熱海「起雲閣」に行ってきました。

お宮の松/貫一・お宮の像

正月のコトで恐縮ですが、熱海へ家族旅行に行ってきました。その際、熱海の三大別邸と称されるうちのひとつ「起雲閣」が開館していたので見学してきました。見応え十分です。NHK連続テレビ小説「花子とアン」で登場する九州の石炭王・嘉納伝助の屋敷として使われていたそうですが、見学のときは全く気づいてなかったです。(笑)

大正の間に海運王やら鉄道王によって、大きな日本家屋の別荘に始まり敷地の拡張ととも日本庭園を取り囲むよう洋館二つがその後に建てられました。戦後になって所有者も変わり旅館として使われてもいました。大正ロマンとでも言うのでしょうか、和・洋・中・その他イロイロのいろいろな建築様式やデザインが不思議な調和をもって混在しています。ぐるぐる廻っているうちに、なんとも言えないタイムスリップ感を味わえるのが魅力的です。
昭和の文豪が多く宿泊する名旅館でしたが平成11年に廃業、そののち熱海市が取得し有形文化財となって今は観光名所として公開されています。

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内覧会|伊礼智「自然につつまれる家」

自然につつまれる家

日曜日、設計仲間からのお誘いを受けて住宅の内覧会に出掛けました。
設計は伊礼智氏。小さな住宅を数多く手がける建築家さんです。雑誌や本では良く拝見していますが、実作を拝見するのは初めて、とっても気になっていた建築家さんの一人なので、楽しみにしながら伺いました。

この日はお天気も良かったので、いつまでもぼ〜っと出来そうな居心地でした。
今回拝見した住宅は、施工された松彦建設工業さんのモデルハウスとして建てられています。左官を得意とされるだけあって、内も外も多くは左官仕上げ。併せて吉野の杉や檜がふんだんに使われ、久しぶりに爽やかな落ち着いた住まいを拝見した気がします。
写真で見たイメージと実際にうける印象はなかなかピタッとはいかないものです。想像以上に良く感じるときと、がっかりしてしまう時があります。今回は前者でした。こうした機会を逃さず実物を体験することは、やはり大事ですね。ようやく伊礼氏の手がける物件を実感できたこと、且つがっかりしなかった事で、後に本で拝見する時にはずっとリアルに想像できそうです。

楽しみが増えた気がします。

NEXT21公開見学会「第4フェーズ居住実験」

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今日は午前中に検査を済ませ、お昼から、大阪ガスさんからお誘い頂いた見学会に参加しました。
大阪ガスさんが1994年から、社員さんとその家族を実際に住まわせて居住実験をしている「NEXT21」という集合住宅(竣工1993)が大阪上本町付近にあります。既に、3期ほどの実験を進め、今回第4期の居住実験に当たっての改修が終了し、その住戸が7月末頃まで公開されています。この建物は骨組みになる構造とその他部分を分離し、その時折に改修が容易な作りになっています。実験段階を含める最新の設備を使い、主には生活にまつわるエネルギー関連の実証を行っていくのが目的になっています。 続きを読む

金丸座〜正月のこんぴら詣り〜

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西宮のえべっさんも終わってしまい、そろそろ正月気分も正さないとついついだらだらとしてしまいそうな軟弱者なのですが、この正月に家族と「こんぴら詣り」に行ったので、今年始めのブログはまずはそこらから。

石畳の階段が本宮までだと785段、さらに奥社までだと1368段あることで有名な金刀比羅さんですが、そのふもとに「金丸座(旧金比羅大芝居)」と言う日本最古の芝居小屋があります。実はそんな事も知らず愛ある家族に教えてもらい金平に着いた日の夕方、さっそくに見学に行きました。建築されたのは天保6年だそうなので、およそ175年前くらい。昭和45年に重文指定、その後に現在の場所に移築され復元、耐震工事が4年を掛けて行われたそうです。

大屋根の掛かった外観は結構大きく、ちょっと低めな木戸の入り口から中に入ってみると、歴史を感じる玄関ホールがまずいい雰囲気です。思わず高揚し観劇気分に浸りながらそのまま観客席に向かうと、天井が高く思いの外の大空間にさらに感動です。格子に区切られたぶどう棚と呼ばれる客席を横目に、正面の舞台までそのまま進んで役者気分。袖から奥の楽屋を一巡して、さらに舞台下に。幾重にも連なる柱梁の中に、廻り舞台とセリの仕掛けが目に飛び込んで来ると思わずはしゃぎそうになります。2階の客席から優美な舞台を見下ろせば、一度はここで生の芝居を観てみたくなってきました。見所満載!

案内のおじさんの話では、移築当時実はそうしたイベントを行えるようにする予定は無く、あくまで文化財の保存・移転が主で、演劇など興行に向けての設備その他の対応はされていないとの事。なので、当時のままの仕様、江戸時代ままの姿が基本となっている訳で、夏は暑いし冬は寒い、釘は打ってはいけないなどなど。一般の演劇公演はまず無理、裏方も文化財の使用を心得ている方で無いととても使えないのだそうです。特に電気工事はエラい事になりそう。確かに時計ひとつ梁間に板を挟んで直接釘を打つような事はされていません。そんな訳で今は唯一、年に一度だけ歌舞伎の興行が行われているだけだそう。

さて年に一度の興行、この4月に市川猿之助の襲名披露があったりするのだけど、行くか行かぬか迷っているところに、先日NHKで市川中車(香川照之)の番組を観てしまいやっぱり大阪松竹座にしとこかな、と新年早々の浮気者です。

古くて新しいものを見学:60坪と9坪の住まい

 

この間の日曜、そして今日土曜と、それぞれ別の見学会に行きました。どちらも古くて新しいものです。

日曜日に見学した物件は滋賀・宮内建築の手による伝統工法による60坪にもなる平屋。その構造見学会。ガツンとした構造材が縦横無尽のド迫力で迫ってきます。元にあった民家のイメージを壊さず、土壁も再生させてムクムクと甦るようなイメージです。

今日伺った住まいは、ある意味正反対に現代的な小さな家。ただベースにあるのは増沢洵という50年代建築家のモダニズム狭小住宅「最小限住居」というもの。それをリメイクし、9坪ハウスと名付けられた企画住宅です。大阪では第1号ですが、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

同じ木造と言え、偶然続けて拝見した2つの住宅は大きさも作り方も、そして住まい方も対極にも思えそうな違いがあります。設計者も施工者もきっと相容れないぐらいの違いがありそうに思えるその一方で、不思議に共通するものも感じ無くありません。面白いものです。

さて、自分ならどちらに住みたいと思うか? ・・・正直、どちらも極端で難し過ぎです。

 

藤井厚二「聴竹居」を訪問しました。

「住まうの座」でお世話になった紡ぎ家さんの計らいで、藤井厚二「聴竹居」を訪問しました。建築関連では人気の見学スポットの一つで、今まで二度ほど見学会に申込しながら抽選モレで行けずまま、ようやく機会を頂いた感じです。先日の大山崎山荘美術館とは程近く。樹木に囲われ暑い夏の最中にも涼を感じる自然豊かな環境の地にあります。

「聴竹居」は環境共生住宅の原点と言われ、環境工学を専門とした藤井厚二の自邸の「ひとつ」になるそうです。実家は造り酒屋のお金持ちで自邸を繰り返し作っていると聞き、なんとま羨ましいばかりですが、光や風を存分に取り入れ「夏が過ごしやすい」住まいを目指し、当時のモダンな住宅の実践を試みた建築家の実験住宅だったと言っても良さそうです。

だからでしょうか、勉強不足で詳細について下調べ無くこれまで感覚的な造形を勝手に期待していたのですが、実際に観た「聴竹居」は、むしろ理論的な住宅のひな形を観るような空気が漂い、そうした期待に対する感動はむしろ少なかったのが正直なところです。逆に積極的に電化も行いながら環境工学と時代の先端を進む意欲こそが造形にも現れ、その想いが漂う空気を読み取る事こそが「聴竹居」の見所であった気がします。その面からの覆されたイメージの部分は十分に楽しく拝見し、設計者としての立ち位置を学ぶべき印象を受け、また考えさせられもしました。

大山崎山荘美術館「睡蓮」の見方

名神高速で仕事の帰り道。大山崎付近でまだ昼過ぎだったものだから、そうだ大山崎山荘美術館に行ってみようと思い立ち、そのまま高速を降りた。ずいぶん前だが新館は安藤さんの初期の美術館。実はまだ行った事が無かった。印象派モネの「睡蓮」が飾られていることで有名です。

その以前、庄司事務所に来ていた美術好きなバイトの女史が、あれはダメですよ〜。絵の前が狭くて引いて見ようと思っても、ちゃんと見れない。光もイマイチ、私は嫌です。モネがかわいそう。とまで言っていた。その記憶だけで実際どんなだろうと思って、モネの飾られていた新館(と言っても古い訳ですが)に入った。ちなみに展示室は円筒状のコンクリート外壁に囲まれ、真ん中は白い壁で囲った空間があります。その四角い空間の上にはトップライトがあり、適度に円筒の展示室にも光が漏れるような感じになっています。それほど大きくはありません。
足を踏み入れて女史の言っていた事が分かりました。今日は関西の椅子作家の展覧会が併設されていたので、なおさら動けるスペースが少ない。たまたましばらく一人で鑑賞する事ができたので、窮屈感はないが、曲面に飾られた4枚のモネと正対して向かうと確かに近い感じがします。敢えてのモネファンでもなかったのですが、もうちょっとあればねと思いつつ、併設の椅子に目が移りはじめました。

ちょっと若めな警備員さんがコチラの鑑賞を邪魔しない様に一人で立っています。展示の椅子は触っても良さそうなコメントが付けられていたのですが、念のため聞いてみた。どうぞ座ってみて下さい。それまで黙っていた警備員さんが、あちらの椅子は座られましたか?気持ちいいですよ。と促される。面白い人だな。と思っていたら、後から入って来た学生らしき若者達に、この絵はコチラから見てみて下さい。と話しかけている。つい、耳をそばだてると的をついた意見が聞こえ興味が湧く。改めて、モネを見始めてしまった。

鑑賞者が少なくなって、絵に興味を持ち出した僕を捕まえ、今度はモネの見方について持論を語り始めてくれた。あの絵はモネが白内障になった後でのものです。絵は大きいですが、モネが見ているのは小さな世界なんですよね。此処から見ると睡蓮が浮かんできませんか?丁度、今の明かり具合が良いです。…確かに。真っ正面から見ようとしていた時よりも斜めになった今の位置の方が映り込んだ光も無くずっと奥行き感を感じるし、睡蓮が浮かんで見える。この絵は階段を2段上がったところで左の角をみるような感じです。額の奥に池が広がるように見えませんか?…うむ、確かに。

私は絵は実はよく分らないんですが、此処に来て2年間、絵を観られる方の様子を見て自分で確かめたり、考えたんです。絵が好きそうな方なら、私なりのポイントをお伝えしてみるんです。結構喜んでもらえて嬉しいんですよ。以前は測量の仕事をしていたせいかも知れませんが、観る方向がなんとなく気になるんです。やっぱり一番奇麗に見える位置が良いでしょう。なので意見はありますが、この空間がとても好きなんです。

警備員さんを前に、目からウロコ状態です。適度に美術をかじった僕は、こんな当たり前で素直な見方をした事は無かった。警備員さんは絵の見方が対峙しようとする西洋的な感じでなく、空間全体で捉えたとても日本的な見方ですよね。と感想を伝えてみると。モネは日本趣味だったからでしょうか。
しばし警備員さんと美術談義となった。学芸員さんからは絶対に聞く事が出来ない、すばらしいレクチュアにごっつ得な気がした。私も大阪ですから、ちょっとでも得したいんです。

モネの見方だけに留まらず、安藤建築の見方まで教えてもらった気がしました。次回は是非に秋頃に来て下さい。新しく出来る新々館はまだでしょうが、絵が変わってますし光がまた違いますよ。既成概念を取り払って、自由に使えば良いのですよ。なんて施主さんに言う自分がすっかり恥ずかしくなってきました。

open! architecture:高島屋東別館・南海ビルディング

イベント好きな親父の案内から、建物公開イベント「オープン・アーキテクチャー」という催しに昨日は参加して来ました。午前中は「高島屋東別館」に、午後からは「南海ビルディング、なんばパークス」を見学させていただいた。この「オープン・アーキテクチャー」は、ヨーロッパで行われるような建物公開のイベントを定着させ、一般の方にもっと建物や建築に関心を持ってもらおうとするグループが主宰しています。「つかい手、つくり手」の普段は聞く事の出来ない話を交えながら、通常は行く所の出来ない場所を案内していただけます。そんなわけで、ひとりで行ってもなかなか撮れない貴重な?写真を撮ることができました。(話し聞きながらの団体行動なので、そんなうまくは撮れませんでしたが。)

高島屋東別館は見かけはひとつのビルの様ですが、大きく3度の増改築を繰り返して1937年に完成しています。(実は未完のようですが。)手の込んだ装飾や造りに当時の設計者鈴木禎次氏のこだわりと関わった方全員の熱意が見られます。映画でしか見る事ができない様な懐かしい世界に戻ったような気さえします。また地階の倉庫は地下鉄の駅と壁一枚で区切られ、列車の音が響きさらに雰囲気が盛り上がりました。

南海ビルディングも再開発で現代的に改修されていますが古いターミナルビルです。1932年建設当時の階段が今も残っているとの事で案内していただきました。防火区画の扉を隔てて「今と昔」が背中合わせになっていることに参加者の皆が驚きます。

今回の建物探訪は、こうしたイベントでしか味わえない体験をさせていただきました。特に関係の方から伺える話は時折裏話もあり、普段携わることがない建物がもっと身近になったような気がします。

日本初・建物公開イベント「オープン・アーキテクチャー」 日本初・建物一斉公開イベント|open! architecture

公人屋敷(くにんやしき):大津市坂本

比叡山延暦寺の門前町坂本にある「公人屋敷」と呼ばれるお屋敷を観てきました。1864年に新築もしくは改築されている棟札が見つかっていることから、おおよそ150年くらいは経っている事になります。公人と言うのは、僧侶でありながら妻帯と名字帯刀を認められた坂本町を治めるお役人と言ったところでしょうか。なので、ここはお役人の家ですから、なかなか立派です
今日はちょっとお天気が悪くて中が暗く、写真が上手に撮れずでした。またいつか改めてご紹介したいと思います。

実はこの坂本で住宅を計画を始めたところ。坂本は見所の多い町なのでしばらく楽しめそうです。