調子を掴んだところで、北斎の版木に向かいます。

「神奈川沖浪裏」は、線図の主版に6枚の色版で7色刷り。図案自体はB5くらいで用紙がA4ほどです。
まず版木に絵の具をちょんちょんと載せ、その3分の1くらいの糊(絵の具の定着を良くする)を添えます。饅頭サイズのモップのような刷毛で、絵の具と糊を混ぜ合わせる様に版木に拡げます。和紙を版木右下角のアタリに紙を合わせつつそっと載せ、馬連でやさしく抑えつつ、はじめはゆっくり徐々に力を入れながら刷り、そっと引き上げる。浪裏の線図が現れました。
ええ感じやん。
さらに1色目を載せ、2色目を重ね。3色。。。と進んで4色目。技ありのグラデーション着色。絵の具と糊を並行に撫でながら、ふんわり富士山を浮き立たせる空色を付けます。恐る恐る引き上げたところで、横にいた若い女性に、お上手ですね〜、と言われ。あ、そうですか〜。頭を掻きながら浮き浮きとなり、5色目、6色目と順調に行くはずがぁ。。。そんなうまくも行きませんわ。絵の具の付けすぎか馬連の乱れ、浪のないところに浪ができてしもた。焦りは禁物。無心でないとええもんできません。とほほ。

小一時間の講座でしたが、なかなか緊張感もある浮世絵刷り体験。次こそは、売りもんを刷ってみせます。ところで、こうした浮世絵は当時500円くらいで売られていたとか。レクチャーで聞いた豆知識でした。

百と100 〜 北斎と安藤忠雄 〜

あべのハルカス美術館で開催中の「北斎展 – 富士を超えて -」と、大阪国際会議場で開催されたアイカ現代建築セミナー「安藤忠雄講演会 – 新たなる挑戦 -」に行って来ました。一日でこなす行事としては、ちょっとばかり濃い感じ。

「北斎展」

平日なのにスゴい人混みでした。昼すぎ会場に着いて当日券を買うのに3〜40分の行列。さらに入場10分。予期せず1時間ちかく行列に並ぶ羽目となりました。北斎人気にびっくり仰天です。

この北斎展に合わせて放送されていたNHKの特番やドラマをほぼ欠かさず見ていました。絵を描く人にとって、挑戦的な姿勢で画業を全うする北斎は憧れの一人でしょう。日本人画家?で一番知名度があるのは、やはり北斎の気がします。小学校の美術の教科書に載っていただろうと記憶を辿っても、いつの頃から北斎の名前を知っていたのかさえ分からない人も多いのではないでしょうか。そのくらい北斎という存在は日本人に浸透している気がします。

展示は北斎が70~80~90歳代に渡る後期のものがメインで、卓越した筆使いにいちいちため息がでてしまいます。ドラマの中で幾つになっても絵の上達を目指す北斎の貪欲な姿が描かれていましたが、展示の最後あたりになると片隅に「百」の印が押された画が並びます。当時なら既にヨボヨボ長寿の筈と想像するのですが、さらに百歳まで絵を描き続けようと88歳から全ての作品に使っている印章だとか。ただただ恐れ入ります。

「安藤忠雄講演会 」

現代において知名度の高さなら北斎に劣らずの建築家・安藤忠雄氏。北斎展に押されて開演ギリギリの到着。会場後ろの席で中心通路際に座っていたら、開演同時に安藤氏が横を颯爽と通り過ぎていきました。癌の手術を受けられていることはご存知の方も多いと思いますが、そんな気配を感じさせない凛とした歩き姿です。

ステージに上がってまず、ちょっと摘出手術したけどしっかり元気やで、いつものガラガラしゃべりでアピール。さらに正面スクリーンに映し出された「100」の文字。何かと思えば、百歳まで仕事しまっせと宣言したのです。なんと、北斎とおんなじことをしてるやん。。。御歳は76の筈。北斎の宣言まで後12年ありますが、十分にのけぞりました。北斎展に合わせた余興だったかどうかは定かでありませんが、ここから4半世紀はまだまだ譲らん!という勢い。講演会でそんな宣言をする建築家っていうだけで、ただただ恐れ入ります。

いつものように住吉の長屋から始まって、最近のプロジェクト紹介。地平水平を超えた仕事っぷりにため息ばかりでてしまいます。適度に笑いを織り交ぜ、聴衆をサービス精神旺盛な飽きさせない話しっぷりにも脱帽です。

百と100

二人の作家に思わぬ共通点。今の自分に満足することなく我武者羅に、いつまでもどこまでもやり続けたい一心こそ、作品以上に人々を惹きつける魅力なのだと知る一日となりました。

KHギャラリー芦屋(旧コシノ邸)|安藤忠雄

この日曜日、台風の接近間近に安藤忠雄設計のKHギャラリー芦屋(旧コシノヒロコ邸)にヨメさんと二人で行って来ました。4〜5年ほど前から、一般公開されています。
ギャラリーのHPで開催中展覧会の最終日と見つけ晴れている午前中のうちなら〜、慌てて到着すれば、エ?扉が閉まっている!
玄関先でオロオロしているところに、中の学芸員さんが気づいて出て来てくれました。実は展覧会は好評で会期延長、さらに台風接近で今日は休館のインフォメーションを告知していたのですが、、、と聞かされ唖然。そこをナントカ折角だからと、食い下がると学芸員さんは親切に開けてくださいました。スミマセ〜ン。

厳かに中に入らせてもらうと、まず和室と大階段。そのまま吹き抜けのリビングが続きます。なんと言えばよいのか、安藤建築に出会えた感触が湧き起こりました。適度に余裕をもって飾られるコシノヒロコ氏の作品。まさしく美術館。住まいであったことを感じさせません。素直に気持ち良い。
二人空間に浸り、促されながら安藤氏のスケッチが飾られた廊下を渡り、円弧の壁に囲われた寝室へ。そしてダイニング。どこに立っても時間の流れがゆったりと感じられます。
増改築を繰り返して今の姿となっていますが、初めから計画されたひとつの建物のようにしか感じられないことにも、ちょっと驚きです。

しばらくすると、我らと同じく休館を知らず来られたひと組がありましたが一巡してすぐに引き上げられので、ほとんど二人で小一時間、広いギャラリーの中を貸切で滞在させていただいた感じでした。
休館にお付き合いいただいた学芸員さんには申し訳ないばかりですが、よい経験をさせていただきました。本当にありがとうございます!

こんなトコ住んだら、感覚も変わるやろうな〜。羨望混じりのヨメさんのつぶやきはきっと誰もが感じるでしょう。建築の強さを久しぶりに感じるひと時でした。

後日、アンタダ講演会に当選したヨメさんは只今嬉々としております。

びっくりポンやわ!KEIZO HOUSE

ともかくギョギョっと、スケールに圧倒された一昨日の休日。

石の彫刻家・牛尾啓三先生からのお誘いで、ドイツで参加された国際彫刻シンポジウムでの制作報告会に伺いました。会場は明治期の古民家で、先生の私設ギャラリー?です。

去年のうちから先生のフェイスブックで古民家を購入し、修繕する様子が時折紹介されていました。なにやらゴツそう。。。とだけ垣間見ていた訳ですが、この度晴れてお披露目?に参加させていただいた訳です。一緒に行ったヨメさんはテンション急上昇の様子。
何しろ報告会の会場は二階の100畳敷きの間? それを聞いただけで、なんじゃそれ?って具合です。元は両替屋?銀行?・・・商家との事ですが、スケールがデカすぎでした。頂いた資料に目を通せば、建坪120坪の母屋に蔵やらがくっ付いて延べ床だと300坪を超えています。二階の間は当時、今とは交通事情が違いますので旅籠がわりに使われていたそう。
いやいや土地の面積の間違いでは?と思いそうなぐらい大っきなお屋敷だった訳です。先生らしいと言ってしまうとそれまでですが、ともかくたまげました。

何よりこのお屋敷を所有しようと考える先生のスケールがデカすぎです。この後は、イベントの会場や海外からの来賓向けのゲストハウスにしたいのだそうですが、正月には一人で廊下を磨いていたとか、台風の時は心配で泊まりに来るのだとか。何とも気さくな人柄が、これからますますスケールを大きくする気がしてなりません。

牛尾啓三 × 濱中裕明「芸術と数学の出会い」

以前に仕事でお付き合いさせて頂いた彫刻家・牛尾啓三先生からFacebookの案内があって、姫路の手前になる別所と言うところで「サイエンスカフェはりま」という対談イベントに参加してきました。

気さくな人柄の牛尾先生とお会いしたのはカレコレ10年程前、それ以後は事あるたびに展覧会の案内や近況報告を頂いていました。が、お会いする機会はなかなかなく、今回は案内のイベントが面白そうな事もあって時間を作りようやくお会いしに行く事ができました。
海外でも活躍されている牛尾先生の作品の多くは大きな石の彫刻ですが、メビウスの輪をモチーフにされるなど幾何学的でもあり有機的でもあり、造形の不思議さが魅力です。一番大きな作品だと元の石は30トンにもなるそうですが、それを身体ひとつで削岩機などの道具を使い削りだして行きます。例えばドーナツ状に削りだした形をある規則に沿って割って行くことで、頭では理解はできても観ていると理解を超えて不思議な形になっていくのです。
そうした造形が評価を生んで、世界の数学者の方々が興味をそそるのだとか。結果、数学者の国際会議のイベントに招待されるまでに。今回のイベントは日本で初めての数学者とのコラボレーションだとか。

もうひと方、数学者濱中裕明先生のお話は牛尾先生の作品を分かりやすく数学パズル風な解説をされ、加えてさらに発展した造形の不思議さを紹介していただきました。自作の小道具もこまめに用意され、実際に簡単な遊びも加えられ時間一杯楽しい話を伺えました。

イベント後もそのまま懇親会に参加させていただき、牛尾先生の海外での武勇談や文化論?に元気づけられ、濱中先生が予め用意までされている?数学マジックに皆が机を囲んで悩み、幅広い層の参加の方々としばしの歓談を楽しみ、久しぶりに身体も頭もリフレッシュ出来た一日となりました。

「船坂ビエンナーレ」に行ってきました。

先日、「船坂ビエンナーレ」という地元西宮で開催されているアートイベントを覗きに行きました。平日だったので足場も悪い山の中、誰もいないんじゃないかと思っていたのが、そんなこともなく、失礼な事を思っていた事を反省。実は僕自身、イベントそのものよりも一昨年に閉校になった「船坂小学校」の校舎が、公開されている事をテレビで知って、それを見に来てみたかったのが一番の目的。また、この辺りはまだ茅葺き屋根の家屋が残っている事を、現場に向かう行き帰りに車の中から気になっていたので、これはいい機会。ヨメさんを無理矢理連れ出し来てみたのです。
半日もあれば見て回れるかなと思っていたのも甘く、作品も思った以上にあり、船坂の山間をエッチラコッチラ朝から夕方までビッチリと楽しんでしまいました。ビエンナーレは、この日曜日で終わってしまいますが、プログラムを改めて見ると期間中にいくつかイベントもあって、もっと早くに来てみれば別な楽しみ方も出来たかもしれず、後になってやや後悔です。
それはそれで、車で通り過ぎるばかりでずっと気になっていた船坂付近を歩いてみることもでき、地元でこうした催しに参加も出来、改めてよい環境で過ごしているのだな、と感じます。気軽に来れる良い機会にもなりました。(このビエンナーレは、少々宣伝不足な気もしますが。。。)
ところで、写真には船坂小学校での教材なんかも写ってます。すべてアート作品ではありません。あしからず。

大山崎山荘美術館「睡蓮」の見方

名神高速で仕事の帰り道。大山崎付近でまだ昼過ぎだったものだから、そうだ大山崎山荘美術館に行ってみようと思い立ち、そのまま高速を降りた。ずいぶん前だが新館は安藤さんの初期の美術館。実はまだ行った事が無かった。印象派モネの「睡蓮」が飾られていることで有名です。

その以前、庄司事務所に来ていた美術好きなバイトの女史が、あれはダメですよ〜。絵の前が狭くて引いて見ようと思っても、ちゃんと見れない。光もイマイチ、私は嫌です。モネがかわいそう。とまで言っていた。その記憶だけで実際どんなだろうと思って、モネの飾られていた新館(と言っても古い訳ですが)に入った。ちなみに展示室は円筒状のコンクリート外壁に囲まれ、真ん中は白い壁で囲った空間があります。その四角い空間の上にはトップライトがあり、適度に円筒の展示室にも光が漏れるような感じになっています。それほど大きくはありません。
足を踏み入れて女史の言っていた事が分かりました。今日は関西の椅子作家の展覧会が併設されていたので、なおさら動けるスペースが少ない。たまたましばらく一人で鑑賞する事ができたので、窮屈感はないが、曲面に飾られた4枚のモネと正対して向かうと確かに近い感じがします。敢えてのモネファンでもなかったのですが、もうちょっとあればねと思いつつ、併設の椅子に目が移りはじめました。

ちょっと若めな警備員さんがコチラの鑑賞を邪魔しない様に一人で立っています。展示の椅子は触っても良さそうなコメントが付けられていたのですが、念のため聞いてみた。どうぞ座ってみて下さい。それまで黙っていた警備員さんが、あちらの椅子は座られましたか?気持ちいいですよ。と促される。面白い人だな。と思っていたら、後から入って来た学生らしき若者達に、この絵はコチラから見てみて下さい。と話しかけている。つい、耳をそばだてると的をついた意見が聞こえ興味が湧く。改めて、モネを見始めてしまった。

鑑賞者が少なくなって、絵に興味を持ち出した僕を捕まえ、今度はモネの見方について持論を語り始めてくれた。あの絵はモネが白内障になった後でのものです。絵は大きいですが、モネが見ているのは小さな世界なんですよね。此処から見ると睡蓮が浮かんできませんか?丁度、今の明かり具合が良いです。…確かに。真っ正面から見ようとしていた時よりも斜めになった今の位置の方が映り込んだ光も無くずっと奥行き感を感じるし、睡蓮が浮かんで見える。この絵は階段を2段上がったところで左の角をみるような感じです。額の奥に池が広がるように見えませんか?…うむ、確かに。

私は絵は実はよく分らないんですが、此処に来て2年間、絵を観られる方の様子を見て自分で確かめたり、考えたんです。絵が好きそうな方なら、私なりのポイントをお伝えしてみるんです。結構喜んでもらえて嬉しいんですよ。以前は測量の仕事をしていたせいかも知れませんが、観る方向がなんとなく気になるんです。やっぱり一番奇麗に見える位置が良いでしょう。なので意見はありますが、この空間がとても好きなんです。

警備員さんを前に、目からウロコ状態です。適度に美術をかじった僕は、こんな当たり前で素直な見方をした事は無かった。警備員さんは絵の見方が対峙しようとする西洋的な感じでなく、空間全体で捉えたとても日本的な見方ですよね。と感想を伝えてみると。モネは日本趣味だったからでしょうか。
しばし警備員さんと美術談義となった。学芸員さんからは絶対に聞く事が出来ない、すばらしいレクチュアにごっつ得な気がした。私も大阪ですから、ちょっとでも得したいんです。

モネの見方だけに留まらず、安藤建築の見方まで教えてもらった気がしました。次回は是非に秋頃に来て下さい。新しく出来る新々館はまだでしょうが、絵が変わってますし光がまた違いますよ。既成概念を取り払って、自由に使えば良いのですよ。なんて施主さんに言う自分がすっかり恥ずかしくなってきました。

横尾忠則はやっぱり違う

雨降りが続くとホントかないませんね。今日はそんな事を言う場合でなく、西脇方面のとある物件のプレゼン続きで概算見積持って打合せに。新境地に向かって?精一杯頑張ってみたので、さあ後は運任せです。

その後、西脇にある大きな保育所へ。その保育所さんとは10年近くのお付き合いをしています。こちらは10年前に新園舎のプレゼンをさせて頂く機会があったのですが、じつはあえなく落選。なのですが、変わった設計士と、どう言う訳だか園長さんには気に入って頂いており、その後送った年賀状がきっかけで、工事中から他社の設計内容の相談を受け。竣工後もチラシのデザインやら内装の変更、記念写真の額縁の選定など細かな事があると呼んで頂けるようになりました。面白い園長さんなので、こちらもへいへいと伺うようになりだらだらと時間の過ぎることもあります。面白いものです。

その保育所に行って時間のあるときはいつも、すぐ近く日本のヘソ公園にある岡之山美術館に立ち寄ります。ここは画家(元デザイナー)横尾忠則氏の小さな美術館で、磯崎新という大建築家の設計です。今日も同じ様に立ち寄ると「横尾忠則いまどうしてる?西脇展」なんとも気の抜けたタイトル。何が飾ってるとかそんな事は気にせず、いつもの様に受付の呼び鈴を鳴らします。よくこんなんでやれるよな。と思いつつ、いつものようにぶらぶら廻り始めると、今回はツイッターのつぶやきと絵が一緒に並べてありました。なるほど。その一言一言が結構面白い。やっぱ違うよな〜。別室で絵を描く横尾さんのビデオが流れていたので、ついついそのまま眺めていると。個展は2年後まで詰まっている。。。とテロップが!やっぱ違うかも。。。そのビデオの一場面で、昔の絵に絵筆を入れています。どこだったかの美術展の図録にこの作品は載ってるんだけど、もうその絵はこの世に存在しないの。。。と、ひと言。やっぱ違います。

ポスター1枚買って帰りました。

束芋:断面の世代

昨日はヨメさんの誘いもあって、現代美術家・束芋さんの展覧会(最終日)に足を運びました。断面が平面に、立面が平面に、透視が平面に落されながら、現代の時間や空間をアニメーションを駆使しながら毒気を持って表現されています。切り口は違いますがどことなく建築にも共通しそうな感じです。単純に観て面白かったです。

ところで、行こうかどうしようか迷っていいた時に読んだ、ウィッキペディアに載っていた束芋さんのプロフィールに勇気づけられる気がしたのは、僕だけだろうか。。。

外礒秀紹展

MU-HidetsuguTonoiso

連休の合間、立体造形作家の友人から大阪のギャラリーで展覧会をしている知らせをもらっていたので、きっと今日なら会場にいるにちがいないと踏んで最終日の終わり間際を狙ってでかけた。案の定、6組の作家が催している広い会場に外礒氏を見つける。

彼の作品をまじまじと見るのは随分久しぶり。年賀状のやり取りはずっとしていたので離れた気はしないが、おそらく10年以上は開いている。黙っていれば哲学者的な風貌で小難しいことを口にしそうだけど、話せばお茶目な感じは学生時代から全く変わっていなかった。並んでいる作品もなにか言いたげな感じなくせに、しょうがないから並んでやってるんだとも言っているようにも思える。少し馬鹿にされた感じもしなくでは無いが、そんな訳だから天井の高い空間に堂々と鎮座していた作品が楽しく思える。

芸大出身といっても同じ出身大学の同じ年代の現役作家の友人は、考えてみれば彼ぐらい。もっと応援しないといけないな。会期は過ぎてしまったから、折角の紹介も案内にはなりませんが、どこかで外礒氏の名前を見つけたら、是非足を運んでみて下さい。

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アイナール・トゥルコウスキィ

毎年恒例のボローニャ絵本原画展を西宮市大谷美術館まで見に行ってきました。

公募の作品に気に入ったものもいくつかあったのですが、展示最後に観た特別展示のアイナール・トゥルコウスキィ<Einar Turkowski>さんの作品を観て、その精緻な絵に度肝を抜かれ、それまで観た数々の作品の印象がスッ飛んでしまいました。壁に掛かったいくつかの原画は、他を圧倒する大きさでも、奇抜な色彩でもありません。ごく普通な大きさの紙の上に、小さな絵がいくつも並んでいます。大きいものでもA3サイズあるかなしかです。上の写真は、購入したトゥルコウスキィさんの絵本を撮ったものですが、白い紙にシャーペンで描かれているだけ。解説によると、24ページ程のどちらか言えば薄いぐらいのその絵本の原画は、制作に3年間を要し、400本のシャーペンの芯を使ったのだとか。(正直、芯の数は多いのか少ないのか分かりませんが。。。ともかく3年は長い。。。)HBだとか。0.5?0.3?芯の大きさが描いてなかったな〜。

元々舞台美術の勉強をされていたそうですが、大学に入ってからイラストの講座に通い、この作品は卒業制作だそうです。そのまま数々の賞を受賞。ひぇ〜。絵本になって印刷されているものと、飾られていた原画を思い浮かべても、ほとんど大きさに変わりがありません。むしろ原画の方が緻密だったと感じます。印刷は白飛びしたりして、原画の微妙なトーンを再現できないぐらいです。あ〜もったいない。大きな絵を小さく納めて緻密に思えるのでなく、要はそのままの方が数段ぐらい緻密な印象がありました。

アイナール・トゥルコウスキィ「まっしぐら、奇妙にしずか」(アマゾン)

ブラティスラヴァ世界絵本原画展(スロヴァキア)
 2007年グランプリから大きな画像が拝見できます。

設計がまだシャーペン、鉛筆が主流な頃(まだ大学にいた時分)1ミリの中に何本線が引けるかを、ひたすら練習させられるなんて時代がありましたが、もうそんな次元ではありません。虫眼鏡をかざして観察してみたくなる様な絵が、つぎつぎ並んでいるのですから。頭が空白になりそうです。仕事でこんな事していたら、3年掛かっても基本設計すら終わりませんね。 久しぶりに、衝撃でした。

81LAB GALLERY

今日はマチに出るついで、気になっていた写真ギャラリーを覗きに行きました。
81LAB GALLERY
船場問屋街の南。どんな経緯でこんな具合に建ったのか。
建築屋心もくすぐる、今だと考えられない両脇挟まれた小さな古いビル。
偶然見つけた81LABという写真サイト。
フリーマガジンを発刊していて、しばらく前から定期購読していました。
届いた誌面を見ながらバックナンバーが欲しくなって、さらに興味が湧き、
機会があれば行ってみようと思っていた訳です。
実はこのエントリを書き始める前まで、作家のプロフィールとかよく見ずにいたのですが、
改めて見ると若い。主催者のお二人もひと回りぐらい若い世代でした。
新鋭の写真家たちが、集まってこのグループを支えている様。
採算のとれないだろうマガジンも自費出版だそうで、
若い世代の勢いに、正直感心してしまいました。
若いな〜。完全にオヤジ状態です。
ここ数年、デジカメやネットのお陰か、写真の世界は賑わっていると思います。
女性の写真家や若い写真家が、取り上げられるのを見る機会も増えたと思っていました。
そんな勢いを目の前に見た気がします。
こりゃ負けられん。ますますオヤジ状態に陥っています。

SevenStars

世の中に未だ逆らって喫煙を続けているが、
大学を卒業する前後から、ずっとセッタ(セブンスター)。
かれこれ10数年になる。
たまに他の煙草に手も出したが、これに戻る。
密かに感じているけど、セブンスターかハイライトを吸ってる輩は、
他の煙草に変えようとしない偏屈者か頑固者。
親父はハイライトだし、本数を減らす様になっても変えない。
間違いない。
10日程前、たまたまコンビニで買い求めたら、
店員さんに、期間限定でライター付きのこんなのありますよって教えられ、
お、かっこいいぞ。迷わず買ってしまった。
どうやら数量限定らしく、すでに売り切れの店もある。
ネットで検索してみると、セッタファンは密かに盛り上がっている。
禁煙してた人が思わず、ってのもあった。
セブンスターと言う煙草は、1969年に発売されて、
以後一度もデザインが変わっていない。
その頑固さがまた良いのだ。
(それだけに喫煙警告が入った事は、この上ないショックだった。)
しかし、おおかた40年もデザインが変わらないってのは、
商品パッケージとしては、かなりスゴい事ではないか。
派手さもない、どちらか言えば地味。
しかし、このデザインがたまらなく好きな人は多い。
今回の黒パッケージも期間限定だからこそ許す人も多いはず。
人にそう思わせるものが、他には知らない。
いつか、そんなデザインをひとつ作れる事を夢見ています。

機種変更

1週間程前に、携帯電話を機種変更しました。
前の電話は電池の持ちが悪くなり、充電残量を気にしないといけなくなっていました。
デザインは気に入っていたし、何より小ぶりだったのが気に入っていました。
電池交換をするか、機種変更か。
随分悩みましたが、溜まったポイントでまかなえる機種に変更。ワンセグなし。
テレビが見れたところで、見るのはきっと始めだけ。
そう期待もせずにいた筈なのに、イザ変更してみると。
ワンセグはともかく、なんだかイロイロ進んでいる。当たり前なのかちょっと感心している。
使い勝手も悪くない。
メニュー画面も結構カスタマイズできるし、自作も可能らしい。
そんな事を知ってしまうと、チャレンジしてみたくなるからたちが悪い。
いやいやそんな事をしていたら、いくらでも時間が足りなくなる。
そうして意味無く携帯に手が伸びる。
唯一不満は、相手の声が割れやすくて、聞き取りにくくなったコト。
カメラのレンズ位置が真ん中に寄りすぎて使いづらい。
それも気がつけば慣れるのだろうな。
しかし、なにより感心したのはパッケージ。
物持ちの良さにも感心するけど、前の携帯のパッケージと思わず見比べた。
間違いなく時代は進んでいた。
ちなみに新しい携帯で撮った写真。

カキノイエ:オープンハウス・オープンハウス終了しました

モジ便り

MOJI-DAYORI vol.1

先週、新聞の日曜版で紹介されていた手作りの本が目に止まり、
記事を読んで、なんか良さそう、早速サイトを拝見し注文した。
モジ便り
文字が好きで、文字の魅力を伝えたい、素朴な感じが良い。
小冊子が届いた時、直筆の礼状が添えられ、それこそ手作りのフリーペーパーまで頂いた。
文字に携わる職業の方を訪ねたインタビュー記事など、十分に読み応えもあり、
個人で執筆、編集からデザインまでされた冊子とは思えない出来映えに、
久しく仕事でしか創作をしていない自分を振り返る。
商業誌とは違う、誇大な表現の無い素直さが誌面全体に表れている。
背中は赤い糸で綴じられているが、一部一部家族で綴じているそうだ。

大学で元々グラフィックをやっていた事もあるし、
仕事の中で、設計した家のロゴやマーク、表札のデザインなどもさせてもらっているから、
それなり文字や文字に関わるデザインは気に掛かる。
ヒトの作った素敵なロゴタイプを見ながらため息をつく事も多い。
それに加え、普段書く文字の鈍くささは、もうあきらめるしか無いかも知れない。
申請書類に書く時ぐらいは、楷書でキメたいところだが、力強さのない書類が情けない。
そんなキマリの悪い文字に、かれこれ40年も付き合っているのだった。
私的モジ便り。

House [ I ]:床塗装前

24 hours of Flickr

00.00.05.05.2007

ゴールデンウィークは皆さんいかがお過ごしだったでしょうか。
ヨメさんに相手にされなかった私は、イベント事が何一つ無く終わりそうな気配に一大決心。
なんて書くと大袈裟ですが、写真サイトflickrのイベント(サイト上の)に参加して、
5月5日の24時間を1時間毎に写真に撮ってみる事にしました。
( ちなみに、イベントは5日に撮った写真を一枚アップするだけです。 )
と言って、ヨメさんの寝てる姿を撮ってもしかたないので、夜中から近所をウロウロと徘徊。
勢い込んで始めて見たのは良いのですが、そのつもりの準備も無く、数枚も続けていればもう明け方。
突然決めた事なので、前の晩はヨメさんの家族と不用意に居酒屋で一杯。
モ〜ロ〜と眠気に襲われながら、馬鹿な遊びを始めてしまったと後悔しつつも、
(ヨメさんに)宣言したから止められず、そのまま一日を過ごした結果が24枚セットになっています。
お楽しみ頂ければ幸い。
一時間毎といっても多少の前後はご勘弁ください。

House [ I ]:躯体型枠はじめ

若沖と江戸絵画

chou-chou

芸術の秋というワケ?で、昨日の日曜日は久しぶりに美術鑑賞。
京都国立近代美術館で催されている プライスコレクション「若沖と江戸絵画」展 に行きました.
18世紀・江戸時代の画家伊藤若冲を中心に、同時代後半の画家の作品が数多く飾られています。
現代のものは別として古い日本画と言えば淋派だとか浮世絵版画だとか、モチーフは多彩でも、
どこか様式美みたいな印象がありますが、今回のプライスコレクションに集められた作品群は、
もっと自由に、卓抜した技量と挑戦的な表現が圧倒的。
日曜日だから仕方ありませんが、後ろから聞こえてくるオバちゃんの鋭いツッコミに思わず頷き、
カップルの甘いボケに疲れながら、感嘆とため息の連続でした。
う〜ん、こんなに描けたら面白いだろうな〜、と無イ物ネダリな感想が一番正直なところ。
人混みには疲れましたが、来た甲斐は十分ありました。
ちなみにオフィシャルブログは、全作品が載ってとても充実しています。

アウトドア?

あ〜運動せなヤバイ、と言うのがヨメさんの前での口癖。
有言不実行はなはだしく、冷ややかな視線を浴びている。
このところアウトドア?な施主さんが続き、
偶然にも同じチャリンコを所有されていたものだから、
思わず興味が湧いてくる。
そんな事を思う今日このごろだが、こんなサイトを見つけて喜んでいては、
アウトドア計画はまだまだ遠いかもしれない。

Bike Furniture Design

手探り

grope

美術家杉浦隆夫さんの展覧会を観に兵庫県立美術館に行ってきました。
部屋の一つを区切って発泡スチロールの粒でできたプールが広がっています。
さらさらした白い砂漠のようであり、きらめく水面のようであり。
その中に美術館が所蔵する彫刻作品が5点埋もれています。
ロダンありムーアあり。学芸員さんの了解のもと躊躇すること無く
美術作品を触感で楽しむことが許されます。
その白い粒をかき分け手探りで美術作品を鑑賞するという企画です。
発泡スチロールの粒はひとつひとつはほとんど質量を感じないものですが、
そのプールの中にはいると微妙な抵抗感があり、心地よい感じがします。
じっとしていると適度に暖かい。
大人になっては恥ずかしくてできなかった砂遊びのようでもあります。
普段意識しない触感が記憶に残りました。
形を探るのに、視覚に頼りっぱなしであったことがより認識されます。
最終日ということもあって、2時間半待ちの整理券で入浴?でしたが、
とても良いリラクゼーションでした。

まずはポーズから

souko

午前中、近所の美術館で行われている
ボローニャ国際絵本原画展の最終日に行って来ました。
毎年ヨメさんと行くのが恒例ですが、今年もまた恒例のごとく、
二人して、もっとエ〜描かなアカンな〜、とつぶやいて帰って来ました。
写真は自宅近くの酒造メーカーのたぶん工場か倉庫です。
海も近くて、モチーフは山ほどあるのは重々分かってはいるのですが、
なかなか重い腰があがりません。
まずはカメラ片手に一丁前なポーズからスタートです。